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send 既卒・中退組、再教育で磨け 「売り手市場」で大手でも苦戦

2015年6月19日 金曜日

  bsl1506190500003-p1   好調な業績を背景に採用を増やす企業が多く、2016年に卒業を予定している学生にとって優位な「売り手市場」が続く。経団連のルール変更もあって採用活動時期が後ろ倒しとなり、大手でさえも苦戦を強いられており、知名度が低い中小・ベンチャーはなおさらだ。このため新卒は諦めて、既卒者や中退組にターゲットを絞る中小も顕在化。既卒者らを再教育して中小・ベンチャーにつなげるマッチングビジネスが活況を呈している。   売り手市場で苦戦   「卒業生、入場!」。司会者の号令の下、リクルートスーツに身を固めた31人の男女が2組に分かれて会場に入り、一斉に「本日はよろしくお願い致します」と力強くあいさつした。   通常の新卒採用の面接会場に比べると参加者の平均年齢は少し高めだ。社員研修事業を展開するジェイック(東京都千代田区)が5月下旬、「正社員として働きたい」と意欲を示す20代と中堅・中小の経営者を集めて行った集団面接会の一コマだ。   厚生労働省と文部科学省によると、今春卒業した大学生の就職率(4月1日時点)は96.7%。4年連続の改善で、1997年の調査開始以来、リーマン・ショック直前の2008年に次ぐ高水準だ。  

ただ増加傾向だった大手企業志向は42.9%と前年比2.0ポイント減少したことが、就職情報サービスを手がけるマイナビが16年3月卒業見込みの大学生らを対象に3~5月に実施した調査で分かった。

  こうした中、中小・ベンチャーからは「希望にかなう人材をなかなか採用できない」といった声が相次ぐ。「2015年版 中小企業白書」は、深刻な人手不足により「必要な人材を確保できていない中小企業は4割近くに上る」と指摘する。   一方、3年以内に離職する割合は大卒で3割に達し、卒業・中退後に正社員として就職できずフリーターで過ごす層も一定規模で存在する。   こうしたミスマッチを解消するのがジェイックの集団面接会で、随時開催されている。   5月下旬の面接会に参加した31人のうち、正社員経験者は11人。慶応大や明治大といった著名大学出身者も含まれている。フリーターや中退組らに加え、今年3月の卒業生も10人いた。  

面接会には、2週間にわたる「営業カレッジ」というプログラムで徹底的に鍛えられてきた“卒業生”が臨む。あいさつの仕方やビジネスマナーのほか、電話応対やセールストークなどを座学やロールプレーイングを交えじっくりと身につける。参加者全体の性格を分析すると、どちらかといえば控えめな傾向が強いため「自分の殻を破ってもらうことを重視する」(古庄拓・経営企画部執行役員)という。

  殻を破る代表例が2日間にわたる飛び込み営業の実践訓練。担当エリアの地図と自分の名刺を渡され、実際に企業を飛び込み訪問する。1冊600円(税別)の小冊子を売りに行って、営業の厳しさと度胸を養う。   今回の卒業生の1人は東海大中退者。理学部に入ったが、自分に向かない学問だと悟り中退の道を選んだ。   しかし「日本は学歴で判断されてしまう。大学中退は一般的なレールから外れており、もう終わり」との境地に至り、携帯電話ショップなどに派遣社員として勤めざるを得ない日々を送った。  

心情が変わったのは、正社員として楽しそうに働く友人の姿を目の当たりにしてから。中小を選んだのは「仕事が分業されていないので、いろいろな経験ができると思った」からだ。高校時代はサッカーに熱中し東京都の選抜組に抜擢(ばってき)されたほどの実力者だったので、もともとリーダーシップなど企業が求める素養を備えていた。研修を経て自信がよみがえり、面接もクリアし、IT系人材ビジネス企業に入社が決まった。

  「心構え」を評価   集団面接会は2日間にわたり中小と卒業生が総当たり形式で面接。互いに「◎」「◯」「×」で評価し、「◎」「◯」同士は個別面接に移る。就職が成立すると採用企業から費用が入る仕組みだ。この日参加した企業は情報処理サービスや建築資材販売、倉庫業、翻訳・通訳サービスなど11社だった。   千葉県に本社を置く賃貸管理会社の中で最大規模のアービック(市川市)は常連組。グループ全体の社員150人のうち約20人がジェイック経由だ。成績も優秀で、5月の営業成績上位5人のうち3人が営業カレッジの卒業生だった。  

ジェイックにこだわる理由について、川崎菜穂実PM事業本部長は「新卒者は『営業目標を達成して当たり前』ということをあまり強く意識しておらず、会社に行けば給料をもらえるという感覚。抜本的に教育する必要があるが、営業カレッジの卒業生は『達成するための努力は当たり前』と心構えがまったく異なる」と説明する。新卒採用にも力を入れているが、今年の新卒社員は1人。「目が肥えてしまって、どうしても欲しいという人材はなかなかいない」と嘆息する。

  景気回復基調がさらに鮮明になっていけば、人手不足から採用に意欲的な大手に学生が集中し、中小は人材難に悩まされる。それだけにマッチングビジネスに対するニーズが一段と高まるのは必至だ。(伊藤俊祐)   学生の企業志向(2016年春卒/15年春卒) 絶対に大手企業がよい(6.9%/7.5%) 自分のやりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい(36.0%/37.4%) やりがいのある仕事であれば中堅・中小企業でもよい(42.6%/42.6%) 中堅・中小企業がよい(9.9%/8.0%) その他(公務員、Uターン志望など)(4.2%/4.1%) 自分で会社を起こしたい(0.5%/0.4%) ※出典:2016年卒マイナビ大学生就職意識調査

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