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新電力「様子見」の壁、増加ペース鈍化 地方は恩恵届きにくい実態続く
2016年5月2日 月曜日

営業力でガス先行
新規の契約獲得数で先行するのは顧客基盤と対面営業の機会を持つ大手の都市ガスだ。東ガスは首都圏に200カ所以上あるグループのガス器具販売店網を生かし、休日などに開く電力相談会や、訪問販売で東京電力ホールディングスからの契約切り替えを促す。 契約件数は東ガスが約28万件(4月25日時点)、大阪ガスは約12万5000件(同26日時点)に上り、首都圏と関西の新電力の中で、それぞれ最も多くの契約を獲得した。だが、自由化が始まった4月以降は、事前申込期間に比べて「伸びが鈍化している」(東ガスの中島功常務執行役員)という。 東ガスが掲げた今年度の契約目標は40万件。目標の達成に向け、多くの消費者が行楽地などから戻ってくる連休明けから、東京都内の大型商業施設を中心にイベントを開催するなど販促活動を強化する。 首都圏ではJXエネルギーの契約獲得数が東ガスに次いで多い。ガソリンスタンドでなじみのある「ENEOS(エネオス)」ブランドを家庭用電力サービス名にも用い、親近感を抱かせた。NHK大河ドラマにも出演する旬の女優を起用した印象に残るテレビCMを繰り返し流すなど積極的な営業活動が功を奏し、これまでに10万件超の契約を獲得した。CM展開をさらに強化し契約件数の上積みを目指す。
経済産業省の認可法人、電力広域的運営推進機関によると、4月22日時点で新電力に契約を切り替えた世帯は74万4400件。同月1日時点と比べて約21万件増え、販売を独占してきた大手電力からの移行が進む。 地方に恩恵届かず ただ、切り替えた世帯は、電力需要が大きく、新電力の多い首都圏と関西で約85%を占める。沖縄で契約を切り替えたのはゼロで、北陸、中国、四国はいずれも1000~3000件と、自由化の恩恵が地方に届きにくい実態が続く。全国でも契約を切り替えた世帯は総契約数(6260万件)の約1.2%にとどまり、本格的な普及に向けてはまだ道半ばだ。電気料金の比較サイトなどを運営するカカクコムが3月に約3200人を対象に実施した調査では大手電力の新プランも含めて事前に申し込みをした人は7.5%と1割未満だった。申し込まなかった理由は半数超が「様子見」。様子見の期間は「半年」が約3割と最も多く、次いで「1年」が約2割を占める。
さらに、自由化対応の次世代電力計(スマートメーター)の設置工事が一部地域で遅れているほか、システム連携の不具合が多発するなど、普及を阻害しかねない事態も浮上する。 契約の切り替え件数を伸ばすためには、これらの課題にいち早く対処するだけでなく、「関心が低い消費者をつかむためのもう一段の努力が必要」(電力中央研究所の丸山真弘上席研究員)になってくる。(佐藤克史)