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send 持続可能な魚料理、普及へ一歩 パナが社食に導入、供給網整備し他社啓蒙も

2019年8月5日 月曜日

パナソニックの社員食堂入り口。サステナブルシーフード提供を知らせるため幟を立てた=3月8日、東京・汐留

持続可能な漁業で獲られた水産物「サステナブル・シーフード」の普及に取り組む企業が増えている。パナソニックは社員食堂での継続的導入にあわせ、生産者から給食会社までのサプライチェーン(供給網)を整備して他社にも採用を促す。さらに検討企業を含めたネットワークを立ち上げ、賛同の輪を広げる考えだ。社食に導入済みの損害保険ジャパン日本興亜は、今夏の学生向け環境インターンシップ(就業体験)を啓蒙(けいもう)活動の場として活用し、学生を普及の担い手として育成する。   認知度向上に注力 「今では『サスシー』と呼ばれるほど社員間で認知度が高まり、毎回のように売り切れる」 パナソニックの喜納厚介CSR・社会文化部課長はこう語り喜びを隠さない。「最初は『おいしかった』『盛り付けもすてきだった』と選んでもらい、社会的価値を理解するのは後でいい」という戦略が奏功したからだ。 水産資源が乱獲と海洋汚染で危機的状況にあることを知らせるため、昨年3月に日本企業で初めて社食のメニューにサステナブル・シーフードを採用。それ以来、月1回の提供時にはメニュー展示付近や料理受け渡し口などに国際認証である「MSC(対象は天然の水産物)」「ASC(養殖水産物)」のマークが付いた幟(のぼり)やパネルを並べて認知度向上に注力している。 魚料理が敬遠されがちな中、人気食材と組み合わせたり、女性視点を重視し見た目で選びたくなるメニューを開発したりしてアピール。人気メニューのバロメーターといわれる選択率20%を大きく上回る支持を得ている。導入拠点は21に増え、来年には約100カ所ある国内全拠点に広げる予定だ。 サステナブル・シーフードを選ぶ意義を知った社員は、スーパーなどで水産物を購入するとき認証マークが付いた水産物を選び、友人などにも紹介するようになった。ただ約10万人の社員を総動員し社外に購入を呼び掛けても消費の変革というムーブメントを起こすのは難しい。 そこでパナソニックは社食の運営を委託する給食会社に協力を要請した。社食で提供される水産物がサステナブル・シーフードと認められるには生産者から加工・流通業者、給食会社までの全過程で認証を取得しなければならないからだ。 給食会社で真っ先に応えたのが大手のエームサービス(東京都港区)で、環境配慮企業として認められるには認証取得が必要と判断した。これを機にサステナブル・シーフード普及の意義を理解した7社が認証を取得、このうち6社はパナソニックが「口説いた」(喜納氏)。同時に、他社に社食での採用を呼び掛け、日立製作所やデンソー、JXTGホールディングスなどが受け入れた。三井住友海上火災保険も7月、導入を決めた。 普及を確かなものにするため導入検討中の企業や自治体、団体とのネットワークも立ち上げる。社食への導入ノウハウを共有するなどして賛同企業・団体を増やす狙いだ。喜納氏は「われわれの目的は消費行動の変革。理解者を募って連携を拡大し、ムーブメントを強めたい」と意気込む。   アイス目当てに 「限定200食が30分で完売した」とうれしい悲鳴を上げるのは損保ジャパン日本興亜CSR室の伊藤穂乃香主任。 社食メニューにサステナブル・シーフードを採用したのは昨年10月からだが、意義を訴えても社員の認知度はなかなか高まらず、購買行動につながらなかった。打開策として6回目となる今年5月には、気候変動問題に取り組むユニリーバ・ジャパンとコラボ。サステナブル・シーフードのメニュー購入者に同社のアイスクリームを配布して理解を高める作戦に出た。 それが当たった。「動機がアイス欲しさでも認知度が高まればいい。自主的に購入するきっかけになれば狙い通り」(伊藤氏)という。

■身近なところからSDGs貢献 ユニリーバとのコラボは、損保ジャパン日本興亜環境財団が運営する環境インターン「CSOラーニング」でも実施する予定。参加する学生に対する環境教育・人材育成の一環としてサステナブル・シーフードへの理解を深める場をつくり、社会への情報発信役を担ってもらう考えだ。 企業がサステナブル・シーフードの普及に向け積極的に動きだしたのは、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)への貢献が求められるようになったからだ。損保ジャパン日本興亜で、ASC認証を受けたエビを使った冷製パスタを選んだ女性は「こうした身近な取り組みで世界の持続可能性に貢献できるならSDGsも身近に感じる」と笑った。 パナソニックと約20年にわたり「海の豊かさを守る活動」に取り組んできたWWFジャパンの三沢行弘シーフード・マーケット・マネージャーは「社食などでの継続的消費は、継続的な生産者支援につながる」と指摘した上で「水産物のサプライチェーンづくりは持続可能な社会の実現に貢献できる」と話している。(松岡健夫)

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