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send 悪質クレーム保険で中小備え 弁護士相談で早期対応 福祉現場も注目

2019年7月1日 月曜日

損保ジャパン日本興亜の「クレーム対応費用保険」で相談対応する「クレームコンシェル」の弁護士(左)ら=東京都中野区

顧客による悪質クレームや迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」に備える保険商品が広がっている。問題解決を図る際の費用補償に加え、早期対応するため弁護士による無料相談が付いているのが特徴だ。注目するのは法務面での態勢が整っていない中小企業や福祉現場。「お客さま」対応に職場が疲弊(ひへい)し離職にもつながる時代を映す。   74%が被害経験あり 「金を払っているのだから何でもやれ!」。介護職員らによる労働組合、日本介護クラフトユニオンが昨年実施したアンケート。回答者2411人のうち74%が、利用者や家族から何らかのハラスメントを受けていた。 全国ホームヘルパー協議会の神谷洋美会長(57)は「介護保険制度の目的は自立支援などだが『お世話する』とイメージされやすい。人手不足が深刻な中、安心し働ける環境が課題だ」と語る。 損保ジャパン日本興亜(東京)は昨年4月、介護事業者向けに「クレーム対応費用保険」を売り出した。弁護士のほか警察OBなどで組む「クレームコンシェル」が相談に乗って助言。迷惑行為が収まらず、書面での警告など、いざ行動に移す際は、必要な弁護士費用に保険金が支払われる。 同社担当者は「顧問弁護士を置けない事業者には、ちょっとした相談をしたいニーズがある。問題が小さな芽のうちに解決を図ることで労力を省ける」と語る。今春、保育施設や学校向けにも販売を始めた。親の過大要求、近隣からの執拗(しつよう)な苦情により運営が妨害されるケースを想定。契約に向け自治体などとの協議が進んでいるという。   クレーマー対策後手 エール少額短期保険(東京)も昨年7月「モンスターヘルプナビ付 弁護士保険コモンBiz」を発売。建設や不動産など業界を問わず、中小企業と幅広く契約する。うたい文句は「お客さまは神様にも悪魔にもなる」。一昔前だと考えにくいが、同社の竹内洋一郎業務部長(49)は「従業員には『会社が対応してくれない』との思いがある。一線を越えた客はクレーマーとして、従業員を守ろうとする企業を支えたい」と語る。 企業の危機管理コンサルティング会社エス・ピー・ネットワーク(東京)が5月、クレーム対応経験がある会社員に調査すると「直近3年間でカスハラが増えている」との回答が半数を超えた。一方、従業員を守る顧客対応マニュアルを作成する会社は3割程度にとどまった。 甲南大の阿部真大教授(労働社会学)は「消費者優先の意識が強まる中、インターネットの普及でクレームが付けやすくなり、顧客と労働者の力関係が偏った結果がカスハラだ」と分析する。 5月に女性活躍・ハラスメント規制法が成立し、国は今後、カスハラ対策の指針を作成する。だが企業の取り組みは義務ではない。阿部教授は「経営者は放置せず、労働者の権利を守るため公正に対応すべきだ」と指摘する。

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