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send 待望ワクチン、118件計画進行 新型コロナ 副作用懸念、慎重に開発

2020年5月18日 月曜日

大阪大とベンチャー企業アンジェスが開発中のDNAワクチン(大阪大提供)

新型コロナウイルスに対する100以上のワクチン開発計画が明らかになった。欧米や中国では実験室から臨床試験に舞台を移し、日本では大学などの研究に製薬企業が参入してきた。流行の終息や東京五輪・パラリンピック開催の切り札として注目されるが、接種後に症状が悪化する恐れも指摘され、開発は慎重に進められている。   東京五輪開催の鍵 世界保健機関(WHO)が16日までに公表したリストによると、新型コロナの感染を予防するワクチンの開発は118の計画が進行中で、うち欧米や中国の8剤は人に投与して安全性や有効性を確かめる臨床試験(治験)の段階に入った。 ワクチン開発は一般的にはまずウイルスの感染や増殖をどう防ぐのか検討し、候補となる化合物を選択。次に動物実験で問題が生じないか検証する。その後、臨床試験を行い、国の承認を受けて販売される。 WHOのリストなどによると、米国ではウイルスの遺伝情報を利用する核酸ワクチンの開発が進められている。米バイオテクノロジー会社モデルナが国立アレルギー感染症研究所と共同で3月にRNAワクチンの臨床試験を開始した。健康な45人を対象に2回投与して評価する。食品医薬品局(FDA)の優先審査の対象に指定され、トップランナーとなっている。米製薬会社イノビオは4月にDNAワクチンの試験を始めた。 ウイルスなどの病原体が体内に入ると免疫が働き、抗体というタンパク質が攻撃する。免疫細胞は敵を記憶し、次にウイルスが入ってきても抗体を作り、感染や重症化を防ぐ。この仕組みを利用したのがワクチンだ。多くの人がワクチンで免疫を獲得すれば流行は終息する。 来年に延期された東京五輪について、日本医師会の横倉義武会長は4月末の記者会見で「有効なワクチンが開発されないと、開催するのは難しい」と発言。「開発を急いでいただきたい」と期待を寄せた。 免疫の獲得の可能性や副作用については懸念もある。デング熱など他の感染症では一度かかった人が再感染した場合、重篤になることがある。同じコロナウイルスの重症急性呼吸器症候群(SARS)を対象にしたマウスの動物実験でワクチン投与後に感染させようとすると、免疫が過剰に働いたとみられ、肺炎の症状が重くなったとの報告がある。日本には子宮頸がんワクチンで副作用の訴えが相次ぎ、普及が途絶えた経験もある。 健康な人に幅広く投与するため、安全性は厳密に評価しなければならない。国際医療福祉大の松本哲哉教授(感染症学)は「(実用化を急いで)手を抜けば結果としてしっぺ返しがくるだろう」とみている。 また、一度かかると生涯同じ病気に感染しない「終生免疫」ができるのか疑問視する声も。コロナウイルスの中には風邪の原因となるものもあるが、風邪には繰り返しかかる。「新型コロナウイルスで終生免疫ができるのか疑問だ」と複数の専門家が指摘している。インフルエンザのように毎年ワクチンが必要になる可能性もある。   供給量確保に時間 日本で製薬会社第一三共とRNAワクチンの開発に取り組んでいる東京大医科学研究所の河岡義裕教授(ウイルス学)は「ワクチンができるのと、多くの人が打てるようになるのは別の話。この冬は間に合わない。全てのことがうまくいっても来年の秋にはなるだろう」との見通しを語る。ワクチン接種は治療薬とは比較にならない大勢の人を対象にしており、十分な供給量の確保に時間がかかるためだ。 大阪大とDNAワクチン開発を進めるベンチャー企業のアンジェスは動物実験に進んだことを発表。7月の臨床試験開始、来年の実用化を目指している。国立感染症研究所と遺伝子改変技術を用いた組み換えタンパク質ワクチンの開発をしている塩野義製薬は「年度内に医療関係者などリスクが高い人への限定的な提供、来年秋の販売を目指している」としている。 他にも大阪大や阪大微生物病研究会、医薬基盤・健康・栄養研究所が不活化などの複数のワクチンを開発しているが、臨床試験開始まで4、5年かかる見込みとしており、即座に現状を打開する魔法のつえとはなりそうにない。  

フジサンケイビジネスアイ

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