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send 就活後ろ倒し、企業に“しわ寄せ” バイト集め四苦八苦、中途採用にも狂い

2015年8月26日 水曜日

bsg1508260500005-p1   新卒採用の選考開始時期が昨年に比べ4カ月遅い8月1日に後ろ倒しされたことで、外食産業などでのアルバイトや中途の採用に異変が起きている。学生がアルバイトに時間を割けなくなったため、外食や旅行の機会が増え、関連産業で労働力の需要が大きくなる夏場を中心に採用難が深刻化しているのだ。就職活動の長期化で採用担当者の業務負担が増え、中途採用にも支障が出ており、企業はあの手この手で人手の確保を進めている。 bsg1508260500005-p2   友人同士の応募歓迎 「カップル、友達大歓迎!」   「髪色自由!」   ITベンチャーのビズリーチ(東京都渋谷区)が運営する求人検索エンジン「スタンバイ」を通じたアルバイトの募集では、こんな奇抜なうたい文句でアピールする企業が少なくない。同社の担当者によると、最近になり、こうした求人広告が目立つようになってきたという。 今年に入り、友人同士でのアルバイトを受け入れ始めた企業がある。飲食店運営のゼットンだ。外食業界では、同じ職場で働くことによってなれ合いが生じ、サービスのレベルが低下しかねないため、友人同士の採用を避ける傾向が強い。こうした対応は異例ともいえる。  

同社は今年、一気に22カ所でビアガーデンをオープン。これに伴うアルバイトの新規採用は約1000人に上り、うち約250人を学生が占める。学生アルバイトの中には友人同士も少なくなかったが、なれ合いの弊害はなく、担当者は「条件を緩めて正解だった」と胸をなで下ろす。

外食業界の企業はもともと、人件費の安いアルバイトへの依存度が高い。以前から人手不足に悩まされていたが、就活の後ろ倒しが追い打ちをかけ、人手の確保が一段と難しくなっている。これまでは時給アップでより多くの応募者を集めようとしてきたが、もはや限界に近い水準まで上がっているという。 就職活動の後ろ倒しで学生側にはどんな変化が起きているのか。昨年までは、夏までに内定を得て就職活動を終え、卒業旅行や新生活の資金を稼ごうと、残りの学生生活をアルバイトに充てる学生が多かった。これに対し今年は活動期間が長期化し、思うように働けなくなったというわけだ。 ゼットンが友人同士の応募を受け入れ始めたのも、こうした状況を見越してのことだ。  

同じ外食企業でも、居酒屋「塚田農場」などを運営するエー・ピー(AP)カンパニーは、採用後の「面倒見の良さ」を売り物にして人手不足を切り抜けている。

  同社は3年前から、アルバイト向けに「就活セミナー」を実施。就活の心構えから、エントリーシートの書き方などのハウツーまで指南し、テレビ局や航空会社への就職を支援してきた。さらに今年9月には、同社が費用の半額を負担し、地方の養鶏場などで数日間働いてもらう就業体験も新たに始める。 この就業体験はあらゆる学生に門戸を開く予定だが、自社のアルバイトを最優先で受け入れるという。同社では「学生はこうした体験が人生経験やコミュニケーション力を培うと考えている。それはめぐりめぐって当社の人集めにも寄与する」と意義を強調する。 もっとも、ゼットンとAPカンパニーは数少ない成功例だ。外食産業以外にも、夏場に大量の学生アルバイトを必要とするリゾート産業など、人手不足に苦しむ企業は多い。  

新卒対応で手回らず

一方、就活後ろ倒しはメーカーなどの中途採用計画も狂わせている。 リクルートホールディングス傘下で、採用全般を支援する企業向けサービス「リクルートメント・プロセス・アウトソーシング(RPO)」を展開するリクルートキャリアは、4月以降の中途採用の商談が前年同期の2倍に膨らんでいる。 RPOでは採用戦略の立案から採用方法の選定、実際の採用、入社後の定着まで一貫して支援する。就活後ろ倒しで、企業の人事部が新卒採用にかかりきりとなり、中途採用に手をつけられないでいるため、業務負担が減らせるとRPOが引っ張りだことなっているのだ。 RPOの利用を検討中のある電子機器メーカーは、毎年約70人を中途採用している。しかし人事担当者は3人しかおらず、全員が新卒と中途の担当を兼務しているため、本来なら新卒採用を終えて中途採用に着手するこの時期も、ほとんど対応できない状態だという。  

やはり計画通りに採用が進んでいないという帝人の早川泰宏執行役員は「今のままでは達成が難しい。最終的にどうなるかは何ともいえないが、業務に支障が出る可能性も否定できない」と危惧する。

  少数の社員の離職を補うための採用なら、仮に確保できなくても影響は限定される。しかし、事業を一気に拡大したい場合や、国内に生産拠点を戻したい場合など、大量の補充を要する際の“機会損失”となると、決して打撃は小さくない。 「学生の学業を優先する」として鳴り物入りで始まった就活の後ろ倒し。活動の長期化により、むしろ本来の目的が阻害されているとも指摘されているが、新たな難題が持ち上がった形だ。(井田通人)

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