send 女性の活躍や企業統治推進 政府、新成長戦略骨子案を提示
2014年6月11日 水曜日
政府は10日、産業競争力会議を開き、27日の閣議決定を目指す新成長戦略の骨子案を示した。「進化する成長戦略によるさらなる成長の本格化」を目指すとして、女性の活躍推進や企業の収益性・生産性を高める企業統治強化に積極的に取り組む方針を掲げた。政府・与党間での調整が続く、農業や雇用、法人税の改革については、骨子案では具体策の明記を見送った。
安倍晋三首相は会議で「日本経済が一変するとのメッセージを強力に打ち出していくためにも骨太な政策に絞り込んでまとめてほしい」と指示した。
骨子案では、新たに講じるべき政策を産業振興、市場の創造、国際展開の3分野に分けて具体的に挙げた。
産業振興では、企業統治を強化するため、独立した社外取締役の設置など上場企業向けの規則「コーポレートガバナンス・コード」の制定を求める。女性の活躍推進のため学童保育の拡充のほか、税制や社会保障制度の見直しも明記した。また、「世界で一番企業が活動しやすい国」を目指すため、地域を絞って大胆な規制緩和を行う国家戦略特区の活用を盛り込んだ。エネルギーコストが企業活動を制約しないように、安全が確認された原子力発電所の再稼働も必要とした。
市場の創造では「中長期的な成長を実現するための課題に挑戦する」として、保険診療と保険外の自由診療を併用する「混合診療」を大幅に拡大する。2020年の東京五輪を見据え、ビザ発給要件の緩和など観光振興に取り組むことも盛り込んだ。
国際展開では、対日直接投資の倍増や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)などの経済連携交渉の推進を掲げた。
政府は、規制改革会議が13日に安倍首相に提出する答申なども踏まえて、骨子案では具体策の明記を見送った農業や雇用分野の改革も盛り込んだ原案を16日に取りまとめる。
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■新成長戦略骨子案のポイント
・企業統治強化のため「コーポレートガバナンス・コード」を策定
・女性の活躍促進を強化するため、学童保育の拡充、税社会保障制度の見直しを進める
・年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などの公的・準公的資金の運用見直し
・国際的に遜色(そんしょく)のない速さと高品質な特許審査の実現
・混合診療の大幅な拡大
・外国人技能実習制度の抜本的見直し