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send 大手ゼネコン、制振・免震技術に知恵結集 南海トラフ級に備え

2015年3月11日 水曜日

bsc1503110500006-p1   東日本大震災から11日で丸4年を迎える中、大手ゼネコンが震災を教訓にした制振・免震技術に磨きをかけている。震災が想定外の巨大規模だったことで、国は建築物の地震対策を厳格化する方針に転換。「災害に強い社会」を築くため、ゼネコンに求められる技術面のハードルはより高くなっている。   震災発生時、震源から遠く離れた東京都内の超高層ビルでゆっくりと長時間揺れる「長周期地震動」が出現、対応策が課題となっている。内閣府は、東海・東南海・南海地震の震源域が連なる南海トラフ(浅い海溝)の最大級地震についてマグニチュード9級の地震発生を想定。国土交通省は現在、巨大地震発生時の長周期地震動の対応策について詰めの作業を進める。   bsc1503110500006-p2   大手ゼネコン関係者は「現行の建築基準法で定めた基準より厳しくなるとの見方が業界内で大勢を占める」と分析、「新築ビルには高い基準の構造設計が求められるほか、既存ビルにもさらなる補強工事などが必要になるのでは」と指摘する。   こうした中、改めて脚光を浴びているのが制振技術だ。鹿島や竹中工務店は、これまで「風揺れ対策」として活用していた制振装置を長周期地震動対策に応用し、存在感を示している。   「昨年秋から今年初めにかけて、週に2、3回の現場説明会を実施した。台湾やインドネシアからも視察に訪れた」   bsc1503110500006-p3   鹿島の黒川泰嗣・構造設計統括グループリーダーは新宿三井ビルディング(東京都新宿区)の屋上で設置工事が進む超大型制振装置「TMD」の関心の高さに驚く。TMDは超高層ビルにおける風揺れ対策装置で、振り子式のおもりが建物の揺れ方向と逆方向に作用し、揺れ幅を軽減する。この技術を鹿島は地震向けに応用。TMD6基のおもり(総重量1800トン)が揺れて建物の振動エネルギーを吸収、地震時の揺れを大幅低減する。今年4月末に完成予定だ。   竹中も2月中旬、新宿野村ビル(同)の最上階部分にTMDを設置すると発表した。2基のおもり(総重量1400トン)が作用し、建物の揺れ時間や揺れ幅を大幅に低減する。TMDは、テナント専有部での工事の必要がないことや、電力を使用しないため停電による影響がないメリットもある。両社は「長周期地震動の揺れに対するテナント就労者の安心感を高めることができる」(鹿島)と期待を寄せる。   主に超高層マンションにおける制振技術で実績を伸ばしているのが、大林組が独自開発した超高層制振構造システム「デュアル・フレーム・システム(DFS)」だ。直近2年余りで国内適用件数は4件増えた。   DFSは“硬い心棒”の役目を果たす内部の建物と、その外周に柱と梁(はり)で構成した“軟らかい”建物(住宅棟)を作り、油圧の粘性で振動を弱める制振装置「オイルダンパー」で両者を連結する。   硬軟2つの建物の揺れ方の相違を利用して、オイルダンパーが地震エネルギーを効果的に吸収。同規模のビルと比べ、地震力(地震時に建物に加わる水平力)を3分の1程度に軽減できる。「長周期地震から直下型地震まで幅広い特性の地震動に有効だ」(同社)という。内部の建物は立体駐車場として有効活用できるほか、住居棟は柱や梁が同規模のビルと比べて少なく済むため、広い居住空間を確保できる。   一方、免震装置のある高層ビルは長周期地震動で共振を引き起こして建物の揺れが増幅し、被害が大きくなることが想定される。大成建設は、揺れの大きさに応じて抵抗力を切り替えることができる「切替型オイルダンパー」を積極活用。発生頻度の高い震度5強程度までの地震は「低減衰モード」だが、震度6、7クラスの大地震発生時には地震エネルギーをより吸収する「高減衰モード」に切り替わり、長時間にわたる揺れを軽減する。大成の担当者は「繰り返しの揺れで鋼材や鉛を使用したダンパーの性能が劣化することが分かっており、既存の免震建物の価値向上が必要だ」とし、切替型オイルダンパーの普及を目指す。   ただ制振・免震技術におけるハード面の強化だけでは、巨大地震への備えは万全ではない。   「安心・安全の基盤を作る最先端施設だ」。4日、清水建設技術研究所(東京都江東区)内に総工費約52億円を掛けて完成した「先端地震防災研究棟」のメディア向け見学会で、清水の東條洋専務執行役員は胸を張った。   同研究棟には「世界中の地震の揺れ」「長周期地震動による超高層ビルの揺れ」を、それぞれ再現できる2つの振動台装置がある。清水はこれらの装置を活用、建物崩壊に至る現象についてのデータを収集・検証する。また振動台の上に設置した専用キャビン内で免震技術の効果や超高層ビル最上階の揺れを体感できる。清水の石川裕技術研究所長は「地震体験プログラムを通じ地震を正しく知って正しく備えてほしい」と訴える。   南海トラフ地震の被害について、政府は最悪32万3000人が死亡、最大約238万棟が全壊・焼失すると想定している。被害を最小限に食い止めるため、ソフト、ハードの両面で知恵を結集することが大手ゼネコンに求められる。(鈴木正行)

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