就活お役立ちビジネスニュース

send 外国人家事代行、日本の需要は? 受け入れ態勢整備も業界に戸惑い

2014年7月23日 水曜日

ecd1407230500001-p1    女性の活躍支援や介護家庭などの家事支援ニーズに対応しようと政府は、年明けにも一部地域から、家事代行サービスで外国人労働者の受け入れに踏み切る。ただ、心理的・経済的両面といわれる抵抗感から、日本では家事代行サービスがなかなか普及してこなかったのも事実。国が外国人受け入れ態勢を整備したところで需要はあるのか。業界には戸惑いも広がる。    「松本さん、こんにちは」「スーザン、今日もよろしくね」。家事代行サービス会社のエプロン姿のフィリピン女性は、パッと周囲が明るくなるような笑顔で、依頼主の女性とあいさつを交わす。    東京都文京区の医師、松本夏美さん(49)=仮名=の家庭では毎週1回、同じフィリピン人スタッフに掃除を頼んでいる。紹介元は外国人駐在員や富裕層向けに家事代行サービスを提供するシェヴ(東京都港区)。250人のスタッフのうち約100人がフィリピン人だ。    松本さんは「ホテルのサービスのようにきれいになるし、何よりスーザンは明るくて人柄がいい」と高くかっている。8年前からシェヴを利用。当初は日本人スタッフだったが、交代要員だったスーザンの仕事ぶりを気に入った。月約4万円の費用も高くないと感じる。    年明けにも「試行」  現在の日本では一般的に外国人が家事労働目的に入国することはできない。例外として日本駐在の外交官や一部外資系企業の経営者などが「帯同」させて雇うことは認めている。そこでも雇用主以外の家事はできず、月額20万円以上の報酬を支払い、雇用主に13歳未満の子供がいるなど厳しい制約がつく。    一方、シェヴは日本人と結婚して永住権をもつフィリピン人女性を雇用することで、外国人スタッフの紹介を可能にしている。「フィリピン人女性はホスピタリティーにあふれ明るく、家事技術が高いため評判がいい」と柳基善社長はいう。    シェヴの顧客は都心に限られているが、家事従事者として外国人が一般家庭にやってくる日が現実になるかもしれない。    政府は「あくまで試行的」(内閣府担当者)としつつも、年明けにも関西の国家戦略特区で、フィリピンやインドネシアから家事従事者を受け入れる方針だ。    18歳以上で単身来日、5年程度の期間上限を設け、フルタイムで企業による雇用を想定。賃金体系は日本人と同様にする。業界各社と自治体でつくる推進協議会で指針をつくり、管理・監督を行うという。    サービスに抵抗感  これに対し、業界各社からは戸惑いの声が噴き出している。「教育コストや日本人家庭の需要が伴うかを考えるとハードルは高い」と話すのは、創業30年を迎える家事代行サービス業界草分けのミニメイド・サービス(東京都渋谷区)の山田長司社長だ。高額な都心での住居費、交通費、日本語学校を含めた教育費をすべて企業が負担するのであれば、ただでさえ富裕層向けの現状価格に上乗せすることになりかねない。    シェヴの柳社長は「日本は家事代行サービス自体にまだまだ抵抗がある。外国人受け入れは現状では一般家庭というより共働きの高所得者層向けになるのでは」とみる。業界大手ダスキンは「具体的に話すまでに至っていない」と様子見の姿勢だ。    業界事情からすると性急にも思える方針決定に、関係者からは「政府は対日直接投資を呼び込むために急いだ。来日する経営者などの家事使用人のため、米国からプレッシャーがあったようだ」との声が漏れてくる。    市場開拓・産業基盤づくり先決  家事代行サービス業務の標準化を検討する政府主催の協議会に参加するベアーズ(東京都中央区)の高橋ゆき専務は「人口減少社会の日本はいずれ、外国人の受け入れが必要」と、政府の方針に一定の理解を示す。しかし、一方で「国が利用者や企業に補助金を出すなど、市場開拓と産業基盤づくりが本来なら先。少なくとも受け入れのスキームづくりに業界関係者ら専門家を入れるべきでは」と訴える。    野村総合研所が2011年に25~44歳の女性を対象に行った調査では、家事代行サービスの利用率はわずか2%だ。「利用していない理由」には「価格が高い」が53%、「他人が家に入ることに抵抗がある」37%と、経済的・心理的抵抗が目立つ。    野村総研の武田佳奈主任コンサルタントは「家事代行というサービス自体は今後、仕事も育児も家事もと抱え込みやすい日本女性や、介護家庭の支援となる可能性が高い」としたうえで、外国人の受け入れについては「産業の認知度や信頼性の向上、費用の負担軽減策など、利用者が安心して利用できる環境が整ってからでは」とみる。市場ニーズや業界の実態を省みない外国人の受け入れは、せっかくの規制緩和も「絵に描いたもち」になるリスクをはらんでいる。(滝川麻衣子)

フジサンケイビジネスアイ

就職コンサルナビ

イノベーションズアイ