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send 国産サイバー対策技術を世界へ 出遅れ日本勢、売り込み活発化 鍵は官民連携

2017年8月7日 月曜日

「インターポール・ワールド」に日本企業が共同で初出展した「日本パビリオン」=7月7日、シンガポール(共同)
 

日本の情報セキュリティー業界で、国産のソフトウエアやサービスを世界に売り込む取り組みが活発になってきた。5月に世界を襲った身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」などサイバー攻撃の脅威が増す中、セキュリティー分野は世界的な成長産業になっているが、市場は米国などの外国企業に席巻され、日本勢は出遅れている。この状況を変える挑戦が始まった。

高品質イメージ 広い展示会場の入り口から奥に進むと、白地に赤と黒の「JAPAN」ロゴマークが目に飛び込んできた。シンガポールで7月上旬にあった国際セキュリティー展示会「インターポール・ワールド」。日本企業10社が共同で初めて「日本パビリオン」を出展した。 業界団体のNPO法人「日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)」が企画し、日本貿易振興機構(ジェトロ)が支援する「オールジャパン」の取り組みとなった。「この種の国際展示会では韓国やイスラエルが常連だ。今回の取り組みは初めてで画期的」と出展企業の関係者は顔をほころばせた。 サイバー攻撃対策は経済発展が著しい東南アジア諸国でも急務となっている。日本ブランドには「高品質」というイメージがあり、JNSAの丸山司郎理事は「5月の身代金要求型ウイルスの被害も日本では少なかった」と、日本流のしっかりした対策ができる製品群をアピールした。

出展企業の一つ、独自のウイルス対策ソフト「yarai」を手掛けるFFRI(東京)。ウイルスの動きを監視し、データベースに登録されていない未知のウイルスも検出できる。数少ない純国産技術のメーカーとして注目されており、国内では多くの大手企業などが導入している。

金居良治取締役は来場者に身代金要求型ウイルスを検出するデモを見せてPRした。「これからグローバル展開を本格化する」。すでに米国に進出しているが、アジア、欧州への拠点開設も視野に入れる。 1日目の夜には和太鼓や書道のパフォーマンスを織り交ぜたレセプションも開催し、約140人が来場した。期間中に各国政府や企業の関係者1000人近くと交流できたという。JNSA海外市場開拓WGリーダーの一宮隆祐氏(NEC)は「日本への関心は高かった。後は各社の努力で受注など具体的成果につなげていきたい」と語った。 変わる風向き 親日的で日本への関心が強い台湾に注目する企業もある。シンガポール展示会にも出展した網屋(東京)は6月、台北市内の高級ホテルで保険業界向けのセキュリティーセミナーを主催した。60人以上が集まり、講師の話に熱心に耳を傾けた。 同社は独自の情報漏洩(ろうえい)対策ツールを手掛け、国内では約3000社の顧客を持つ。昨年から台湾で現地企業向けの展開を始めた結果、大手金融機関などとの契約に成功した。これまでは日系企業を対象にしていたが、伊藤整一社長は「現地向けを思い切ってやったら景色が変わった」と話す。

タイやインドネシアでも事業を本格化させている。「アジアの人たちの日本への思いは強い。もっと積極的に出て行くべきだ」

国内で使われるセキュリティーソフト・機器のほとんどが外国製で、そもそも日本製が少ないという課題もある。ただ、「安全保障」という観点から「セキュリティーの『自給率』を高めておくことも大切だ」(政府関係者)という考え方が出始めており、風向きは変わりつつある。 シンガポールの展示会を訪れた地元の広告会社幹部は「日本企業の一般的なイメージは良いが、今回の出展企業がどんな事業をしているかは何も知らない」と話していた。官民が連携し継続的なアピールをしていくことも成功の鍵となる。

フジサンケイビジネスアイ

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