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send 国内「8K」、狙うは中国市場 「超高精細映像産業」発展の動き

2019年11月22日 金曜日

パナソニックの8Kマルチパーパスカメラ「AK-SHB810」=13日、千葉市の幕張メッセ

放送機器の国際展示会「Inter BEE 2019(国際放送機器展)」が13~15日、千葉市の幕張メッセで開かれた。最新の放送技術が一堂に会するメディア総合イベントとして注目を集め、55回目の今回は過去最多となる国内外の1158社・団体が出展。業界関係者だけでなく、一般客も含めた3日間の登録来場者数は4万375人に上った。特に関心の高い放送技術の一つが超高精細映像の「8K」で、国内の電機メーカー各社も力を入れているが、その視線の先にあるのは巨大市場の中国だ。   本土からの出展増 8Kは画面の精細さの尺度となる「解像度」を指し、画面を構成する画素数は現在、主流のフルハイビジョン(2K)の16倍となる約3300万画素。徐々に普及が進んでいる4K(約829万画素)よりもさらにきめ細かで臨場感のある映像が魅力だ。昨年12月からは、NHKの衛星放送で世界初の本放送がスタートしている。 「Inter BEE」の会場で、ひと際目を引いたのがソニーのブースの440型(9.7メートル×5.4メートル)大画面クリスタルLEDディスプレーで上映された8K映像だ。ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の日本対アイルランド戦やモータースポーツ、音楽番組などの迫力のある映像に、多くの来場者が足を止めて見入った。 キヤノンは、8K放送用カメラ対応のズームレンズの新製品を展示。世界最高の51倍ズームを実現した「UHD-DIGISUPER51」(来年4月上旬発売予定)は、屋内外のスポーツ中継やドキュメンタリー制作などでの利用が期待される。パナソニックのブースでは、今年7月発売の8Kマルチパーパスカメラ「AK-SHB810」1台で、最大4枠の画像を切り出す技術を実演。8K画像は一部を切り出しても画像は高精細なままで、切り出した画像はそれぞれフレーミング操作もできるため、ライブイベント会場などでカメラの設置台数を減らせるという。 これらの日本メーカーが一様に声をそろえるのが、中国の関心の高さだ。今回の中国からの出展者数は、前回に比べ17増の67社・団体。「Inter BEE」を主催する電子情報技術産業協会(JEITA)は「出展者数だけでなく、中国からの来場者数もここ数年増加傾向にある」と強調する。 その背景には、中国政府を挙げて8Kをはじめとする超高精細映像に関する産業を発展させようという動きがある。 みずほ総合研究所の劉家敏アジア調査部中国室研究員によると、中国工業情報化部、国家ラジオテレビ総局、中央ラジオテレビ(中央広播電視総台)は今年3月、共同で「超高精細映像産業発展行動計画(19~22年)」を発表。超高精細映像産業の発展加速の推進を指導思想とした上で、20年までに(1)4Kテレビの販売台数が全体の4割超(2)4K放送の視聴者数が1億世帯、22年までに(1)4Kテレビが全面普及(2)8Kテレビの販売台数が全体の5%超(3)4K・8K放送の視聴者数が2億世帯(4)超高精細映像産業の規模が4兆元(約60兆円)規模-といった野心的な目標を掲げた。 具体的には、▽革新的な重要部品の開発▽超高画質番組の供給拡大▽産業の革新力強化と資金投入メカニズムの整備▽国内外技術・人材・資金の活用-などの文言が並ぶ。劉氏は「中国政府は新たな成長分野として超高精細映像産業を育てようとしており、ハイエンドの消費需要の喚起に力を入れている」と指摘。さらに「22年には北京冬季五輪が予定されており、国際社会へ高い技術力を大々的にアピールする狙いがある」とも解説する。   官民挙げた対応必要 中国の“8K覇権”狙いの動きに日本メーカーも目を輝かす。キヤノンイメージソリューション事業本部主席の鹿倉明祐氏は「日本は『技術は素晴らしいが価格が高い』と導入に尻込みする放送局が多いが、中国は『いくらでもカネはある』と非常に積極的だ」と明かす。各社とも、中国国営中央テレビ(CCTV)など中国の放送局からの引き合いは少なくないという。 現時点では日本がリードする8K技術だが、圧倒的なヒト・モノ・カネを投入してくる中国に数年後にはのみ込まれる可能性もある。日本メーカーが中国に席巻された家電などの二の舞いとならないよう、官民挙げて戦略的な対応が必要となりそうだ。(桑原雄尚)

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