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send 原発輸出、成長戦略曲がり角 東芝が米テキサス撤退、安全対策で採算悪化

2018年6月1日 金曜日

米原発建設計画「サウス・テキサス・プロジェクト」=テキサス州(ブルームバーグ)

東芝は31日、米テキサス州で参画していた原発新設計画から撤退すると発表した。2018年末までに撤退を完了する予定。東芝は米原発子会社の巨額損失を受けて海外での原発建設から撤退する方針を打ち出しており、今回もその一環。関連損失は18年3月期決算までに計上しており、19年3月期決算に与える影響は軽微という。

撤退を決めたのは「サウス・テキサス・プロジェクト」と呼ばれる計画で、08年に東芝も出資して事業開発会社が設立。改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)2基の建設準備を進めていた。ただ東京電力福島第1原発事故以降、安全対策費がかさみ採算の悪化で事業への出資者が集まらず、建設計画は凍結されていた。 これで東芝に残る海外の原発新設案件は、英国北西部での計画のみになった。英国では東芝の完全子会社が計画を進めるが、韓国企業への売却に向け交渉を始めている。 安倍晋三政権が成長戦略の目玉として取り組んできた原発輸出が岐路に立たされている。推進役だった東芝は既に海外からの撤退方針を決め、日立製作所の英国、三菱重工業のトルコの新設計画はいずれも実施に向けた調整が難航する。福島第1原発事故後、安全対策で建設費用が跳ね上がり投資回収への不安が強まるとともに、事故時の責任所在など含め課題が多すぎるためで、成長戦略の行方はかすんでいる。   日立の英計画も難題 「難しい課題はたくさんある」。日立の中西宏明会長は、英国で計画する原発新設計画について、経団連会長としての立場のインタビューで、こう話した。

原発輸出が難しいのはいくつか理由がある。一つは初期費用が巨額になったこと。原発事故前は1基5000億円が相場だったが、事故後の安全基準の強化で1兆円以上になった。電力事業は、初期投資を発電所の運転開始後に電力料金で回収するのが基本だが、料金の設定次第では想定通りに初期投資が回収できないリスクが高まり、出資者が集まりにくくなった。

さらに、事故時の損害賠償責任をどう明確化するかの問題もある。東京電力ホールディングスは原発事故で巨額の賠償責任を負っており、責任所在は最大の悩みの種だ。 現在、日立が進める計画は英国に2基の原発を新設するという内容。ただ、総事業費は安全対策費などで3兆円規模に膨らんだ。日立は着工するかどうかを19年に決める方針で、5月3日には中西氏がメイ英首相と現地で会談して、英政府の支援拡大を直接求めた。 これまでの協議を通じ、英政府は、融資で2兆円を負担し、出資で賄う残り約1兆円を日立、英政府と現地企業、日本の政府系金融機関などが均等負担する案を示した。ただ日立の東原敏昭社長は同28日、電力の買い取り料金や事故時の責任も含めて「まだ何も決まっていない」と述べており、先行きは予断を許さない。   三菱重工は両にらみ 一方、三菱重工が参加するトルコの新設計画も総事業費が膨らんで、採算確保が難しくなっている。トルコへの原発輸出は13年に日本、トルコの政府間で合意し、23年の稼働を目指している。三菱重工は今夏に終了予定の事前調査の結果を踏まえ両政府と協議する考えだが、宮永俊一社長は同8日の会見で「可能性をいろいろな形で追求している」と述べ、撤退も含めて検討する考えを示唆。安倍政権が成長戦略と位置付けてきた原発輸出の先行きは、より見通しにくくなっている。(今井裕治)

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