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send 出光の創業家説得の決め手なし 昭和シェルとの合併問題、かみ合わぬ認識

2016年7月25日 月曜日

  bsd1607250500004-p1   昭和シェル石油との合併計画をめぐる出光興産の経営陣と創業家の対立は、直接協議を経ても解決の糸口が見えない。33.92%の出光株を持つと主張する創業家は、合併の取り下げを求める姿勢を崩していない。経営側は粘り強く創業家を説得していく考えだが、決め手に欠ける。社風や中東情勢などにからむ両者の認識には、依然大きな溝が残ったままだ。   遺訓が背景に   創業家が6月28日の定時株主総会で合併に反対した理由は、同社が守ってきた創業者の“遺訓”が背景にある。   創業者の出光佐三氏は自ら掲げた「大家族主義」を求心力に積極果敢な経営手法で会社を成長させた。第二次世界大戦後の混乱の中でも社員の雇用を守り抜いた。2006年まで非上場を貫き、現在も同社に労働組合は存在していない。佐三氏の理念を強みとしてきた経営手法は、株主の利益を最優先とする欧米流の企業経営とは対極を成す。   一方、合併相手の昭シェルは巨大石油資本(メジャー)の系列で労組を持つ。出光昭介名誉会長ら創業家は「社風が違う」両社の合併で、出光らしい経営が損なわれることに懸念を示した。合併以外の手法でも経営統合を受け入れない構えだ。  

対する経営側は「昭シェルの労使関係は良好」と説明。「両社の根底に流れる価値観には多くの共通点がある」として、創業家に理解を求める一方、両社で統合準備を進める分科会を間接部門を中心に発足し、交流を深めている。だが、創業家を納得させるだけの材料を打ち出せていないのが実情だ。

  両社の統合に創業家が反対する理由には、産油国の中東情勢をめぐる変化も大きい。佐三氏は石油メジャーに対抗し、国際的に孤立していたイランから、秘密裏に大量の石油を安く買い付けた「日章丸事件」で世界中の注目を集めた。以来、イランとは友好的な関係にある。   一方、昭シェルの大株主にはサウジアラビアの国営石油企業サウジアラムコが約15%出資している。ただ、サウジとイランは国交断絶状態にあり、創業家側は「中東が混迷の度合いを深める中、サウジの系列になるのは適切ではない」と指摘する。  

ただ、経営側によると輸入原油は、15年度ではサウジ産が約40%とトップ。1月まで欧米の経済制裁を受けていたイラン産は約1%しかなく、創業家側の主張は現実にそぐわない部分がある。経営側は「サウジとはすでに緊密な関係にある」と主張する。

「身内」公益法人も   出光と昭シェルの合併承認には、年内に予定する出光の臨時株主総会で、株主の3分の2以上の賛成が必要になる。ただ、創業家側は総会で合併を拒否できる3分の1超の株式を保有しており、経営側が押し切るのは困難な状況だ。   こうした中で経営側は、創業家側が主張する株式保有比率に公益財団法人の出光美術館の保有分が含まれていると指摘。公益性が高い法人が経営に関与することに異議を唱えた。対する創業家側は、昭介氏が理事長を務める同美術館の議決権行使に支障が出ないよう定款を変更し合併反対に向け足場を固めた。   企業関連の公益法人による株式保有は、かつての株式持ち合いと同様、経営の自由度を確保する安定株主の側面を持つ。経営側にとって“身内”だったはずの公益法人の議決権が、経営判断の否定にまわった事実は、創業家と経営側の意思疎通が不十分な実情を浮き彫りにした。両者は今後も協議を重ねる予定だが、歩み寄りの道筋は見えない。(佐藤克史)

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