就活お役立ちビジネスニュース

send 公示地価 商業地26年ぶりプラス転換 観光地「ブランド」が牽引、格差拡大も

2018年3月28日 水曜日

ニセコ観光圏は訪日外国人旅行者などでにぎわい商業地としての需要も高まっている=3月下旬、北海道倶知安町  

国土交通省が27日発表した今年1月1日時点の公示地価は、三大都市圏を除く地方圏の商業地が前年比0.5%上昇と、1992年以来26年ぶりにプラスに転じた。住宅地、工業地を含む全用途の平均は0.04%の微増で下げ止まった。札幌、仙台、広島、福岡の地方の中核的な4市や県庁所在地を中心に、再開発や訪日外国人旅行者向けのホテル建設などが活発化した。

全国平均は、商業地が1.9%のプラスで上昇は3年連続。住宅地は0.3%のプラスと、前年の0.02%の微増から上昇幅が拡大した。全用途でみると約2万6000の調査地点のうち、上昇が41%と10年ぶりに下落(38%)を上回った。 地方圏の商業地では、中核的な4市が平均で7.9%と上昇幅が拡大。地方圏の住宅地は0.1%のマイナスで、下落幅が縮小した。雇用環境の改善や低金利政策の影響で、駅前といった利便性の高い地点が伸びた。工業地は0.2%のプラスで前年の0.4%の下落から反転、26年ぶりの上昇となった。三大都市圏は商業地が前年比0.6ポイント増の3.9%の上昇、住宅地が0.2ポイント増の0.7%プラスで上昇幅が拡大した。 地点別の上昇率では、訪日客のリゾート関連需要が高まる北海道倶知安町が、商業地1位(35.6%)と住宅地の上位3位までを独占した。全国の最高額は東京都中央区の「山野楽器銀座本店」で、1平方メートル当たり5550万円。

 投資マネー集まる

世界的なスキーリゾートとなった北海道・ニセコ。目抜き通りには宿泊施設や店舗が並び、オーストラリアやアジアからの観光客が行き交う。「ニセコに別荘」は海外富裕層の間でステータス化しつつあり、現地で不動産仲介を展開する東急リゾートは「70~100平方メートルで1億円超のコンドミニアムが活発に取引されている」と明かす。 地価上昇率はニセコ観光圏に位置する北海道倶知安町が住宅地のトップ3を独占し商業地でもトップ。 住宅地は北海道や沖縄県が9位まで占め、商業地も大阪・道頓堀に京都など訪日外国人旅行者に人気の“観光銘柄”が幅をきかせた。 有望な観光地には投資マネーが集まる。投資法人の野村不動産マスターファンドは5日、札幌の中心街に近い宿泊特化型ホテルを36億円で取得した。同種のホテルとしては高額だが、今後の収益まで加味した想定利回りは都心オフィスを上回る5.1%。「好立地と高稼働率が強み」。担当幹部は自信を深める。 リターンも大きい 不動産サービス大手のジョーンズラングラサール(JLL)によると、2017年の商業用不動産投資額は前年比13%増。日銀の低金利政策を背景に国債以上の利回りを求める投資家が不動産に投資マネーを振り向ける。ただ都心のオフィス投資では、急激な地価上昇が利回りを減殺する。 代わって熱視線を注がれるのが地方の観光地。JLLの大東雄人アソシエイトディレクターは「投資家は一定のリスクをとって利回りのいいホテルや商業ビルへの投資を増やしている。人気の観光地ならリターンも大きい」と分析する。

■「ブランド」が地域格差引き起こす

 海外投資比率が上昇 米国の金利上昇の流れも影響する。米国では国債と不動産(都心オフィス)の利回り差が2017年1~3月から3%を切り、不動産投資では低金利の継続が見込まれる日本市場の“お得感”が強い。16年に14%だった日本の商業用不動産の海外投資比率は17年、26%に跳ね上がっている。 大東氏は「海外マネーの流入は、世界でも観光ブランドとして名の売れるニセコや京都などには有利に働いた」と解説する。 観光地としての「ブランド」が地方の地価上昇を牽引(けんいん)する構図は、地方間の格差拡大を引き起こす。 「三崎のマグロ」で知られる三浦半島(神奈川県)の三浦市は地価下落率が住宅地で全国1~3位、商業地でも下落率10位だ。 京浜急行電鉄の三崎口駅は都心から約1時間の好アクセスだが、年間乗降客数は近年1万8000人前後と訪日客数増加の流れから取り残される。 「魅力向上へ努力を」 品川-羽田空港間がドル箱路線に成長する京急は、グループでホテルやレジャー施設も運営する三浦半島のてこ入れに着手。タイや台湾などに事務所を構えてPRを加速。また東京大学の研究チームと共同で三浦半島の魅力について報告をとりまとめ、今後のイベント企画に生かしていく。 三井住友トラスト基礎研究所の北村邦夫部長は「地価上昇が地方に波及する流れを一過性で終わらせないためには、魅力向上に向けた地元の主体的な努力が求められるほか、海外へのプロモーションなどで後押しする政府の役割も重要になる」と指摘している。(佐久間修志)

フジサンケイビジネスアイ

就職コンサルナビ

イノベーションズアイ