就活お役立ちビジネスニュース

send 公取委指針めぐり航空大手が空中戦 公的支援企業、投資など規制盛り込み

2016年5月9日 月曜日

  bsd1605090500002-p1   公正取引委員会が3月にとりまとめた一つの指針が、国内の大手航空2社に波紋を広げている。指針は経営難に陥った民間企業に対し、政府系の機関が公的支援を行うにあたっての基準をまとめたものだが、日本航空(JAL)の再生の経緯を念頭に、支援を受けた企業の事業活動を制約する可能性のある項目が盛り込まれたためだ。早くも指針の理念が反映された政策判断もみられ、新たな火種となる可能性も出ている。   「公平・公正な競争環境を確保することが、市場原理の下で企業間の健全な競争を促し、ひいては日本経済の発展に大きく寄与することになると確信しております」   迫る指導の期限   3月31日、全日空(ANA)を傘下に持つANAホールディングス(HD)が出したコメントの行間には、JALとのライバル関係に対し、政府の“後ろ盾”が得られたことへの喜色がにじんだ。   公取委が発表した指針では、公的支援を行う際の原則として、(1)民間だけでは円滑な事業再生が不可能な場合などに限り、民間による支援を補完する役割とする(2)事業再生のために必要最小限の規模・手法で行う(3)市場メカニズムへの影響を明確にし、個別事案の情報なども透明性に配慮する-の3点を明示した。加えて、公的支援が競争に過度な影響を与えないよう、なるべく民間金融機関からの借り入れを求めることや支援を原則1回限りとすることなども盛り込まれた。  

一見すると指針の内容は当たり前の一般論に映るが、これを策定したきっかけは2010年に経営破綻したJALへの政府支援に対するANAの反発で、指針はJALのケースが念頭に置かれている。

 公的資金の注入で再生を助けた結果、法人税減免もあり、いまやJALの利益がANAを上回ってしまう状況となった。これを踏まえ、JALに対し、政府は新規投資の監視などをうたう「8・10ペーパー」(定期的または必要に応じ、投資・路線計画について報告を求め、その状況を監視するとした国土交通省の文書)を出しているが、効力は16年度いっぱいだ。このためANAは再三にわたり、「競争環境のゆがみ回避」を求めていた。   期待高かったANA   指針は今後の再生支援ケースに適用されるが「8・10ペーパー」のお墨付きとなるため、内容に対するANAの期待は高かった。   ANAHDの片野坂真哉社長は2月の会見で、「指針がパブリックコメント中」と自分から報道陣に注意喚起を促したほか、公取委から指針が出た3月31日の当日も、広報担当者が報道陣に対し、記事化の有無やコメントが必要か否かについての根回しを行った。  

結果的に指針では「競争環境への影響を最小化するため」として、新規事業への投資などを一定期間制限する「行動措置」や事業譲渡などの「構造措置」を検討するといった内容が盛り込まれた。ANAは早速、「強く賛同いたします」と持ち上げるコメントを出した一方、JALは「コメントを用意していない」として言及を避けた。

  指針の中に、「行動措置」などといった「8・10ペーパー」の“ヨコ展開”ともいえる内容が明記されたことに対する、JALの衝撃の大きさは想像に難くない。   羽田発着枠に反映 「調整」着地点見えず   指針が出された3月は、ANA、JALの両社が2月の日米航空交渉で決まった羽田空港の国際線発着枠をめぐり、配分調整が行われていたタイミングだ。特に新規に設定された昼時間帯の発着枠は、ビジネスマンの需要が大きいニューヨークなど米東海岸への路線開設を可能にする「ドル箱」枠。仮に発着枠がANAへ傾斜配分されれば、国際線を事業の柱とするJALの経営への影響は大きい。   配分を検討していた国土交通省の幹部は、「公取委の指針は一般論」と一笑に付してみせたが、最終的には指針の事実上のプロトタイプ(試作版)となった「8・10ペーパー」の方針が色濃く反映された格好となった。   国交省は4月26日、羽田空港の発着枠6便(1便=1往復)の配分について、ANA4便(昼時間帯3便、深夜・早朝時間帯1便)、JAL2便(昼時間帯のみ)とする方針を発表した。配分は10月下旬からの冬ダイヤから反映される方向だが、JALは昼時間帯でANAとの競争力に差が付くほか、認められた2便においても、「ドル箱」の東海岸便が「新規事業」に当たるとの理由で設定ができない。  

石井啓一国交相は同日の閣議後会見で「今回の配分で競争環境が不適切にゆがめられている恐れは一定程度払拭された」と述べた。ANAHDとJALの両社はそれぞれ「(「8・10ペーパー」の)方針の下、配分されたことに深く感謝」(ANA)「配分を決めるのは国交省で仕方がないが残念」(JAL)とのコメントを出した。

  大手2社がシェアの大半を占める日本の航空業界で起きた公的支援とその後の調整措置。政府主導の「シーソー・ゲーム」がもたらすバランス調整の“着陸点”は見えない。(佐久間修志)

フジサンケイビジネスアイ

就職コンサルナビ

イノベーションズアイ