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send 企業の停電対策、地域も救う 災害時に活躍、生活支えるコンビニ・製紙工場

2019年4月8日 月曜日

セブン-イレブンのモデル店舗の駐車場に設置された太陽光パネル=2018年5月、相模原市(提供写真)

昨年9月の北海道地震に伴う全域停電では、多くの企業、店舗が営業停止に追い込まれた。道は、停電による商工業の影響額を約1318億円に上ると推計。一方、事前の備えで営業を続けられたコンビニや、自家発電設備から一般の送配電網に緊急供給し、電力不足を補った工場もある。企業の停電対策を探った。   駐車場で太陽光発電 北海道を中心に展開するコンビニ「セイコーマート」。地震が発生した昨年9月6日、道内約1100店のうち、約1050店が営業を続けた。 2004年に北海道を襲った台風による停電をきっかけに、災害用電源キットを全店に配備。地震後は車のシガーソケットの電源でレジを動かした。店内調理の弁当を売りにしていたことも功を奏し、約500店にあったガス炊飯器を使うことができた。ガス炊飯器は11年の東日本大震災後に導入を増やし、災害時の活用を決めていた。被災直後の混乱の中、温かいおにぎりを店頭に並べ、インターネット上で賛辞の声が広がった。 さらなる備えを進めようと、今年2月に日産自動車と協定を締結。停電の際、日産販売店の電気自動車(EV)を店舗に移動させて電源を確保する。EV用の設備がある札幌市内の店舗から始め、道内各地に取り組みを広げる考えだ。運営会社「セコマ」(札幌市)の丸谷智保社長(64)は「住民に安心感を与えることが、地域インフラであるコンビニの重要な役割だ」と強調した。

セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンのコンビニ大手3社は、17年に災害対策基本法の「指定公共機関」となった。政府などの要請に応じて食品や飲料水などを調達し、速やかに被災地へ届ける役割を期待されている。

セブン-イレブンは全国で、停電時にレジや非常灯を作動させるバッテリーをほぼ全店に配備。約4時間分の電力を賄うことができる。 相模原市には、消費電力の約半分を再生可能エネルギーで賄うモデル店舗もある。駐車場や店舗屋上などに太陽光パネルを設置。「環境負荷の低減」を目的としているが、蓄電池を備えており非常用電源として活用できそうだ。セブン&アイ・ホールディングス広報センターは「環境に優しく、災害に強い店づくりを進めたい」とした。 ファミリーマートとローソンは地震の際、レジを使えなかったため、検品用端末で商品のバーコードを読み取って会計した。端末の充電や電池が切れると、手計算で対応した。ローソンでは端末の専用電池の発注が増えたといい、広報担当者は「北海道地震を教訓に、停電対策の強化を検討している」と話した。 各社とも課題を残したのは、商品や物流の確保だ。店舗に比べ、食品などの製造工場や配送拠点の停電対策は進んでいない。セコマの丸谷社長は「店舗の在庫をいち早く平常通りに復旧することが重要。多様な電源の確保を模索していく」と語った。   生産止めて緊急送電 一方、北海道地震の後、道内の一部企業は自家発電設備をフル稼働し、一般の送配電網に緊急供給した。昨年9月8日から13日まで約350万キロワットで推移していた道内の供給力のうち、企業からの融通が約50万キロワットを占めていた。

新聞用紙生産日本一の王子製紙苫小牧工場(苫小牧市)は、水力発電所(出力計5万6000キロワット)と火力発電設備(計26万8000キロワット)を保有。平常時から電力の一部を北海道電などに売電している。

地震が発生した昨年9月6日、北海道電は大規模発電設備を持つ企業に「最大限の協力」を要請した。苫小牧工場は一時生産を止めて発電分を全て北海道電向けに供給。普段使わない発電設備も稼働して供給力を上積みした。緊急送電は9月7日から21日まで続いた。 植村彰彦工場長(64)は「道民の生活が最優先。社内では、コストを考えずに送電しようと意見が一致していた」と振り返る。9月の生産量は例年の3分の1まで落ち込み、燃料費もかさんだ。 だが、自社で発電設備を持つ利点も再認識した。植村工場長は「北海道電から電気をもらわなくても、まず自前の水力を動かして、その電力で停止していたメインの火力も稼働させた」と話す。       ■貢献大きい「町の小さな発電所」 経済産業省などによると、電力大手10社が保有する発電所の総出力は昨年11月時点で約2億521万キロワット。これに対し、新電力を含む企業の発電所や自家発電設備の総出力は同9月時点で計7600万キロワットを上回る。東日本大震災後、各地で原発が停止したこともあり、企業からの供給は増した。

トヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)は12年、「カローラ」を生産する主力の大衡工場でガスエンジンの自家発電設備(7800キロワット)を導入した。発電分は、同じ工業団地の自動車部品会社など6社にも供給している。災害時の外部供給では宮城県や大衡村と協定を結んでいる。震災で停電し、節電要請も長引いたことで「町の小さな発電所として地域に貢献したい」と考えたという。非常時には東北電力に最大1500キロワットを売電し、東北電を通じて大衡村役場や指定避難所などの防災拠点に供給する取り決めだ。平常時は東北電に売電していないため、非常時専用の高圧送電線も新設した。

京都大大学院の手塚哲央教授(エネルギーシステム学)は「一般企業と電力会社の垣根がなくなりつつある。全ての自家発電設備が電力大手の送電網につながっているわけではないので、電力融通のネットワークづくりが重要だ」と指摘した。

フジサンケイビジネスアイ

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