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send 人民元、企業に期待と不安 VWは決済持ちかけ…“日本侵食”は時間の問題

2015年12月2日 水曜日

  mcb1512020500001-p1   国際通貨基金(IMF)は11月30日の理事会で、加盟国に配分している仮想通貨「特別引き出し権(SDR)」の構成通貨に人民元を加えることを決めた。構成通貨は2016年10月からドル、ユーロ、ポンド、円、人民元の5通貨となる。IMFのラガルド専務理事は理事会での決定後に記者会見し、人民元の採用について「中国経済の世界の金融システムへの統合に向けた重要な一里塚だ」と述べた。   SDRの価値を現実の通貨に換算する際に使われる比重は、ドルが41.73%、ユーロが30.93%、人民元が10.92%、円が8.33%、ポンドが8.09%となる。人民元は、ドル、ユーロに次ぐ3番目の大きさとなり、中国経済の影響力拡大を象徴する順番となった。   一部に人民元が「自由に取引できる通貨」という構成通貨の条件を満たしていないとの声も出ていたが、IMFは、かつてはポンドや円も資本規制が残っている段階で「自由に取り引きできる通貨」として認定されたと指摘した。米財務省も「IMFの決定を支持する」とのコメントを発表した。(ワシントン 小雲規生)   人民元がIMFのSDRに組み入れられるのを受け、政府は東京市場への人民元決済銀行誘致をもくろみ、金融業界は「元関連ビジネスの収益が膨らむ」と皮算用をはじく。だが、中国経済の失速による元暴落も懸念される中、企業や個人が元取引の拡大を急ぐには、なお高いリスクが伴いそうだ。   菅義偉官房長官は1日の記者会見で、「日本政府として決定を尊重したい」と歓迎した。   麻生太郎財務相も同日の閣議後会見で歓迎を表明したが、「元のSDR採用は象徴的な意味合い。民間取引への直接影響はない」との見方を示した。   しかし、財務省は元のSDR採用を支持する見返りに、元決済銀行を日本国内に設置するよう中国側に働きかけている。元取引を起爆剤に東京市場の活性化を狙ったものだ。  

元の“足音”はひたひたと企業にも迫っている。

  「国内の自動車部品メーカーが独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)から元決済を持ちかけられている」   今春、日本のあるメガバンクに驚くべき情報が飛び込んできた。   VWは既に中国から遠く離れた欧州域内で、部品メーカーとの決済通貨をユーロから元に切り替え始めた。   VWは今年上期(1~6月)の販売台数で、トヨタ自動車を抜き世界首位に躍り出たが、その原動力は巨大市場の中国。10月には排ガス不正で日米欧の販売が急失速する中、他社に先駆けて進出した中国では政府からの支援もあって、前年同月比プラスを確保した。   VWは中国国内で手に入れた大量の元を欧州でユーロに両替すると手数料が掛かり、為替差損益に一喜一憂してしまう。このため、「元をそのまま部品メーカーへの支払いに回すことができれば都合がいい」(邦銀担当者)と判断したようだ。  

ある証券系エコノミストは「VWによる元の“日本侵食”も時間の問題」と予想する。

商品人気に陰り

  一方、日系自動車大手と系列部品メーカーも中国とタイの現地法人同士では、既に元による貿易決済を始めている。元を共用通貨にすれば、互いに為替リスクを気にせずに済むからだ。   実需の広がりを背景に、日本の3メガバンクは「邦銀初」「外銀初」の元決済サービスを次々と打ち出し、顧客を囲い込もうとしている。   三菱東京UFJ銀行は6月、国内で初めて元建て債券を発行するなど元の調達手段を多様化。谷徹雄・東アジア企画部副部長は「いったん出遅れれば顧客を奪われてしまう。元決済ビジネスをやるリスクより、やらないリスクの方が大きい」と打ち明ける。  

これに対し、個人向けの元建て資産人気には陰りもみられる。

  損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントは2011年7月に元建て債券ファンドを発売。「どんどん元高になる」との期待感から、ピーク時(12年初頭)の運用残高は20億円を超えたが、現在は約6億円にとどまる。   元は昨年、景気の失速懸念から対ドルで5年ぶりに下落に転じ、今夏には事実上の元切り下げが繰り返されたため「元建て商品のうまみがそれほど大きくなくなった」(担当者)という。   ある外資系証券エコノミストは「企業や個人が元取引にのめり込みすぎるのは危険」と警鐘を鳴らす。(藤原章裕)

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