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send 人手不足、大都市・地方問わず 「15~64歳」最低水準

2019年4月22日 月曜日

秋田県への就職や移住を促す施策を打ち合わせる同県担当者=11日、東京都内

外国人に活路も不透明

総務省が今月公表した2018年10月1日時点の人口推計で、働き手の中心となる15~64歳の総人口に占める割合が過去最低水準の59.7%となり、大都市、地方を問わず人手不足が深刻さを増している。各自治体は人材確保の取り組みを活発化させるが、若者らの流出が続く地域では手詰まり感も見える。4月に新制度が始まった外国人労働者の受け入れに活路を見いだす試みもあるが、即戦力としてどれほど期待できるかは見通せない。   ◆自治体取り組み活発 人口減少率が全国最高の1.47%だった秋田県。地元シンクタンクの秋田経済研究所が県内約300社に実施したアンケートでは、経営課題として56.1%が「人材不足」を挙げた。特に主要産業である電子部品製造業や衣服縫製業などの人材難が目立ち、同研究所は「職種や賃金水準で、求人と求職の条件が合っていない」と分析する。 秋田県は同県の出身者を首都圏から呼び戻そうと、東京都内の事務所に就業・移住の相談員7人を配置。「Aターン」と名付けた既卒者の就職支援事業で年間約1000人の就業を仲介している。しかし担当者は「毎年、数千人の高卒者が進学を機に県外へ出ている。とても追いつかない」と危機感を募らせる。 全国の移住希望者らにアピールするため、インターネットによる求人情報の発信などに力を入れる自治体もある。 愛媛県は求人情報と移住支援の総合サイト「あのこの愛媛」を17年度に開設。県内の求人情報1万7000件を集約し、同年10月から1年間で2500件の仲介実績を積み上げた。19年度は民間の大手求人サイトにも求人情報を提供する予定で「データを蓄積して、新たな施策につなげたい」(総合政策課)。 ただ景気回復の影響で東京など大都市でも人手不足が続いており、都市部と地方で人材の奪い合いになっているとの指摘もある。ある県の関係者は「待遇の良い企業が集まる都市部に、若者が吸い取られている」とこぼした。 政府は人手不足の解消に向け、4月に外国人就労を拡大する新制度をスタート。介護や農業、建設など14業種で最大34万5000人の受け入れを見込む。14日には、日本在留の資格を得てホテルや旅館で働きたいと希望する外国人を対象に初の特定技能試験が実施され、人手不足に悩む宿泊業界は歓迎する。だが、地方でも人材を確保できるか不安を抱える。  

◆観光の求人6.15倍

「日本のサービス業のおもてなしは他国にないほど素晴らしく、中国でも広げたい。試験はかなりできたと思う」。日本で専門学校に通う中国人女性(24)は東京都内で受験後、抱負と手応えを笑顔で語った。 試験がこの日行われたのは全国7会場。札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、福岡でそれぞれ30~60人、東京では約120人が挑んだ。 観光庁によると、業界では人材難が続く。支配人や給仕係、接客係などの17年の有効求人倍率は6.15倍。働き手を見つけられず、空室があっても予約を断る事態が一部で起きている。 「他産業に比べ給料も良くない。地方ほど人手不足は深刻だ」。日本旅館協会の担当者は、土日に休みにくいこともあり、日本人に敬遠されがちだと打ち明けた。 成長戦略の柱として訪日客誘致に取り組む政府の推計では、23年に業界で約10万人の労働力不足が見込まれる。このため、業務効率化や日本人の就労を進めても足りない約2万2000人を外国人材で補う計画だ。   「特定技能」将来に期待 ホテルチェーン大手も独自に動きだしている。東横インは、フィリピン・セブ島の自社ホテルで働く現地従業員約20人に、特定技能試験に向けた研修を実施。将来の日本勤務に期待を寄せる。 ただ、就労の希望先が賃金水準や利便性の高い都市部に偏る懸念は拭えない。受験者は各地に住む留学生が多く、同じ地域で働きたい人もいるとみられるが「交通の便が良い東京周辺か、観光資源の多い京都で働きたい」(東京会場のネパール人男性)といった声は少なくなさそうだ。山陰地方の温泉旅館組合役員は「採用ルートを考えるなど、流れに乗り遅れないよう研究している」と危機感をにじませる。 合格すれば技能に一定の「お墨付き」が与えられる。とはいえ、大阪府の人材紹介会社の担当者は「即戦力になるかは未知数」とみる。 同社は試験を「新たな人材獲得の道ができた」と評価し、受験申請を支援してきたが、業界での経験がない留学生もいるという。担当者は「採用側で一人前に育てることが大切。そうすれば十分に活躍できる」と、研修の充実を訴える。 外国人の少ない地域では、安心して暮らしてもらえる環境づくりも課題となる。京都外国語大の広岡裕一教授(観光学)は「個々の宿泊施設だけでなく、旅館組合や市町村などが地域単位でサポート態勢を組むことが重要だ」と強調した。

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