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send 人工知能事業化、日米で競争加速 「自ら学習・解析」能力向上、新市場拡大

2015年8月7日 金曜日

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人工知能(AI)をビジネスに活用しようという競争が、日米で激しくなっている。事前にコンピューターにプログラミングするのではなく、自ら学習・解析する機能「ディープラーニング」が飛躍的に向上したためだ。IT企業がシステムやアプリケーションなどを次々に開発しており、近い将来、自動運転車やロボットへの導入をはじめ学校の授業や接客などの現場での利用が見込まれる。ただ米国との差はまだあり、日本の大学など研究機関がAI研究の強化に乗り出したばかりだ。

  「生徒によって間違え方はそれぞれであり、解決方法もそれぞれ。講師から生徒への“一方通行型”の教育を改善したかった」。学習塾運営のCOMPASS(コンパス、東京都世田谷区)の神野元基最高経営責任者(CEO)は、AIを用いたタブレット用教材「トレジャーボックス」を開発した理由をこう語る。   トレジャーボックスは、生徒が数学の問題を解答する際の速さや間違いの原因などを学習し最適な問題を出していく。生徒が問題を解けば解くほど、より理解度に合った問題が提供できる。塾の講師は、生徒一人一人の解答数や集中状況などを瞬時にパソコンなどで閲覧でき、「まるで個別指導をしているかのようなコミュニケーションを実現できる」(神野氏)という。同社は11月から大手学習塾などにこの教材の提供を始め、2016年末までに1000教室まで拡大させる計画だ。   bsc1508070500002-p2  

人間超える日近い?

  00年代半ば以降、ディープラーニングの研究・実用化が進み現状は「第3次AIブーム」と呼ばれる。「こんなときにこんな判断をしたらこういう結果になった」という人の経験を、AIが学習・解析することで的確な判断が行える可能性がある。コンピューターが人間の能力を超えてしまう「2045年問題」も話題になっている。   インターネット上にあふれるファッション情報を、消費者一人一人の「感性」を学んだAIが解析するシステムを開発したのが、カラフル・ボード(同渋谷区)だ。   同社は慶応大や千葉大と共同開発したAI「SENSY(センシー)」を活用し、14年11月からスマホのファッションアプリサービスを始めた。利用者の嗜好(しこう)や感性を学んだセンシーが参加ブランドのEC(電子商取引)サイトを通じ利用者に合った服や装飾品などを提案する。同社の渡辺祐樹CEOは「検索エンジンやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が普及し、次に必要になるのはユーザー側に立ったパーソナルなプラットフォームだと考えた」と話す。今後は音楽やグルメなどの業界大手と連携する方針だ。  

ソフトバンクは7月30日、日本IBMと共同で実施する米IBM製コンピューター「ワトソン」を活用した新ビジネスを展開するためのパートナーとしてカラフル・ボードを選んだと発表。ロボットや、あらゆる機器をインターネットにつなげる「IoT(モノのインターネット)」などの分野で市場開拓が期待される。

クーロン(同港区)は同7日から、ウェブメディアに投稿された読者のコメント欄が“荒れないよう”に、文章の評価機能を搭載したシステム「QuACS(クアックス)」を提供している。このシステムは、投稿された文章の中から誹謗(ひぼう)中傷や罵詈(ばり)雑言、差別用語などをAIが自動的に判断し、コメント欄に表示させない。同社の佐藤由太社長は「読者が健全で活発な議論をすることで、記事に対する価値が高まる」と期待する。   とはいえ、シリコンバレーを抱えるIT先進国、米国はさらに先を進む。マイクロソフトは音声認識にAIを活用した基礎研究をいち早く進め、14年4月に音声を通じてスマートフォンを操作できるシステム「コルタナ」を発表。リアルタイムの翻訳機能への実用化が期待される。  

アマゾン・コムは6月23日、音声を認識するAIを備え、指示された音楽をかけたり質問に答えたりするスピーカーの予約受け付けを米国で開始した。グーグルは英国のAI関連ベンチャーを買収し、フェイスブックも関心を寄せる。自動運転車やロボットなどに導入するAIの開発競争が世界中で激しくなっている。

  先んじれば業界制覇   これに対し、日本の教育機関はようやく、AI研究に力を入れ始めた。大阪大や京都大などの研究チームは今月3日、人工知能を使ってスムーズに対話ができる人間そっくりの女性型ロボット「ERICA(エリカ)」を開発し、報道陣に公開した。周囲に置いたマイクやセンサーから情報を集めて相手の声や動きを認識し、自律的に会話する。受付やカウンセリングの仕事ができることを目指す。   慶応大も1日、人工知能・ビッグデータ研究開発センターを設立。学校の授業や喫茶店業務を代行するロボットなどに対応したアプリを開発する。  

国立研究開発法人産業技術総合研究所は5月、最先端のAIを研究する「人工知能研究センター」を設立した。同センターは基礎研究の専門家と大学、企業との連携を促す。辻井潤一センター長は「日本には、マイクロソフトやグーグルのように自前で膨大なデータを蓄えている企業があまりなく、AIの分野で後れを取ってきた。これからは消費者や顧客のデータを集めてAIで知能化するビジネスに移行する」とみており、AI研究の底上げを目指す。

  「AIを制した企業がその業界を制する」(コンパスの神野氏)とされる中、実績のある米IT企業に日本勢はどう立ち向かうのか。残された時間は限られている。(鈴木正行)

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