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send 中国の鉄鋼生産、世界から圧力 雇用、対米貿易…くすぶる火種、現地からの報告

2018年3月19日 月曜日

15日、中国河北省保定市にある元鉄鋼会社。正門脇の壁に書かれた社名の上には元職員への補償内容を記した張り紙などがあった(三塚聖平撮影)  

トランプ米政権が中国の供給過剰に照準を当てた鉄鋼・アルミニウムの輸入制限は、発動期限が23日に迫った。中国政府は「断固人民と国家の利益を守る」(鍾山商務相)と強気の姿勢を崩さないが、輸出への依存が高まる中で対米貿易戦争は避けたいところだ。中国全土で生産能力の調整が課題となる中、鉄鋼メーカーが閉鎖に追い込まれた河北省保定市から現状を報告する。

  保定市から火消える 北京中心部から車で約3時間ほどの場所に位置する保定市●源県。郊外を万里の長城が通る街で、工場の正門に立つと、社名の上にはなにやら紙が貼られていた。敷地内の煙突に目を移しても、生産の息吹というべき煙は見えなかった。 「工場は潰れた。もう中に人はいない」 張り紙は元職員への補償内容を記した通知だった。近くにいた会社関係者という男性は、記者(三塚)にいらだった様子でこう話した。2000人を超える従業員の胃袋を満たしたはずの周囲の食堂も、平日の昼時にもかかわらず人の気配はない。 「河北省で保定市が最初の『ゼロ鉄鋼市』に」 河北日報(電子版)は昨年末、北京近郊の保定市で地元鉄鋼会社が事業を終え、同市から高炉の火が消えたと伝えた。保定市は鉱山資源に恵まれ、2010年までは鉄鋼会社8社があったという。

保定市から鉄鋼会社が姿を消すきっかけとなったのは世界からの圧力だ。過剰に生産した鉄鋼を安値で輸出して市場を混乱させていると批判を受け、中国政府は生産能力削減に着手。16年から5年間で粗鋼生産能力を1億~1億5000万トン削減する計画を進行中だ。

大気汚染などの環境問題も生産能力削減の動きを後押ししている。地元メディアによると、北京近郊では張家口市なども20年までに「ゼロ鉄鋼市」になる予定だという。 北京で開催中の全国人民代表大会(全人代=国会)では、過去2年で鉄鋼の過剰生産能力を1億1000万トン超解消したと成果を強調し、18年も約3000万トン削減を目指すとの方針を示した。   新産業で失職者吸収 鉄鋼会社閉鎖で課題となるのが雇用問題だ。政府は職を失った職員に対する各種の補助政策を実施しているほか、IT化で拡大しているサービス業など新たな産業で雇用を吸収することを狙う。 「雄安新区の設立は千年の大計、国家の重大事だ」 収穫済みのトウモロコシ畑が広がる保定市雄県に、このようなスローガンを記した横断幕があった。 習指導部は保定市の雄県などに新都市「雄安新区」を建設する構想を昨年4月に表明した。1、2月のメイ英首相の訪中時には雄安新区に中英が共同で金融・科学技術パークを建設することで合意したと中国メディアは伝えている。

また、中国インターネット検索最大手「百度(バイドゥ)」も、雄安新区で人工知能(AI)などのITを活用した自動運転技術の開発を決めた。関連産業の裾野が広がることで雇用拡大も見込まれている。

このように過剰生産能力の削減を急ぐ中国だが、世界の目は依然厳しい。 「必要とされる再編の一部について実行し始めているが、より多くの取り組みが必要だ」 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は今月1日にロイター通信の取材に対して中国側にさらなる対応を求めている。 過剰生産問題は米中経済の“火種”で、習指導部には頭の痛い課題となる。(中国河北省保定市 三塚聖平)   ●=さんずいに来の旧字体

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