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send 世界最大級の起業イベント スラッシュ・アジア5月開催 学生主導で運営

2016年3月28日 月曜日

  bsl1603280500003-p1   世界各国から起業家や投資家が集まる大規模な“スタートアップ(起業したばかりのベンチャー企業)”のイベント、「SLUSH ASIA(スラッシュ・アジア)2016」が5月13、14日に千葉・幕張で開かれる。音楽や映像効果でど派手に演出された巨大な会場には、世界から著名な経営者ら約100人が、まるでロックスターのような喝采を浴びる。多くのスタートアップがビジネスプランを競い合い、投資家がその場で投資を決めることもある。公用語は英語で、話せる話せないに関係なく会場内では誰もが英語でコミュニケーションする。期間中5000人もの来場者が予想される世界最大級の起業イベント。その運営を担うのは、ほぼ全て学生だ。   「あの人(著名経営者)にも声を掛けてみない」   「おお、いいねえ」   「これから、あの会社(有名企業)に出掛けてくるね」   「頑張って」   都心のビルの一室では、学生スタッフの情報交換が盛んに行われていた。もちろん全て英語だ。壁には英語で書き加えられている会場の見取り図や日程表、思いついたアイデアを書いた付箋がいっぱいだ。スタッフの活発さが、室内のいたるところにあふれている。   ◆著名経営者ら来場   「ここに関わり始めて、毎日が楽しくて仕方がありません」   楽しそうにイベントの概要や準備の様子を話す斎藤夏美さんは、約10人いるコアメンバーの中で広報やマーケティングの役割を取り仕切っている。堂々とした言葉遣いと礼儀正しさが鍛えられた印象だが、先日卒業式を終えたばかりの高校3年生だ。  

夏美さんが夢中になるスラッシュ・アジアは、フィンランドで2008年に発祥した世界最大のスタートアップイベント「SLUSH(スラッシュ)」の起源だ。

  スラッシュ最大の呼び物は、自ら起業して成功した経営者らが新たな事業構想などを発表する「キーノートステージ」と、スタートアップがビジネスプランを競い合う「ピッチコンテスト」。ありがちなシンポジウムや説明会、起業コンテストとは異なり、目的は、テクノロジーやアート、ビジネスなどの融合でイノベーションを生み出し、社会に変革を生み出すことだ。   会場の演出も大きく異なる。大音響やプロジェクションマッピングがエキサイティングなステージを演出し、熱気を高める。個別ブースでは直接、起業家と投資家による具体的なやり取りや、最新テクノロジーの情報交換が始まる。昨年11月にフィンランドのヘルシンキで開かれたスラッシュには世界100カ国から1万5000人が集まった。フィンランド大統領、エストニア大統領ら各国首脳も顔を並べた。   その世界最大級のスタートアップイベントを日本で再現させたのが、スラッシュ・アジアだ。ガンホー・オンライン・エンターテイメントを創業した孫泰蔵氏らの呼び掛けで、昨年4月、都内で初開催され3200人が参加した。2回目の今回は、会場選び、スピーカーへの登壇依頼、「パートナー」と呼ぶ協賛企業集め、財務、マーケティングなどの管理全てが学生主導だ。夏美さんは「前回はボリュームゼロ、という感じ」と話す。  

 ◆“フラット”な雰囲気

 夏美さんがスラッシュの名を初めて耳にしたのは、高校2年のとき。当時、ボランティア先の一般財団法人ネクスト・ウィズダム・ファウンデーション(東京)で、催事の運営などに携わっていた。
「財団の代表理事であるネクスト社長の井上高志さんや、カフェ・カンパニー社長の楠本修二郎さんと話している中で、『なにしろ“やばい”イベントが日本に来る』って聞いて。当時は『スタートアップ』も『起業』も分からないし、英語だって話したことがなかったけれど、とにかくワクワクしたくてボランティアに応募しました」
  参加して、一気に夢中になった。第1回の運営にボランティアで関わり、熱気に圧倒され、個人の発言が尊重される自由度の高さに驚き、豊かな国際色に魅了された。「みんなが社会を変えることに情熱を持っていて、そのみんながそれぞれに思ったことを言い合える。これから、国境を越えて活動しなければならない中で、これが未来なのかなって思いました。他では味わえないと思いましたし、日本に絶対に必要なものだ、と直感しました。自分が運営しないといけないとも思いました」と使命感も芽生えた。   その経験から本場、フィンランドのイベントも体験したくなり、昨年11月に現地に飛び、ボランティアで運営に参加した。また、今年5月の幕張のイベントに取り組むためには、準備が忙しくなる時期の大学受験を避けるため、人物本位で秋に選考するAO入試を受けて、合格した。スラッシュ・アジアの日程から逆算したスケジュールを組み、乗り越えてきた。  

英語を使うのも当たり前になった。本人は「まだ全然、きちんと話せない」というが、コアメンバーで夏美さんと一緒にマーケティングを担当する松崎真理さん(今春就職予定)は「もう十分に意思疎通できます」と、その英語力に太鼓判を押す。

 スラッシュの大きなこだわりの一つが“フラット”であることだ。夏美さんもコアメンバー最年少ながら、年上のメンバーに友達のように話しかける。イベント中は、登壇する経営者ら、スタートアップ、運営ボランティア、観客ともに気軽に語り合う。夏美さんはこうしたフラットな雰囲気にも強くひかれ、活動にのめり込むようになった。 ◇ ■「起業家精神の革命、アジアに広げたい」   スラッシュ・アジアの代表は、世界的な人気ゲーム「アングリー・バード」で知られるフィンランドのロビオ・エンターテインメントの日本法人を立ち上げた経験を持つアンティ・ソンニネンさん。斎藤夏美さんとアンティも気軽に議論する。   アンティは、現在も日本で自身が経営する別の会社を持つ。だが「スラッシュは会社と違って利益を追求する場所ではない。起業家精神の革命を起こすことが目的だ」と、企業経営との役割を明確にしているという。スラッシュ・アジアについては、「スタートアップは世の中に必要なもので、その思いを(日本やアジアにも)広げる運動のため僕らは1年中、情熱を傾けている。その情熱が外部に見えるきっかけが、幕張の2日間だ」とした。  

夏美さんについてアンティに聞くと「ナツミは、僕らの思いを伝えるPRの役割を、経験がないのにしっかり頑張って果たしている」と目を細めた。横でそれを聞いていた夏美さんは「ありがとう」とほほ笑んだ。

  5月開催のスラッシュ・アジアは、2日間で100人のスピーカー、600人のスタートアップ、400人の学生ら5000人の来場を見込む。スタートアップのうち30%は海外から招く計画だ。日本からはグロービス経営大学院の堀義人学長、ディー・エヌ・エーの南場智子会長らもゲストスピーカーとして参加する。   学生たちはきょうも奔走している。夏美さんも、これらの活動を知ってもらうため記事を書き、動画を作り、ソーシャルメディアにポスト(投稿)する。将来、起業をすると決めているわけではないが、「楽しいことが自分のコアバリュー」といい、その実現のために「起業は、就職と同じぐらい当たり前にある選択肢」という。(村山繁)

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