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send “世界一の都市”東京の長期戦略 社会インフラ「五輪後」の視点

2015年3月30日 月曜日

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 BRTや起業支援

  2020年の東京五輪以降を見据え、大規模再開発や鉄道などインフラ整備だけでなく、ソフト面も含めた東京の長期戦略が始動する。都心と臨海部を結ぶBRT(バス高速輸送システム)のルート選定や都心4区でのシェアサイクルの相互乗り入れなどが固まった。外国人も含めて開業を促進するために国家戦略特区の東京圏区域計画で追加認定された「東京開業ワンストップセンター」も4月1日にオープン予定。東京都が掲げる「世界一の都市・東京」の実現へ取り組みが加速する。   東京五輪招致が決定して1年半。すでに都内では大規模な都市再開発事業や交通インフラ整備などが活発に動いているが、これらのプロジェクトは五輪決定以前に決まっていたものばかり。新国立競技場やオリンピック選手村などの五輪レガシー(遺産)を生かして東京の将来ビジョンをどう描くか。東京都では昨年12月に長期ビジョンを策定し、国家戦略特区でも12月と今年3月に東京圏区域計画を認定した。   mca1503300500005-p2     シェアサイクルも   「2020年以降は東京でも新規インフラを基軸としたまちづくりは難しくなる。その先の未来が持つべき戦略にいかに投資できるかが重要だ」。  

東京のまちづくりについても提言する世界的なコンサルティング会社、A.T.カーニー日本法人の梅澤高明会長がそう指摘するように、世界の都市間競争に勝ち抜き、ヒト、モノ、カネをひきつけるには、ビルや道路、鉄道の整備だけではうまくいかない。東京都の長期ビジョンもその点を重視。バスを活用するBRTの整備や、シェアサイクルによる自転車社会の創出を打ち出している。

  BRTについては3月に都が中間報告をまとめ、都心と五輪競技場のある臨海部を結ぶ路線について、2019年度に運行を始める方針を打ち出した。燃料電池車両を導入し、円滑な運行へITも駆使する。   シェアサイクルは、現在、実証実験している江東区、千代田区、港区に、今年10月開始予定の中央区を加えた4区が相互乗り入れを可能にするよう協議を開始。五輪後も公共交通システムとして定着させるため、16年度にも貸し出しのルールや料金体系を統一化し、各区で乗り降りを可能にする。   このほか、都の長期ビジョンでは丸の内、日本橋、品川など拠点整備が進んでいる地区だけでなく、日本が強みとするコンテンツ産業のビジネス拠点として「竹芝」地区の開発なども新たに盛り込んだ。国家戦略特区の東京圏区域計画では、国際的なビジネス環境の整備に向けて虎ノ門や八重洲などの再開発に加え、起業の手続きが1カ所で可能になる東京開業ワンストップセンターの設置を決め、早くも来月から始動する。  

 ソフト面を重視

  都は世界一の文化都市の実現に向けた「東京文化ビジョン」、また東京を世界有数の観光都市へと成長させ、訪日外国人を増やすための「東京のブランディング戦略」も近く策定し、公表する方針だ。   こうした都市間競争を勝ち抜くためのソフト面を含めた戦略策定の根拠となっているのが、森記念財団都市戦略研究所が08年から公表している「世界の都市総合力ランキング(GPCI)」。   昨年10月に公表された最新のランキングで東京はロンドン、ニューヨーク、パリに次いで7年連続の4位だった。   東京は経済や研究・開発で強いが、市場の魅力、法規制・リスク、居住コスト、自然環境などが弱みとされた。政府は日本再興戦略(14年6月改訂)で「2020年までに東京がGPCIで3位以内に入る」ことを評価指標とし、国家戦略特区では外国人材の活用、外国人医師の業務拡大など市場の魅力を高め、法規制・リスクを緩和する施策を盛り込んだ。   さらに森記念財団は今月、都市空間が人間の感性に訴える力を指標に基づく新しい都市ランキング「アーバン・インタンジブル・バリュー(都市の感性価値)」を公表。効率、正確・迅速、安全・安心、多様、ホスピタリティー、新陳代謝の6要素で評価し、ホスピタリティーと効率で強みを発揮した東京が1位を獲得したが、一方で起業活動率の低さや外国人居住者の少なさ、医師不足などが東京の弱みとして示された。ランキング作成の責任者である明治大学専門職大学院長の市川宏雄教授によると、東京都では新指標の評価も加えて4月から2030年以降を視野に東京都のグランドデザインの策定作業を本格化させるという。   民間からの提言も活発化   東京の将来像について民間からの提言も活発化している。   森記念財団は「2030年の東京パート3-成熟した世界都市の街づくり」で、東京都が敷地を所有する都営住宅620団地、敷地面積662.6万平方キロメートルの活用を提言。都内でも民間貸家を中心に空き家の増加が見込まれることから、都営住宅の新築は行わず跡地を密集市街地住民の受け入れ住宅、介護施設、留学生・外国人住戸、観光客宿泊施設などに活用するアイデアを示した。   A.T.カーニーによる「NeXTOKYO構想」では、BRTのルートを大幅に延長し、都心に2つのループをつくる動線「TOKYOバタフライ」を提案している。「米国のショッピングモールは、中央にフードコートがあり、左右に分かれてショッピングを楽しむ設計になっている。これを参考にTOKYOバタフライでは豊洲、築地を巨大なフードコートに見立て、それを中心に西側の虎ノ門・六本木、原宿・渋谷、台場という現代文化の拠点を回る路線と、東側の銀座、日本橋、秋葉原、上野・浅草、両国・深川と伝統文化の拠点を回る路線を構築する。「東京を巨大なショッピングモールにしようとイメージした」(A.T.カーニー日本法人の梅澤高明会長)という。   リティー、スマートシティー、ストレスフリー、クールジャパン、インベストメント(対日投資)の5大プロジェクトを推進することを決めた。面白いアイデアがあったら、どんどん持ち込んでほしい」-東京オリンピック・パラリンピック担当の大臣官房政策評価広報課の前田泰宏課長は民間シンポジウムの講演でそう呼びかけた。   20年に向けて東京では、公共、民間とも活発な投資が行われるのは確実だが、すでに東京都では競技施設の見直しなど過大な投資を抑制する方針を打ち出すなど、無駄な投資の余裕はない。官民が将来ビジョンを共有し、五輪レガシー(遺産)として東京、さらには日本の発展に寄与する投資を、ハード、ソフト面含め効率的に行っていくことが必要となる。(千葉利宏)

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