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send 不透明な不動産売買、IT業界参入で一変か ソニー不動産など新サービス

2015年11月27日 金曜日

  bsd1511270500008-p1   不動産業界が構造変化に直面している。くい打ちデータ偽装問題でマンション開発が文字通り“根元”から揺らぎつつあるのに加え、インターネットやテクノロジーを駆使した仲介サービスなどで価格競争を仕掛けようと、IT業界から参入が相次いでいるのだ。新たなプレーヤーはかねて「不透明」とされる不動産売買の「透明化」や「流通革命」を掲げ、市場拡大や大手不動産流通事業者などからのシェア奪取を目指す。人材の流動化も進みつつあり、中長期的に業界地図が一変する可能性もある。   直接のやり取り   「耐震、免震構造など建物について教えてください」   「問題になっているくい打ち工事ですが、○×が担当しており、問題ないことが確認できています」   ソニー不動産がヤフーと共同で11月から都心6区の物件を対象に始めた、日本初のインターネットを通じた個人間の中古マンション取引サイト「おうちダイレクト」でマンションを売り出した売り主と購入を検討する質問者との直接のやり取りだ。  

従来、マンションなどの不動産を売却するには、不動産仲介事業者に持ち掛けるという手法以外にほぼ選択肢がなかった。新サービスでは自分のマンションを自分で値付けし、セールスポイントなどを添えて、自分で売り出す。購入検討者は、価格交渉以外の質問などを直接売り主に聞くことができる。

  実際の売買ではソニー不動産が仲介して手続きを行うが、物件の内見前までは個人間で匿名でやり取りする。「これまで売買を検討していなかった人にも、カジュアルに利用してもらいたい」(ソニー不動産の西山和良社長)との考えからだ。   不動産売買が不透明とされるのは、主にその価格。路線価や公示地価などはあるが、これまで自分の保有するマンションなど不動産の時価はよく分からず、「不動産会社によっても大きく異なる」(ソニー不動産の風戸裕樹執行役員)のが実情だ。このため不動産会社に「安く売らされてしまうのではないか」(業界関係者)などという不安感から、売却に慎重になっていた。   さらに仲介手数料も上限が売買価格の3%+6万円と法律で決まっており、ほぼその料金が適用されるケースが多い。だが、その内訳は不明確な上、売り手、買い手双方から手数料を取る“両手”取引が一般的で、不信感を持つ消費者は多い。  

ソニー不動産はこうした業界の不透明な構造に逆に商機を見いだし、持ち前のテクノロジーも駆使して市場拡大を図ろうと昨年設立。まずは仲介手数料を売り主からは取らない“片手”方針を明確に打ち出す価格破壊で急速に事業を拡大した。そして第2弾として始めたのが、今回の「おうちダイレクト」だ。

  高精度で時価推定   新サービスの最大の特徴は、ソニーが得意とする人工知能「ディープランニング」を活用し、マンションの時価を高い精度で推定する機能。自分のマンションを登録すると「4500万~5000万円」などと一定の範囲で価格を示す。詳細は明かさないが「ネット上のビッグデータやさまざまな情報を基に算出している」(ソニー不動産の角田智弘執行役員)といい、類似物件の実際の取引価格と誤差が数%と精度は高い。   推定価格を参考に、マンション保有者は自分で価格を決めて売り出す。推定価格は「ある物件を買いたい」と登録した人も見ることができる。既に数十件の物件が売りに出されており、まだ成約したケースはない(20日時点)というが、「反応は非常にいい」(風戸氏)という。  

同様に、都内のマンション価格を調べられるサービスを提供しているのが、ITベンチャーのリブセンスだ。

  ネットをフル活用 価格破壊進む   リブセンスが8月に提供開始したサイト「イエシル」では、簡単な登録でマンションの部屋ごとにリアルタイムの査定価格を知ることができる。価格推移も見ることが可能だ。同社では今後、地盤情報や治安状況などの情報も提供する予定。「年内か来年早々には仲介サービスも始める」(リブセンス広報)といい、業界で今後の動向が注目されている。   このほか「売り手数料完全0円、買い手数料50%オフ」をうたうハウスマート(東京都渋谷区)や「業界最安水準の定額仲介手数料49.8万円」を掲げたマンションマーケット(同千代田区)など、ネットをフル活用し店舗を持たずに価格破壊を仕掛けるベンチャーが続々と市場参入している。  

情報サービス大手も

  不動産情報サービス大手の一角も動いている。掲載物件数が500万件超で業界首位のネクストは10月から首都圏のマンション約16万棟、150万戸の参考価格を表示する「ホームズプライスマップ」の提供を開始。地図上にマウスを置くだけで表示される簡単操作が特徴で、誰でも参考価格を見ることができる。同社の場合は「あくまでプレーヤーがやりやすいようにするための(市場活性化の)地ならし」(井上高志社長)としており、実際の価格査定や仲介業務は推奨する不動産仲介事業者から選べる従来通りの情報サービスにとどめ、現時点では自ら仲介事業への参入は考えていないという。   ただ、物件の価格をより適正に算定するため、設備やリフォームなどの状況、デザインなども含めた評価を行う「検査事業には近く参入する」(同)予定で、不動産市場の透明化をさらに進めたい考えだ。   商慣行是正に期待   中古住宅市場が全体の2割以下と欧米の7、8割に比べて極めて小さい日本では、一方で空き家の急増が社会問題化するなど、一刻も早い市場活性化が喫緊の課題だ。新築住宅市場も低迷する中で、日本経済再生の起爆剤とも期待されている。  

ただ、不動産仲介サービスでは、大手企業が売り手と買い手の双方から手数料を取るために物件の情報を隠す「囲い込み」が横行。業界の不透明な商慣行が市場拡大の阻害要因の一つと指摘され、国土交通省がこうした事態の是正へ向けた中古住宅市場の活性化策の検討を続けている。

  ネットやスマートフォンの普及、テクノロジーの進化を受けて続々参入してきた新たなプレーヤーの登場が、どこまで成功するかは未知数。ただ、同様の流れは欧米でも数年前から拡大し「リアルエステートテック(不動産テクノロジー)」として、存在感を増しており、日本でも潮流拡大の可能性は十分にある。   「毎週面接をしています」(ソニー不動産の風戸氏)というように、ソニー不動産では1年で社員が約100人に急増。その他の新規参入組にも、既存の不動産大手などから多くの人材が移っているとみられる。こうした新たなプレーヤーと既存事業者との競争が激しくなれば、一気の市場拡大も見込めそうだ。(池誠二郎)

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