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send 不動産業界“囲い込み”是正へ 売り主への情報開示制度化、中古市場活性化へ

2015年5月18日 月曜日

  bsd1505180500002-p1   不動産業界で横行する“囲い込み”と呼ばれる不適切な慣行をめぐり、是正に向けた取り組みが本格化する。囲い込みは、物件の売り主と買い主の双方から手数料を受け取るため、不動産会社が恣意(しい)的に物件の情報を隠して買い主を選ぶ行為。是正策では、売り出し物件に対する購入の打診などの情報を透明化することで、売買の成立を不当に遅らせる要因を取り除き、条件の良い買い主に速やかに売却できるようにする。自民党の中古住宅市場活性化小委員会が今月まとめる提言に盛り込む方針で、これを受けて国土交通省が制度化の検討を進める。   宅建業法で禁止
  不動産会社は売り主から住宅などの売却を依頼された場合、自社で買い手を見つければ売り主、買い主の双方から手数料を受け取ることができる。 自社で買い手を見つける前に、仲介目的の別の不動産会社から問い合わせがあった場合、手数料の取り損ねを懸念して「既に別の買い手と交渉している」などと事実を隠すことは、売買成立の遅れなど売り主の不利益につながることもあり、宅地建物取引業法で禁じられている。   売却依頼を受けた物件は、不動産取引情報を掲載している「レインズ」と呼ばれる業界内のネットワークへの登録が不動産会社に義務付けられており、不動産各社は売却情報を公平に入手できるようになっている。より多くの不動産会社が買い主を広く、素早く探せるようにするためだが、囲い込みにより、中古物件の円滑な流通が阻害されていると指摘されていた。   「大手を含め、不動産業界では囲い込みが幅広く行われている」(業界関係者)といい、2013年にはレインズの管理団体の一つである東日本不動産流通機構が「紹介拒否の禁止」を規定に盛り込んだ。ただ、囲い込みが発覚しても中小の不動産会社などは声を上げにくいのが実情で、「最近はむしろ囲い込みが増えている」(同)という見方も出ている。   このため是正策では、売りに出されている物件について「買いたい」などの打診や問い合わせがあるかどうかを、売り主自身がインターネットで直接確認できるように透明化を図る。   このため是正策では、売りに出されている物件について「買いたい」などの打診や問い合わせがあるかどうかを、売り主自身がインターネットで直接確認できるように透明化を図る。   昨年11月から今年2月にかけて605件について調べた結果、50件で囲い込みが確認できたという。業者を名乗って不動産会社に紹介を求めた際には「既に買い主による物件の内見が行われている」などと拒否された後、同じ会社に個人を名乗って紹介を申し込むとスムーズに紹介されたケースが多く、「こうした囲い込みが日常的に行われていたことが分かった」(有志の関係者)。   囲い込みは物件を数多く扱う業界大手に集中しており、調査した有志の一人は「『商談中』『成約済み』と担当者が断る答え方も非常に慣れており、行為が不動産会社の販売店全体で行われている印象だった」としている。調査は匿名で行ったものとはいえ、電話でのやりとりを全て録音し、文書化するなど事実の究明に迫る厳密な内容だ。   囲い込みを防ぐため、レインズを使って売り主自身が物件の状況を確認できるようにするかどうかを、これまでにも国交省で議論した経緯はあった。しかし実態が明らかでなく、具体的な対応には至っていなかった。   bsd1505180500002-p2   調査で実態表面化
  今回の調査で実態の一部が表面化したほか、自民党による提言も行われることを受け、本格的な対策の検討に国交省が着手する見通しとなった。レインズの登録情報を売り主が閲覧できようにし、仲介の申し込みがあるかどうかも確認できれば、業者が情報を隠しにくくなり、売り主が売却機会を逃すことが少なくなるとみられている。   人口減少を背景に今後も新築住宅の着工数は伸び悩みが見込まれるほか、空き家の増加も大きな社会問題となっており、中古住宅流通の円滑化は喫緊の課題。国交省はこうした商慣行の是正と合わせ、中古住宅を診断する仕組みの普及・定着を図って物件の品質向上を目指すなど、市場の整備を急ぐ方針だ。   ただ、なお課題もある。海外では囲い込みをなくすため、売り主と買い主の双方から手数料を取るいわゆる「両手取引」そのものを禁じている国も多い。   また、日本では不動産売買手数料は上限である「物件価格の3%+6万円+消費税」の金額をベースに設定され、売買契約が行われる。売り主、買い主の両方から上限並みの手数料を得られれば大きな利益が確保できるため、「高い売却額を提示する他社が仲介した買い主よりも、価格が低くても自社が仲介する買い主を優先する傾向が強い」(業界関係者)。一方、海外では業者間での競争を活発化させるため、仲介手数料率が自由化されているケースが多い。   日本でも民主党が一時、両手取引の禁止を公約に掲げていたが、業界の抵抗などもあって実現しなかった。今回、取引情報の透明化が実現すれば、囲い込みの是正は大きく前進するとみられる。だが、一層の市場活性化には、両手取引の規制や手数料自由化など中長期的な課題の解決も必要となりそうだ。
   

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