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send 下水道インフラ輸出巻き返し 「品質は世界トップ級」、国交省が技術展開支援

2017年11月15日 水曜日

ベトナム・ホーチミン市の下水道管路。フランス統治時代に建設されたものが多く、老朽化が進む(積水化学工業提供) 高速鉄道などのインフラ輸出に政府が力を入れる中、国土交通省が下水道技術の海外展開を目指す「WOW TO JAPAN(ワウ・トゥ・ジャパン)プロジェクト」(ワウプロ)を本格化させている。世界の水インフラ需要は拡大しているが、これまで日本企業の受注は限定的。都市インフラの基盤分野で日本の高い技術が海外展開できれば、他分野の技術輸出にもつながるほか、海外で培ったノウハウが国内にも還元される効果が狙える。  まずベトナムで披露 「一度見てもらえれば、品質に驚くはずだ」 国交省水管理・国土保全局の担当者は、日本の下水道技術が、海外でも高い競争力を持つと強調する。 日本の下水道設備は、国際的にみて省エネルギー性に優れるほか、上質な素材や施工の工夫もあり耐用年数が長い。水漏れなども少ないのが特徴で「世界トップレベルの品質」(国交省)を誇る。 国交省の進めるワウプロが目指すのは、日本技術の“可視化”だ。まず日本のメーカーが、ニーズがある国での下水道整備事業などを国交省に提案。国交省が政府間協議で技術交流などの協力を取り付け、「日本政府の実証実験」という枠組みで整備事業を実施する。

あくまで名目が実証実験のため規模や範囲は限定されるが、「実際に日本の技術を間近で見せられるのが最大のポイント」(国交省)だ。施工後の現場では見学会やセミナーなども開かれる予定。技術だけでなく、環境への配慮や安全意識までも実感できる“ショールーム”となれば、今後の受注にもつながりやすいと期待する。

第1弾のプロジェクトとして12月から実施されるのが、積水化学工業がベトナムのホーチミン市で施工する下水道管路の再生工事だ。同社は2014年にベトナムに水インフラ事業会社を設立したほか、現地のプラスチックパイプメーカーと業務・資本提携しており、国交省も事業効果が高いと判断した。 積水化学が再生工事で計画するのは今回のベトナム向けに開発した新工法だ。従来工法では、管路を補強するための鉄筋を張り巡らせてから塩化ビニール管を設置するが、積水化学は補強材を取り付けた塩化ビニール資材の帯を管状のパイプにする工法を開発。これにより、工期短縮と低コスト化を可能にするという。 ベトナムはフランス統治下の1870年代に造られた下水道管路が老朽化しており、陥没事故などが問題となっていた。日本とベトナム両政府は2010年に技術協力で合意するなど下水道事業では関係が深い。再生工事はマンホールとマンホールの間の約40メートルにすぎないが、同社関係者は「ベトナムでの受注拡大に向けた一つの契機にしたい」と意気込む。 中韓企業進出も顕著 新幹線などの鉄道分野と比べて地味な印象もつきまとう下水道インフラ輸出だが、高い事業成長率が見込まれる。

経済産業省によると、世界の水ビジネス市場は13年の82兆円から20年には100兆円超と大幅に拡大する見通しだ。このうち下水道関連の伸びは全体の約半分に当たる約9兆円とされている。ただ、中国や韓国メーカーの進出もめざましく、「高品質だが低価格とはいえない日本企業が不利な面もある」(国交省)という。

中小企業も多い日本の下水道関連企業が海外で受注を増やすには、政府の後押しが欠かせない。ワウプロもこの一環だが、国交省は今年8月、国際協力機構(JICA)との連携で、都市開発の計画段階からの下水道インフラ事業受注を盛り込んだ「下水道ビジョン加速戦略」を策定し、効果的な海外戦略に本腰を入れている。 波及効果の高さも無視できない。建設分野では東南アジアを中心に、「BIM(ビム)」と呼ばれる3次元(3D)データを活用する設計・施工管理が不可欠となりつつあり、日本の大手ゼネコンの施工効率化に生かされている。下水道分野でもこうした低コスト・短工期を生み出す技術の“逆輸入”が期待される。 重要な社会インフラである下水道事業の品質が認知されれば、その上を走る鉄道インフラ輸出などにも弾みが付く可能性がある。 国交省の担当者は「日本企業が事業を進めるには、相手国に下水道インフラの重要性を啓発することも必要」として官民一体の市場形成を続けていく。(佐久間修志)

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