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send ムスリム誘致へ礼拝室がカギ 百貨店や空港に設置、カラオケ店も自信

2015年6月22日 月曜日

  bsd1506220500001-p3   訪日外国人が増える中、お祈りの習慣を持つイスラム教徒(ムスリム)を受け入れるため、礼拝室(祈祷(きとう)室)を設置する空港や商業施設などが相次いでいる。ムスリム誘致としては、イスラム教の教えに基づく食の提供に続く動きだが、現状では在日ムスリムでさえ場所を探すのに苦労している。礼拝できるところを選んで買い物をしたり旅行に行ったりするムスリムは少なくなく、礼拝室設置はビジネスチャンスをもたらす。こうした時流を捉えディスプレー大手、丹青社はハラル・ジャパン協会と組みユニット型礼拝室を開発、拡販に乗り出した。   那覇空港国際線旅客ターミナルビル4階ロビーに3月、丹青社のユニット型礼拝室「プレイヤールーム WANOMA(和の間)」が設置された。するとフェイスブックに「神に感謝します。快適そうだ」「成田と羽田も続いてほしい」といった投稿が相次いだ。   bsd1506220500001-p1   2日で組み立て   那覇空港ビルディングは2014年2月の新国際線ビル供用開始後、増加する外国人乗降客の受け入れ態勢整備の一環として開設した。特定の宗教を想定していないが、4畳半ほどのスペースに、ムスリムが礼拝する方向を示す方位図が天井に取り付けられ、手足を清める場所や礼拝用マットを設置。部屋は男女別々。お祈りに必要な環境を全てそろえた。その上で「和の間」と命名したように、地元の琉球畳や掛け軸、日本伝統の格子で間仕切りするなど「日本ならでは」を表現。将来のLCC(格安航空会社)拡張を見込んで、ムスリムが多い東南アジアからの観光客を迎え入れるための先行投資に踏み切った。   那覇空港に売り込んだ丹青社の野本康仁・企画開発統括部開発プロデューサーは「和のテイストを盛り込んだデザインとした。部屋に入るだけで日本らしさ、おもてなしを感じるはず」と説明、政府が進める観光立国を意識した作りに自信を示す。   連携したハラル・ジャパン協会の佐久間朋宏代表理事は「ムスリムにとって重要なのは食とお祈り。礼拝室はムスリムを呼び込むツールになる。こうした場所があることをもっと周知すべきだ」と設置の必要性を強調。同時に地元資源をアピールすれば観光地巡りや名産品購入を促し地域振興につながる。   礼拝室は発注から最短1.5カ月、組み立ては2日で済む。場所の変更(リユース)も容易で、清めるために必要な水回り設備が整っていなくても設置できるように給排水システムを用意した。難しいムスリム対応のおもてなし研修は同協会が受け持つ。設置費用は500万円程度という。   和食の世界遺産登録、20年の東京五輪に加え、LCCの就航拡大、円安、ビザ発給要件の緩和、消費税免税品の拡大と訪日外国人誘致に追い風が吹く。14年にはマレーシアから25万人、インドネシアから16万人が日本を訪れた。両国ともムスリムが多く、20年には合わせて200万人を突破するとの試算もある。同協会によると、成田や羽田、関西、中部など主要空港、酒々井(しすい)プレミアム・アウトレット(千葉県酒々井町)、ラオックス秋葉原本店(東京都千代田区)、なんばCITY(大阪市中央区)といった商業施設のほか、レストランやホテルなどに礼拝室が開設されている。  

ビジネスチャンスを逃さないためにも受け入れ態勢の強化は待ったなしだが、礼拝室の設置に「専用区画を設けるのは難しい」「作ったら利用するのか」「管理が大変」などと消極的な声も少なくない。イスラム教を正しく理解していないことも大きな理由の一つだ。

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  評判は上々   そこで丹青社は14年9月に開催された日本観光の見本市「ツーリズムEXPOジャパン」に参考展示。訪れたインドネシアからの留学生は「和風がきれい。いつもの礼拝室と違うデザインも気にならない」と満足したようで、期間中4回もお祈りに訪れた。礼拝に使ってみたイラン人夫婦からも「畳や木の香りは好き」と好評だった。   礼拝したムスリムからの声に手応えを感じたが、「宗教ごとは怖い。海外に行って現地ニーズを調べて、有識者にも確認を取った」(同協会の大竹啓裕副理事長)うえで商品化した。丹青社は今後3年程度で全国47都道府県にそれぞれ1カ所程度の設置を目指す。   百貨店では、高島屋が昨年9月、新宿店に「祈祷室」を設置した。ムスリムを含め外国人客に快適な買い物環境を提供するため、11階に20平方メートルの部屋を設けた。月100組程度が利用しているという。  

ただ「ムスリムが部屋に立ち寄っても、買い物につながっているか分からない」(広報・IR室)という。階段の踊り場や試着室でお祈りを始めるムスリムが現れ、周囲に迷惑がかかってはいけないと判断して設置したからだ。しかし部屋の存在が口コミで広がり誘客効果も出てきた。

  ■「リピーター多い」カラオケ店自信   「買い物に行くなら新宿の高島屋。カードも作った」というのはイスラム教徒で1日5回の礼拝を欠かさない司法修習生の林純子さん。滞在時間が長くなる週末の買い物や食事は部屋を利用してから楽しむという。以前は場所を探すのに大変だったが、今はそんな心配もなくなり「本当にありがたい」と笑顔を見せる。その上で「遊園地や映画館にもほしい。行き先が決まっていなければ礼拝室があるところに行く」と言い切る。   一方、「誘客につながっている」というのは、カラオケ本舗まねきねこを運営するコシダカ(東京都港区)。昨年12月にオープンした四谷三丁目店は日本初のムスリム対応店舗。歌いに来た留学生などはまず礼拝室に足を運ぶ。母国から来た仲間を誘ってくることもあるという。ムスリム誘致のアンテナショップ的位置付けだが「ハラル食と礼拝ありきで来るリピーターも多い」と期待通りの効果に喜びを隠さない。   ただ「日本を訪れたムスリムから礼拝場所を聞かれたことはない」(訪日客向けツアー運営会社幹部)のが実情だ。訪日ムスリムの多くは「日本はイスラム教国ではないので礼拝室はない」と覚悟して来るからだが、祈りは習慣。場所があれば利用するのは間違いなく、礼拝室の確保はムスリム誘致に欠かせない。口コミで広がれば、誘客効果は大きい。佐久間氏は「新しい観光名所になれるかもしれない」とムスリム誘致の環境整備を呼びかける。(松岡健夫)

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