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send ポテチ元祖の湖池屋、脱・安売りでV字回復 「伝説の男」が仕掛けるプレミアム路線

2017年9月6日 水曜日

新商品を紹介する湖池屋の佐藤章社長(左)と小池孝会長。プレミアム路線を推し進める=8月7日、東京都千代田区
  日本のポテトチップスの元祖・湖池屋が、業績のV字回復に向け商品のプレミアム路線を推し進めている。定番商品に飽きた消費者を素材や味にこだわる差別化で呼び戻すのが狙いだ。今年2月に発売した高価格帯の「PRIDE POTATO(プライドポテト)」シリーズは食べ応えのある商品として評判を呼び、売り上げ拡大に貢献。ポテチは普段、スーパーの特売品として扱われることが多く、売価も販売量も伸び悩む。マンネリ感を打破する新戦略が成功の軌道に乗り始めた湖池屋の次の一手が注目を集めている。   幻のジャガイモ使う 「より魅力的で、本物志向の商品を並べていく」 8月7日に都内で開いた発表会で、プレミアム路線の旗振り役の佐藤章社長は力強く宣言した。新製品の目玉は、北海道今金町産の最高級イモを使った「コイケヤプライドポテト 今金男しゃく 幻の芋とオホーツクの塩」。10月に150万袋限定で発売、価格は298円と一般的なポテチのほぼ倍額だ。 材料に、全国でジャガイモ全体の0.3%しか生産されておらず「幻のジャガイモ」と呼ばれる品種を使用。昨秋のテスト販売では、90グラム入り6袋1980円の価格にもかかわらず数日間で完売したという。 もちろん、通年商品のラインアップも充実させる。

主力の「プライド」シリーズでは、国産の塩やサンショウを使い、リッチな歯応えの「手揚食感 長崎平釜の塩」「手揚食感 柚子香るぶどう山椒」を今月4日に発売した。同シリーズは店頭価格が1袋150円前後と、一般的な商品より数十円高く、収益アップに向けた旗艦商品に位置付けている。

また、発売55周年の定番商品「湖池屋ポテトチップス」も風味の種類を変更。人気の「ガーリック」と発売当初からの「のりしお」を残す一方、「うすしお」とイモ不足で販売終了した「リッチコンソメ」に代わり、「うま塩」「サラダ」を11日に投入。包装デザインも刷新し、てこ入れを図る。 さらに、“まるで料理のような味が楽しめるスナック”とうたう「カラムー超 濃厚ビーフ煮込みXO醤仕立て」と「すっぱムー超 トリュフ香る帆立のカルパッチョ」も25日に発売。まさに新商品の雨あられだ。 湖池屋によると、ポテチの販売量と平均売価はじりじりと低下を続けてきた。「ここ10年ほどの間、1袋当たり15円ほど下がっている。コモディティー(汎用(はんよう)品)化が進み、飽きられてきたということ」だと佐藤社長は評する。   ワンダー氏を口説く 販売減と単価ダウンに苦しんだ同社は、2011年に日清食品ホールディングスと資本・業務提携し、子会社再編などに取り組んだ。しかし12年から2年連続の赤字に陥り、商品群の抜本的な見直しを迫られた。

そうした中、改革の旗手に抜擢(ばってき)されたのが、キリンビバレッジで缶コーヒーの「FIRE(ファイア)」や「生茶」、「アミノサプリ」などのヒット商品を次々生み出し、“伝説のマーケター(市場調査に基づいて商品開発・販売促進を行う人)”と異名をとった佐藤氏だった。大物歌手のスティービー・ワンダー氏を口説き落とし、FIREのCMソングに起用したエピソードは業界の語り草だ。キリンビバレッジ社長を務め、湖池屋へ昨年転身した。

新商品の開発で「サプライズ」を重視する佐藤氏はまず、老舗をイメージさせる和風のロゴマークを導入し、続いてラインアップ刷新に着手。「プライド」シリーズは発売3カ月余りで2000万袋、約25億円の売り上げを記録し、品薄が起きるほどのヒット商品となった。 「クラフトビールやサードウェーブコーヒー、本格派チョコレートに高級アイスなど、世の中の『プレミアム志向』を、スナック菓子の世界にも波及させる」。佐藤社長は、商品戦略の基本方針をこう説明する。 一連の新商品による販売単価上昇に伴い、湖池屋の業績はV字回復する見通しだ。2018年6月期は連結売上高が前期比10%増の334億円、営業利益は95%増の6億7000万円に上るとの業績予想を8月11日に発表した。 それでも、ライバルの背中は遠い。  

二の矢、三の矢準備

1967年に日本で初めてポテチの本格量産を始めた元祖の湖池屋だが、シェアは約2割にとどまり、約7割を押さえるカルビーが市場の“盟主”となっている。発売53年の「かっぱえびせん」からシリアル食品「フルグラ」まで幅広く手掛けるカルビーは、年商2600億円、営業利益も300億円(2018年3月期予想)と桁違いに大きく、売上高営業利益率も湖池屋の5倍に上る。 国内スナック市場に君臨するガリバーに、湖池屋はどう立ち向かうのか。 「既に二の矢、三の矢は準備を進めている。キーワードは働く女性や少人数世帯、健康志向だ」。そう笑みを浮かべる佐藤社長が今後繰り出す“マジック”から、目が離せない。(山沢義徳)   【用語解説】湖池屋 本社を東京都板橋区成増に置くスナック菓子メーカー。故・小池和夫氏が1953年創業し、62年8月に看板商品の「ポテトチップス のり塩」を発売。67年に日本で初めてポテチの量産化に成功した。持ち株会社だったフレンテが2016年に事業会社の湖池屋を吸収合併する経営再編を行い、「湖池屋」の社名を引き継いだ。11年から日清食品ホールディングスと資本・業務提携を結んでいる。

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