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send ベンチャー成長に新たな資金調達手段 株式投資型クラウドファンディングが10億円突破

2018年5月18日 金曜日

エメラダ・エクイティを通じて資金調達した地ビール会社の紹介動画の画面

ベンチャー企業の新たな資金調達手段である株式投資型クラウドファンディング(CF)開始から1年-。調達を仲介するサービス運営3社が集めた資金総額が累計で10億円の大台を突破したことが17日、分かった。国内初のビジネスモデルを立ち上げる企業の資金調達が数分で完了するなどサービス浸透に期待が高まっており、今年末には累計の調達総額が約5倍の53億円超に膨らむ見込みだ。柔軟かつ機動的な資金調達手法への需要は大きく、市場が急拡大している。   銀行融資枠も増加 国内外で店舗展開を目指す熟成すし専門店運営の悟中(東京・銀座)は昨年、株式投資型CFで1610万円を調達した。大学と組んで熟成技術の研究を進めており、廣瀬真由加社長は「直接は配当につながらない技術研究なのに、投資家に賛同してもらえたことが大きい」と株式投資型CFが、同社のビジネスモデルに合った手法だったと歓迎する。同社は54人の投資家に対し、店での食事に使える優待券のほか特別メニューなどで還元している。 一方、システム投資のため、5000万円の資金調達を予定する人材紹介ビジネスの社長は「銀行融資は担当者の判断に左右されるが、クラウドファンディングで資本を増やすことで、銀行の融資枠も増える。海外展開に向けて新規上場を目指す」と話し、株式投資型CFが銀行融資獲得への“橋渡し役”にもなると期待する。 数多くの投資ファンドや個人投資家が有望な起業家に競って資金を投じる米シリコンバレーなどに対し、日本はベンチャー企業の創業期の資金調達環境が未熟だ。数億円規模の資本金を元に成長していく海外ベンチャーに対し、銀行融資が中心の資金調達では競争力で太刀打ちできない。

だが、株式投資型CFの解禁を受け、昨年4月に日本クラウドキャピタル(東京都品川区)が国内第1号案件を手掛けたのを皮切りに、DANベンチャーキャピタル(同千代田区)が同9月、エメラダ(同)が同11月に参入。銀行の手が及ばなかった成長の芽に資金が流れるパイプが育ちつつある。

「FUNDINNO(ファンディーノ)」の名称でサービスを運営する日本クラウドキャピタルは1年余りで30社(32案件)を仲介、うち22社が資金調達を完了し4社が調達中。資金調達の総額は約9億7600万円に上る。 DANキャピタルの「GoAngel(ゴーエンジェル)」は、5社(6案件)で9200万円を手掛けた。今年末までに累計20社以上、3億3000万円超の調達が目標。エメラダは、「エメラダ・エクイティ」を運営し、5社で総額1億8000万円を調達しており、今年末までに累計10億円への引き上げを目指す。   創業期は米と大差 「米シリコンバレーに対し、日本では創業期の資本金は平均300万円程度。スタート時に大きな差がついている」 こう国内ベンチャーの厳しい資金調達環境を指摘していた日本クラウドキャピタルの大浦学最高執行責任者(COO)だが、今月12日に行われた日本初の無料配車・運行サービス会社「nommoc(ノモック)」の5000万円の資金調達は、募集開始から4分30秒で完了。株式投資型CFの認知の広がりには手応えを感じており、今年末までに累計で100社、40億円の調達を見込む。 すし専門店の悟中の調達を仲介した、DANベンチャーキャピタルの出縄良人社長も「200万ある株式会社のうち、株式を発行して資本調達しているのは上場準備中の企業を含めて約1万社しかない」と、市場の伸びしろは大きいとみる。

柴原祐喜最高経営責任者(CEO)がシステムと経営コンサルタント、大浦氏がマーケティングやシステムを専門分野とする日本クラウドキャピタル。公認会計士出身の出縄社長が投資性よりも企業支援を重視し、株式投資型CFを、地元企業などを応援する事業パートナーづくりのツールと位置づけるDANベンチャーキャピタル。

  ◇ ■市場拡大に魅力的なリターン必要 一方、エメラダはベンチャーキャピタルなどプロの投資家が出資しているベンチャー企業を対象に、議決権のない新株予約権を発行し、投資家が新規上場やM&A(企業の合併・買収)でリターン(資金回収)を得るスキームを明確に示すなど、「三者三様」の運営スタイルも、株式投資型CFの参加者拡大につながっているもよう。 業界関係者によれば現在、他に数社がサービス運営への参入を検討しており、企業、投資家双方の選択の幅がさらに広がりそうだ。 もっとも、始まったばかりの新手法には課題もある。 企業金融や証券投資に詳しい桃山学院大の松尾順介教授は「株式投資型CFには、経営陣やビジネスモデル、サービスに共感して投資するというファンサポーターの側面がある」と評価した上で、「配当もない、いつまでも上場しないでは、寄付型と同じ。市場の広がりには、新規上場による投資家へのリターンの実績を積み上げる必要がある」と指摘する。 情報開示の量や技術評価の難しさなどベンチャー企業のリスクを克服し、優良な投資先をどう拡大させていくか。サービス運営会社の力量が問われるのはこれからだ。(大塚昌吾)   ◇ 【用語解説】株式投資型クラウドファンディング ベンチャー企業の新たな資金調達手段で、未公開株を発行し、1億円未満を上限に広く資金を集められる。寄付型や融資型CFに対し、株式投資型は2015年5月の金融商品取引法の改正で認められた。第1種少額電子募集取扱業者の承認を受けたサービス運営会社が、登録した投資家にインターネット経由で出資を募る。リスク回避のため、投資額は制度上1社50万円まで。サービス運営会社は、手数料収入を得る仕組み。   ◇ ■参入3社のサービス規模 【日本クラウドキャピタル】 ・参入時期    昨年4月 ・投資家登録数  8500人 ・調達総額    9億7600万円 ・今年末累計目標 40億円 ・代表の出身母体 システム、経営コンサルタント   【DANベンチャーキャピタル】 ・参入時期    同9月 ・投資家登録数  500人 ・調達総額    9200万円 ・今年末累計目標 3億3000万円 ・代表の出身母体 公認会計士   【エメラダ】 ・参入時期    同11月 ・投資家登録数  5000人弱 ・調達総額    1億8000万円 ・今年末累計目標 10億円 ・代表の出身母体 投資銀行部門

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