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send ベンチャー企業、農地再生に一役 市民農園参入相次ぐ

2014年11月21日 金曜日

  bsl1411210500003-p1 市民農園の推移   地方自治体が運営を担ってきた市民農園で、ベンチャー企業の参入が相次いでいる。都市部で週末に農作業体験をしたいというニーズが高まっていることや、遊休農地・耕作放棄地の再活用方法として、商機があるとみているからだ。利用料金は自治体より割高だが、手ぶらで野菜栽培を始められるなど手厚いサービスが強みだ。   手厚いサービス 「食にこだわり、おいしい野菜を食べたくて週末農業を希望する都会の人が増えている」   首都圏で日帰り市民農園「シェア畑」を運営するアグリメディア(東京都新宿区)の諸藤貴志社長は、都市生活者の取り込みに余念がない。週末になると、休日返上でスタッフらに交じって自らトラクターやくわを操り、開設予定の農園の整備を進める。   市民農園は、農家から借り受けた農地を8平方メートル程度の区画に分け、区画ごとに家族連れや愛好者らに貸し出す。利用料金は1区画当たり月8000円程度と、自治体などの市民農園に比べると高い。その代わり、野菜苗や種を提供するとともに農具もそろえ、手ぶらで野菜栽培を始められるようにした。栽培手法を助言する菜園アドバイザーも1農園につき3~4人配置。メールを活用した栽培支援で、利用者の継続意欲を刺激する。   同社は2011年に創業。現在は1都3県の計26カ所まで拡大している。郊外だけでなくJR千駄ケ谷駅(東京都渋谷区)から徒歩数分という立地にも農園を構える。13年秋に700人だった利用者は現在、約2600人まで増えた。   農園整備に関する投資などが先行し、赤字経営だが、16年3月期に黒字転換する見通しだ。売上高は今期見込み約2億円の3倍となる6億円を計画する。市民農園は首都圏だけでなく、関西など他の都市圏への進出を視野に入れ、110カ所を目指す。   一方、マイファーム(京都市下京区)は07年の創業で、企業が運営する市民農園の草分け的な存在。同社は関西、東海、首都圏でフランチャイズ方式も含めて市民農園を約100カ所運営しており、17年までに200カ所に拡大する計画だ。今年の利用者は2000人を超え、前年同期比1.5倍だ。潜在需要はまだあるとみており、「17年には利用者1万人を達成したい」(広報担当)と意気込む。   自治体運営伸び悩み 食への安全志向の高まりを背景に、身近で本格的に農業を体験できる場として市民農園が人気だ。農林水産省によると、ここ10年ほどで約1000カ所増えて全国約4000カ所に拡大した。市民農園は自治体運営が多いが、05年の特定農地貸付制度の改正で民間参入の条件が緩和されて以降、企業などの運営者は全国の市民農園数の7~8%を占めるまで増えた。   これに対し、自治体運営の市民農園は「財政が厳しいため数は伸び悩んでいる」(農林水産省都市農村交流課)。財政事情の悪化が、企業の参入や事業拡大を後押しする。   また、遊休農地・耕作放棄地の地主が、企業の参入に注目している。   農水省によると、国内の耕作放棄地は40万ヘクタール程度。農業従事者の6割以上が高齢者で、今後も高齢化を理由に農業を続けられなくなる人が増えるとみられる。面積は都市化が進む関東地域を中心に増加傾向にある。企業が市民農園として運営すれば、利用者、地主の双方に価値を生み出す。   ノウハウ蓄積、人材の確保必要 最近では、企業が運営する市民農園の認知度が高まるにつれて、企業に地主などから遊休農地を提供するケースが増えている。   アグリメディアの諸藤貴志社長は「相続対策として金融機関や税理士事務所からの相談も増えている」と話す。同社は宿泊設備の付いた滞在型市民農園の開設や、農地活用のコンサルティング事業の展開など業容拡大に乗り出す。   ただ、市民農園をビジネスとして軌道に乗せるのは、課題も多い。農地を借りて市民農園をつくるには法律や規制が複雑なうえ、各地の自治体や農業委員会との調整に時間がかかる。事業として拡大するためにはノウハウの蓄積に加えて、人材の確保なども必要だ。既存企業が副業として本格展開するには、ステークホルダー(利害関係者)の理解が不可欠になる。   市民農園は都市生活者の余暇活動として定着しつつある。都市と農業の融合を本業として力を入れるベンチャー企業が、農地再生の“救世主”になるかもしれない。(佐藤克史)

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