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send ベネッセ、DMなき反転攻勢 “プロ経営者”原田氏の手法に期待と不安

2014年11月26日 水曜日

bsd1411260500005-p1   7月の顧客情報流出事件で傷を負ったベネッセホールディングス(HD)が反転攻勢に出る。11月から営業活動を再開し、ダイレクトメール(DM)を使わない形で新規顧客の開拓をスタート。通信教育講座「進研ゼミ」会員の相談拠点を開くなど、原田泳幸会長兼社長が陣頭指揮に立ち、失った信頼回復を進める。原田氏は、6月に“プロ経営者”として日本マクドナルドHDトップから転じたが、強烈なリーダーシップゆえに現場の反発や疲弊といった混乱を招くとの懸念もあり、ベネッセ再生の行方は見通せない。   黒字化あきらめず 「業績予想はあくまで保守的に見積もった数字。黒字化をあきらめたわけではない」。10月31日、2014年9月中間決算の発表会見に臨んだ原田氏は、15年3月期通期の見通しを厳しい表情でこう語った。同期の最終損益は10億~90億円の赤字になる見込みで、1995年の上場以来、初の最終赤字に陥る。   大きいのは、流出事件を受け、新規顧客の募集を自粛した進研ゼミの会員数が減ったことだ。加えて、顧客へのおわび費用や、人材・組織面の構造改革費用などで、特別損失が300億円強まで膨らむ。最終赤字額に幅を持たせたのは、「構造改革の中身がまだ決まっていない」(原田氏)からだ。   大手監査法人に勤務経験のある公認会計士の大西康記氏は「企業は一般的に、『きっちりしている』と投資家から評価されるよう、はっきりしない要素を最大限に見積もって、業績予想を保守的に行う」と指摘する。ベネッセは流出事件で信頼を損ねており、これ以上、投資家を裏切るわけにいかない。このため、慎重に赤字を予想したわけだが、それでも「黒字化を目指す」と言い切る原田氏には「普通の経営者とは違う、強烈な自負を感じる」(市場関係者)との声も上がる。   収益力を高めるため原田氏が進めるのは、DMに頼らない新しいマーケティング戦略や、新規事業の展開だ。   11月には、「顧客との接点を増やす」ため、ベネッセ社員が進研ゼミ会員の相談に乗る施設「エリアベネッセ」を都内2カ所にオープンし、来年4月までに500カ所設置する。   また、会員の退会者を減らすため、塾との連携を強める。12月以降、傘下の東京個別指導学院が進研ゼミの教材を使って「講師1人、受講生4人」で会員を教える教室を、500カ所作る。グループ外の750の中小学習塾とも連携し、塾講師が会員の学習計画を指導する取り組みを始める。同時に、事業ごとに一層の自立を促すために導入された社内カンパニーについて、9から5に減らすといった組織改革も進めている。   反発招く合理主義 ただ、原田氏の経営手法に対しては、副作用を不安視する声もある。マック時代に持ち株会社と事業会社のトップを兼ねてワンマン体制を築いた原田氏は、業績のV字回復を成し遂げる一方、「あまりに米国的な合理主義」「冷酷」といわれる改革を進めて社内外の反発を招き、「現場力を低下させた」とも批判されているからだ。   原田氏は2004年、米アップルコンピュータ(現アップル)の日本法人社長から、マックのトップへと転身。半額セールの乱発で客の不信を招いていた価格体系を見直し、分かりやすい「100円マック」を導入。さらに、マックカフェ、24時間営業の拡大といった戦略も当たり、11年12月期まで6期連続の営業増益をやってのけた。   ■顧客視点での現場力強化が鍵 一方、原田泳幸氏は日本マクドナルドホールディングス(HD)のフランチャイズ(FC)の選別を加速した。オーナーの数を減らし、不採算店を次々と閉鎖するなど、大胆なリストラも進めた。長時間労働も常態化し、元店長らが不払い残業代の支払いを求める訴訟や労災認定を求める訴えが続発した。   日本生産性本部のサービス産業生産性協議会が行っているJCSI(日本版顧客満足度指数)によると、マックに対する顧客満足度は、2010年調査では外食企業21社中14位。13年には27社中27位に沈み、「直営店に勤めるベテラン従業員も店をやめ、若手への指導力は衰えた」(アナリスト)という。   原田氏が退任する直前の12、13年の12月期は、2期連続で減益となった。景気回復の波に乗るファミリーレストランや、いれたてコーヒーに力を入れるコンビニエンスストアに客足を奪われたことが大きいが、現場力の低下も遠因だとの見方も上がっている。   ベネッセの再建を創業家から託され、原田氏がトップに就任してから約5カ月。ある男性社員によると「言っていることに筋が通っているし、プレゼンテーションもうまい」と社員の受け止めは良いという。   原田氏は社員とのコミュニケーションを重視しており、テレビで各拠点と結んだ朝礼や社内のイントラネットでメッセージを発信している。流出事件が起きた直後の朝礼では、「クライシス(危機)が訪れました。私はこれから記者会見に行って、記者からの質問を受け止めてこようと思います。皆さんも電話対応などに追われるでしょうが、がんばっていきましょう」と語りかけた。10月31日の決算会見で「黒字化を目指す」と話したことも、イントラネット上で社員に説明した。男性社員は「会社を立て直すために就任したのだから、それくらいのことは言ってもらわないと困る」と、むしろ納得したという。   原田氏はベネッセでの仕事について、「人生の集大成」と位置付ける。マックでの成功体験を生かし、ベネッセを浮揚させて“プロ経営者”として名を残すには、顧客視点に立った現場力の強化が問われている。(山口暢彦)

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