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send ビットコイン法規制へ議論本格化 「グレー国家」のレッテルに政府焦り?

2015年7月29日 水曜日

  bse1507290500005-p1 (1)   「できれば、早くやってほしい」。自民党本部で1日開かれたIT戦略特命委員会の資金決済小委員会で、参加したビットコイン業界団体の関係者からこんな声が上がった。会合のテーマは仮想通貨に対する法規制。テロ資金やマネーロンダリング(資金洗浄)に悪用される懸念が高まっており、規制の是非について検討に乗り出したのだ。 仮想通貨が法規制されると「取引の自由度が損なわれるのではないか」といった見方もあるが、実際には逆の効果を持つ。規制対象に位置付けられることで、ビジネスの土壌が整備されることにつながるからだ。  

監視が必要に

ビットコインなどの仮想通貨は、マウントゴックスの破綻で一気に国内での認知度が高まった。だが、政府は14年3月にビットコインは「通貨に該当しない」とする見解を閣議決定。担当する官庁を定めず、取り扱いは宙に浮いた状態となった。マウントゴックスの破綻で損失を受けた利用者は、公的な救済の後ろ盾を失った格好となった。 閣議決定を受け、自民党の特命委小委員会は同年6月、関連ビジネスの振興を目的とした業界団体が設立されることを想定し、ビットコインは自己責任を原則として民間主導に委ねるとする提言を策定。仮想通貨を「価値記録」(価値を持つ電磁的記録)と定義した。 9月には業界団体の「日本価値記録事業者協会」が立ち上げられ、取引業者の届け出を必要とするガイドラインを設け、自主規制で利用者の保護に乗り出した。もっとも、閣議決定で通貨として認められなかったことから、ビットコインには「危うい」というイメージがつきまとい、国内では普及に広がりを欠いているのが現状だ。  

法規制について、自民党関係者は「議論はまだこれからだ」と話すが、特命委小委員会の狙いは政府のスタンスと異なり、明らかな方針転換だけに「政府がいよいよ本気で仮想通貨を監視下に置こうとしている」といった見方が広がっている。

流れが変わったきっかけは、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」などのテロ組織が国際的規制が未整備の状態にある仮想通貨を悪用し、テロ資金規制の包囲網をくぐり抜ける動きを見せ始めたことだ。 仮想通貨は国家の保障がなくても価値を持ち、ネット経由で資産を移すことが可能。国際的な通貨取引から排除されているテロ組織にとっては、資金を移動させるにはうってつけの手段だ。価格の不安定さからくる投機的対象としての魅力も関連ビジネスの新規参入を促し、テロ組織に対する仮想通貨の利便性を高める結果となっていた。 ロンドンに拠点を持ち、ビットコイン関連の情報サイトなどを運営するコインデスクによると、ピーク時の13年末に1100ドルを超えたビットコインの対ドル相場は、マウントゴックスの破綻を受けて300ドル台後半に急落。いったん持ち直した後に下落基調を強め、直近では300ドル近くで取引されている。  

マネーロンダリングやテロ資金対策の国際基準を定める金融活動作業部会(FATF)は、6月21日から26日までオーストラリアで開いた会合で、仮想通貨の取引所に対する規制を盛り込んだ指針をまとめた。具体的には取引所を登録制か免許制とするように定めたほか、顧客の本人確認や疑わしい取引の届け出、記録保存を義務付けた。

指針は加盟各国に取引所に対する規制を義務付け、仮想通貨をめぐる法整備を求めた。テロ資金を封じ込めるこの国際協調の枠組みに参加するには、仮想通貨に法規制をかけることが前提条件となり、政府も重い腰を上げざるを得なくなったのだ。 「危険な国」入り回避 テロ資金対策の国際協調をめぐり、日本政府はFATFの批判にさらされた経験がある。 「多くの深刻な不備事項をこれまで改善してこなかった」。FATFは14年6月の声明で、日本の金融部門などのテロ対策に関する不備を厳しく指摘した。「テロ対策に熱心ではない国」と名指しされたに等しかった。FATFは資金洗浄やテロ資金対策のハイリスク国を公表しており、日本もリストに掲載される可能性が高まった。  

慌てた政府は同年11月、犯罪収益移転防止法など2つの法律を改正し、テロリストの資産を凍結する新法を定めるなどテロ資金対策の法体系を整備。辛くもリスト入りを免れた。その後、2人の日本人がイスラム国に殺害される事件が起こり、政府関係者は「もしリスト入りしていたら、顔向けできないところだった」と冷や汗をぬぐう。

自民党が仮想通貨の法規制の検討に乗り出したのも、FATFの指針に政府が対応を余儀なくされていることが背景にある。既にカナダや米ニューヨーク州は法規制を整え、欧州連合(EU)でも議論が進んでおり、日本は出遅れが否めない。 仮想通貨に詳しいエコノミストは「利用者保護の面から法規制は重要」と理解を示しながらも「行き過ぎた規制は『通貨当局の監視からの自由さ』という仮想通貨のメリットを奪う可能性がある」としており、法規制の議論は難しさも抱えている。(佐久間修志)

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