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send ドル覇権揺さぶるAIIB 米国で参加促す意見台頭…「中国の夢」は抑制可能か

2015年4月13日 月曜日

mcb1504130500009-p1   3月下旬、ニューヨーク。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」に関して、地元の親睦団体が開催した討論会で「アジアインフラ投資銀行(AIIB)に日米は参加すべきか」との質問が出た。   日本からの参加者(元政府高官)の回答は「参加すべきではない」。だが、米国側(大学教授)からは「米国は間違いを犯した。(業務の)透明性を確保し、中国主導でやらせないためにもあえて参加すべきだった」との意見が出た。   「米国が参加しないから」と不参加を決め込んでいた日本勢としては、米国の有識者発言には驚いたのではないだろうか。   中国が主導して設立する国際金融機関AIIBの参加をめぐり、米国内で意見が錯綜(さくそう)している。アジア地域で社会資本整備の資金需要が強まっている一方で、国際経済で相対的な地位が低下している米国だけでは資金を供給できないからだ。   新興国つなぎとめ   「米国主導の国際システムに新興国をつなぎとめるべきだ」。3月17日、ワシントン。米議会の下院金融サービス委員会で、ルー財務長官がこう力説した。   この日の議題は、国際通貨基金(IMF)改革だった。中国をはじめとする新興国はIMFでの発言権拡大を求めたが、米議会が承認しないため改革案が発効していない。   だからこそ、中国は業を煮やして、AIIBを独自に設立しようとしている。   中国国内経済を支援する需要創出もあるだろうが、中国が独自に国際金融機関を発足させたい理由はずばり、戦後続いてきた米国による金融覇権への挑戦だ。第二次世界大戦後の国際経済秩序を定めたブレトンウッズ体制の見直しである。   ブレトンウッズ体制が当初定めた金本位制と固定相場制は、米ドルの金兌換(だかん)を停止した1971年の「ニクソン・ショック」で終焉(しゅうえん)を迎える。   だが、IMFや世界銀行といった主権国家の信用を補完する国際機関を米国が牛耳る構図は変わらず、石油がドル決済され続けたこともあって、米ドルは基軸通貨の地位を保った。   米政府による中央銀行をかませた信用創造プロセスを通称、「フェド・ワイアー」と呼ぶ。米政府が国債を増発する場合、ニューヨーク連銀など連邦準備銀行(フェド)に米国債を担保として差し出すことで、資金枠を融通(ワイアー)してもらえる。   フェド・ワイアーは、ニクソン・ショックで姿を変えた新しいブレトンウッズ体制のたまものである。「姿を変えた」といっても米ドルは国際的な決済通貨のままだし、各国政府の外貨準備の大半が米ドルだからだ。   自国通貨防衛に必要な米ドルは需要が強い。一方の米国は経常赤字を気にすることなく、国債を発行し、ドル通貨を刷り続けることができる。   米国が世界の警察として役割を果たすのがパクス・アメリカーナの軍事面だとすると、「シニョリズム(通貨発行益)」を享受できるフェド・ワイアーはパクス・アメリカーナの金融面を担う。     米ドルが決済通貨だし、主権国家に対する信用創造は米国が決めるので、欧米がロシアに科した経済制裁など米国は外交発言も増す。   米ドルへのアクセスを失った瞬間に国家が経済的に立ち行かなくなるのが、新しいブレトンウッズ体制の特徴だ。   敵対戦略を修正   最近、OECD(経済協力開発機構)が政府開発援助(ODA)に関する分析リポートを出したが、ODAの多くがアフガニスタンやイラクなど米国が紛争に介在した地域だ。開発経済の分野でも米国の政治的な思惑が反映されている。   対して、中国はIMFの特別引き出し権(SDR)の構成通貨に人民元が採用されるようロビー活動を展開している。AIIB設立はこうした「人民元の国際化」活動の一環だ。   アジアで「人民元金融圏」ができれば、アジア外交における米国の影響力を薄めることができる。  

このためAIIBは米中経済対立の側面をもつが、英国をはじめとする同盟国がAIIB参加に流れたため、米国としては完全敵対の戦略を修正し始めている。

  3月末、ルー財務長官はサンフランシスコで講演し「既存の国際機関を補完して高度なガバナンス基準を提供するならば、米国は設立を歓迎する用意がある」といった趣旨の発言をしている。   米国の政策を左右するシンクタンクでは、リベラル系だけでなく、中道も何らかの形でAIIB参加を促すような意見が増えてきた。   「中国の夢が拡大する」。ドイツ銀行は最近、欧州諸国がAIIBになだれ込む人気ぶりをこうリポートした。欧州勢が、鈍化したとはいえ成長を続ける中国経済との接点が欲しいためである。   中国は豊富に保有するドル建ての外貨準備をAIIB関連の投融資にまわす可能性があり、米国債には売り圧力となる。AIIBは米国の金融覇権ののど元に突きつけられた刃なのだ。(松浦肇・産経新聞ニューヨーク駐在編集委員)

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