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send トヨタ つながる車で事故撲滅 ビッグデータ解析“踏み間違い加速阻止”導入

2020年3月13日 金曜日

最新のコネクテッド機能を搭載した新型「カローラ」を紹介するトヨタ自動車の吉田守孝副社長 =2019年9月17日

トヨタ自動車が、通信機能を備えた「コネクテッドカー(つながる車)」を生かした交通事故撲滅に本格的に乗り出した。高齢ドライバーに多いペダル踏み間違い事故を防止しようと、今夏からコネクテッドカーから得られたビッグデータを解析・開発した新機能「急加速抑制機能」を導入する。道路上の障害物の情報を車両間で共有できるシステムについても、2020年度内にめどをつける見込みだ。実現すれば、コネクテッドカーが事故防止だけでなく社会課題を解決する切り札となる。 「究極の目標である『交通事故死傷者ゼロ』に近づけていくなかで、効果はかなり大きいと思う」。東京都内で2月に開かれた急加速抑制機能の発表会で、トヨタ先進技術カンパニーの葛巻清吾フェローは強調した。 新機能の特徴は、高度なセンサーを使わずに、ペダルなどの操作のみから誤った急アクセルを判断できる点だ。現在も急加速抑制機能は各社にあるが、同時にセンサーで障害物を検知した場合に限られている。 だが実際には、死傷者の多いブレーキとアクセルの踏み間違い事故は、交差点など障害物がない場所で起きている。社会に大きな影響を与えた、昨年4月の東京・池袋での高齢ドライバーによる暴走事故が典型例だ。この事故車両がトヨタの「プリウス」だったことは、社内にも少なからず影響を与えたようだ。 葛巻氏は「できる範囲で検証し、踏み間違い対策として何ができるか、昨年から検討に着手していた」と振り返る。 車の操作や動きは非常に複雑だ。障害物を避けるため、急ブレーキをかけるだけでなく、逆に急加速する場合もある。メーカーとしては、「明らかに踏み間違いによる急加速」だと判断できる状況を把握する必要があった。   ■他メーカーにも開示「安全は協調」 その状況分析に役立ったのが、コネクテッドカーから専用回線を通じて収集した走行時のビッグデータだ。車両速度の変化はもちろん、アクセルの踏み込み速度や深さ、シフトの位置、車両角度などの詳細なデータが集められている。 トヨタは、事故原因がペダルの踏み間違いだった数千台のビッグデータを抽出して解析。そこで浮かび上がったのが、「車速」「坂道」「踏み込み速度」「踏み込み量」「直前のブレーキ操作」「右左折操作」の6要素だった。 例えば、車速が時速30キロ程度なら、加速のためにアクセルを踏み込むことがある。坂道を上る急加速もあり得るので、車両角度から判断して除外する。低速時に踏み込み速度が急激で、踏み込み量も深い場合は、運転操作が正常ではない確率が高い。 ここまでは従来の経験則でも判断できそうだ。さらに、ビッグデータの解析により、踏み間違い時は(1)直前にブレーキ操作をしていない(2)「右左折」の途中や直後ではない-ということが明確になり、新機能の開発に役立った。 トヨタは2018年6月、新型車を原則、車載通信機を標準搭載したコネクテッドカーとする方針を打ち出した。カローラやクラウンといった主要車種を皮切りに、ハイブリッド車「プリウス」、スポーツ用多目的車(SUV)「C-HR」、ヴィッツから改名された小型車「ヤリス」など、現在は15車種に拡大。台数が増えるほどデータの力も高まっていく。 さらに、コネクテッドカー自体が「リアルタイム」のセンサーの役割を担うこともできる。 昨年12月の発表によると、トヨタはNTTグループと、あるコネクテッドカーが道路上にカメラで障害物を見つけた際、自動で撮影して周辺車両に備えられたカーナビゲーションの地図上に表示させる実験を行っている。 20年度内には、サービスとして活用可能な「7秒」ほどの短時間で表示できるよう目指している。 コネクテッドカーのセンサーとしての機能は、自治体などの道路管理者が多大な労力をかけている道路の劣化状態などの点検にも応用できる可能性がある。実現すれば、社会課題となっている老朽化した道路の点検・整備にも貢献できる。 トヨタは急加速抑制の新機能の詳細な判断ルールについて、他のメーカーに開示することも決めた。「競争も大事だが、安全は最終的には協調していくべきもの。各社がバラバラでは利用者に分かりにくくなる」(葛巻氏)からだ。 コネクテッドカーは、他メーカーも開発を進めている。さまざまなメーカーの知恵がコネクテッドカーの存在を通じてつながれば、安全なクルマ社会づくりが加速するだろう。(今村義丈)

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