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send ソフトバンク、囲い込み戦略再び ネットフリックス独占、かつてのiPhone効果狙う

2015年9月9日 水曜日

  bsj1509090500003-p1   独占的なサービスで顧客の囲い込みを狙う戦略にソフトバンクが再び打って出た。インターネット経由の有料動画配信で世界最大手のネットフリックスとタッグを組み、配信サービスへの加入申し込みを受け付ける店頭窓口を国内で独占。NTTドコモやKDDIとの差別化につなげ、携帯電話や光回線といった自社サービスへの誘導をもくろむ。米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」をかつて国内で独占販売し、新規契約を右肩上がりで伸ばした成功体験を再現することができるのか。   店頭で売り込み   「革新的で、不確実性をいとわないパートナーが必要だ。ソフトバンクは、まさにそうした存在だ」。8月24日、東京都内で開いた会見でネットフリックス日本法人のグレッグ・ピーターズ社長は、提携先のソフトバンクをこう持ち上げた。 有料放送の利用世帯が全体の9割に上る米国などとは異なり、「テレビの視聴は無料」という意識が根強い日本市場を攻略するには、米国のようにホームページを通じて契約を直接獲得するだけでなく、店頭での営業力が欠かせない。スマホや光回線を申し込みに来た人に動画配信サービスも売り込んでもらえば加入者を早期に伸ばせる-というのが、携帯大手をパートナーに選んだネットフリックスの思惑だ。  

ソフトバンクは、全国数千カ所に上る携帯電話の販売網を生かし、ネットフリックスの加入者拡大を後押しする。対面で手続きができるのはソフトバンクのユーザーだけだ。利便性を高めるため、毎月の視聴料をソフトバンクの携帯料金と合わせて支払えるようにした。

会見に同席した同社の宮内謙社長は「両社の関係がウィンウィンになることを目指した。たくさん売れば当然、僕らがウィン(勝者)になる」と強調した。 契約者の獲得数に応じてソフトバンクは販売手数料を得るが、目的は当然それではない。 KDDIに続き、ドコモも2013年9月からアイフォーンの取り扱いを始めた結果、大手3社が販売する携帯端末やサービス内容はほぼ横並びとなり、ソフトバンクは優位性を喪失。15年4~6月期の契約純増数はわずかな伸びにとどまるなど、苦戦が続いている。このため、世界50カ国で6500万人以上の加入者を抱えるネットフリックスの潜在力を横並びの打破に生かし、携帯などの契約増につなげる狙いがある。  

さらにうまみが大きいのは、加入者がソフトバンクの回線でネットフリックスを視聴することで得るデータ通信料だ。

動画のデータ量は標準画質(SD)で1時間当たり0.7ギガ、高画質(HD)で最大30ギガ。同社のスマホ料金は月間通信量が2ギガバイトのプランで3500円、5ギガバイトは5000円だが、大容量の動画を楽しむために2ギガプランから5ギガプランへ100万人のユーザーが移行すれば増収効果は年間180億円、200万人なら360億円に上る。これだけにとどまらず「(光回線の)『ソフトバンク光』の契約数も向上するだろう」(宮内社長)とそろばんをはじく。 新しい収益の柱に 従来型携帯からスマホへの買い替えが一段落し、機種変更のペースも鈍ったことで、携帯端末の国内出荷台数は低迷が続いている。調査会社のMM総研によると、14年度は前年比3.9%減の3788万台と3年連続で前年実績を割り込んだ。新規契約の大幅な増加が期待できない中で、動画や音楽などのコンテンツ配信を新しい収益の柱に育てることは、携帯3社にとって共通の課題となっている。  

動画配信では、ドコモの「dTV」が携帯3社の中で最も多い465万の会員を獲得しているのに対し、KDDIの「ビデオパス」とソフトバンクの「UULA」はそれぞれ100万余りにとどまり、ドコモの後塵(こうじん)を拝している。

KDDIは8月20日、ビデオパスの会員増に向けてテレビ朝日との業務提携を発表。アイドルグループの「AKB48」が出演するドラマの別バージョンといったオリジナル番組をそろえるとともに、テレビ朝日の地上波放送でPRすることで浸透を図る。利用者の視聴履歴などのビッグデータを分析し、番組の企画・制作に活用するといった新機軸の取り組みも始める。 ソフトバンクも、ビッグデータなどを活用しながらネットフリックスの独自コンテンツ制作に参画する方針だ。ネットフリックスはフジテレビや吉本興業とも共同制作に取り組み、強みとする洋画や海外ドラマにとどまらず、作品のラインアップを日本向けに強化していく。  

先行するドコモは、11年11月のサービス開始から1年4カ月で会員数が400万を突破したものの、その後は伸び悩んでいる。今年に入って大量のテレビCMを放映し、アニメの「進撃の巨人」といった人気が高いコンテンツを導入するなど、他社の追い上げに対抗するためテコ入れを図っている。

携帯大手以外では、日本テレビが子会社化した「Hulu」を通じ、地上波と連動した専用番組のネット配信を開始。ネット通販の米アマゾン・ドット・コムや「TSUTAYA」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブもサービスを拡大するなど、ネットフリックスの日本参入を引き金に加入者の獲得合戦が激しくなってきた。 動画配信の世界最大手と組んだソフトバンクが狙い通りに通信事業の業績向上につなげられるか。それだけでなく、日本で動画配信が定着するかどうかの大きな節目にもなりそうだ。(山沢義徳)

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