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send スバル信頼回復 多難な道筋 品質問題が業績直撃 問われる改革の実効性

2019年4月3日 水曜日

スバルの国内唯一の生産拠点となる群馬製作所=群馬県太田市(同社提供)  

無資格者による完成検査、燃費・排ガスデータ改竄(かいざん)、大規模リコール(回収・無償修理)…。不正を含む数々の品質管理問題が噴出し、その影響が業績を直撃したSUBARU(スバル)。北米を中心に海外での拡販で急成長を遂げた“ひずみ”と指摘される。戦前の大手航空機メーカーを母体に品質や安全性が高く評価されてきた「安全神話」が大きく揺らいだ。

海外急成長のひずみ 中村知美社長は、今年度を再スタートの年と位置づけ、品質管理強化への投資や組織改編、人事などさまざまな手を打った。まさにブランド復権への正念場を迎えている。 「今、当社は信頼回復、そして企業風土改革という大きな課題に立ち向かっている」。中村社長は1日、東京都渋谷区の本社で開いた入社式で、品質管理問題を念頭に置きながら、566人の新入社員を前に難局打開に向けて結束を訴えた。 2017年秋以降に発覚した一連の検査不正に加え、今年1月には、外部調達するハンドル操作の補助部品「電動パワーステアリング装置」で不具合が発覚し、国内唯一の生産拠点である群馬製作所(群馬県太田市)の稼働が一時停止。2月には、ブレーキランプを点灯させるスイッチに不具合があるとして、大規模リコールの実施を発表。対象はスポーツ用多目的車(SUV)「フォレスター」など2車種で、国内外で約226万台と、同社にとって過去最大級のリコールとなった。 最初に直面した検査不正はいわば国内問題で、世界販売の約7割を北米が占めるスバルにとって業績への影響は軽微だった。しかし昨秋、同社を象徴する「水平対向エンジン」の基幹部品の不具合で大規模リコールを余儀なくされ、様相は一変した。構造上、車からエンジンを取り外して分解し、部品を交換しなければならず、1台当たりの作業時間は2日程度に及んだ。 この費用を主因に、19年3月期連結営業利益予想を従来の3000億円から2200億円に引き下げた。今年2月には工場の一時停止などで再び下方修正し、1850億円と、前期からほぼ半減する水準を見込む。 生産・販売計画にも影響を及ぼす。2月に19年3月期の世界販売計画を従来の104万1000台から99万6000台に引き下げると発表。3年ぶりの100万台割れで、岡田稔明最高財務責任者(CFO)は「残念だが台数は追わず、品質を確保したい」と唇をかんだ。 10年前の世界販売は50万台超に過ぎなかったスバルだが、SUVなど消費者のニーズを満たした車種を中心に北米での拡販に成功。販売台数は当時の約2倍の100万台を超えて推移している。だが、急成長に検査体制や法令順守(コンプライアンス)の意識醸成が追いつかなかったようだ。

弁護士らによるチームが昨秋にまとめた報告書によると、スバルは海外を中心に新規投資を振り向ける一方、国内工場は改修を重ねて運用した。収益面の責任を負わない検査部門もおろそかになり、経営幹部の一人は「設備が老朽化していても何とか検査できる場合は予算が通らない」と軽視した。設備の老朽化を努力で補う対応が繰り返され、「検査員の業務に過大な負荷がかかり、不正や手抜きにつながった」という。

同社は、自動ブレーキなどの運転支援システム「アイサイト」をいち早く導入し、安全性に優れたイメージを確立。衝突した場合に乗員を守る性能も高く評価されている。実際に事故などが起きているわけではないが、品質管理体制をめぐる数々の問題がブランドイメージを低下させ、国内販売は3月まで、17カ月連続で前年を下回っている。 検査部門の独立性鍵 危機感を強めるスバルは、再発防止策を矢継ぎ早に打ち出した。品質管理強化へ5年間で1500億円の投資枠を定めた。検査業務をサポートする指導・相談員の配置や教育の充実など、負担軽減策も実施。4月1日には、法令順守の徹底に向けた専門部署を新設した。昨年11月以降、約8000人の従業員と対話したという中村氏は「改善・改革は着実に進んでいると肌で感じた」と打ち明ける。 だが、元芝浦工業大大学院教授で企業の不正問題に詳しい安岡孝司氏は「検査員がなぜ製造部門に忖度したのかまで解明しなければ、不正は根絶できない」と、検査不正のメカニズムを追究する必要性を指摘。昨年12月に完成検査部門を製造本部から品質保証本部に移したことについても、「検査部門の独立性を確保し続けられるか、実効性が問われる」と強調する。(臼井慎太郎)

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