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シャープ、鴻海傘下で再建 部品調達や生産能力で相乗効果
2016年2月5日 金曜日

◆「技術流出全くない」
「100年を超える会社のDNAを残しながら…」。高橋社長は支援先選びで重視する点を聞かれると、郭会長の言葉と自らの言葉を重ねた。鴻海は過去、一度は合意したシャープへの出資を見送った経緯があり、不信感を持つ関係者は多い。しかし高橋社長は「技術流出は全くないことが、信頼関係が熟成できている一つの例だ。今は互いに尊敬し合っている」と説明し、鴻海側への配慮をみせた。
高橋社長は記者会見の直前まで、主力取引銀行の三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行が持ち込んだ革新機構の支援を断ることは難しいと考えていた。ただシャープの取締役13人のうち、5人の社外取締役を中心に「機構案では合理的な説明がつかない」と再考を求める声が上がった。 鴻海が巨額の拠出に加えて好条件を提示すると、革新機構も3000億円の出資や2000億円の融資枠の設定、主要取引銀行による3500億円の債務削減をシャープに示して対抗した。 高橋社長は鴻海、革新機構の両者とも事業や雇用の維持などを了承していることを明かしたが、革新機構は過去の出資に際して大規模なリストラを行った経緯もあり、雇用に対する不安はぬぐえない。 鴻海の好条件をけると、会社に損害を与えたとして善管注意義務を問われる株主代表訴訟に巻き込まれることを防ぐ思惑が透けてみえた。このため取締役間の意見の調整が必要となり、ぎりぎりまで交渉が続いた。 そして、翌4日朝の取締役会で決まったのは、鴻海案を軸に交渉を進めることだった。 主力取引行も、再度の金融支援に踏み切ることには難色を示す声も根強かった。ここにも鴻海は手を打っていた。主力取引行が債務の株式化を通して所有していた2000億円分の優先株を買い取ることを提案。大規模な金融支援も求めてこなかったことで容認する方向に傾いた。
主力取引行幹部は「鴻海案の方がのみやすいというのが本音だ」と打ち明けた。 ◇ ■シャープ経営問題の経過 2012年4月 液晶テレビの採算悪化で、12年3月期の最終損益が3760億円の赤字 7月 堺工場を台湾の鴻海精密工業と共同運営 13年5月 13年3月期の最終損益が5453億円の赤字 11月 計1365億円の増資完了 14年5月 14年3月期の最終損益が3年ぶりの黒字 15年5月 中小型液晶の不振などで、15年3月期の最終損益が2223億円の赤字に転落 6月 計2250億円の金融支援 7月 高橋興三社長が液晶分社化検討を表明 9月 大阪市の本社売却を決定。希望退職を実施 10月 高橋社長が複数社と液晶で協議中と表明 16年2月4日 鴻海傘下入りで最終調整。高橋社長が鴻海と「相乗効果大きい」と明言