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send コロナ禍経営支える地域金融 初の公的融資取り扱い、50万件超決定

2020年7月29日 水曜日

ゲストハウスの施設を案内する神輝哉さん=11日、札幌市

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、業績悪化に苦しむ事業者を支える地域金融の役割が増している。 「融資が受けられなかったら不動産を売って借金を返済し、事業を諦めていたかもしれない」。札幌市でゲストハウス(簡易宿所)を経営する神輝哉さん(39)は、コロナの影響で宿泊予約のキャンセルが相次ぎ、資金繰りに奔走した2月末以降を振り返った。地元の信用金庫と日本政策金融公庫で受けられた実質無利子無担保の公的融資が、当面の命綱だ。 ゲストハウスは2014年に開業。外国人観光客の増加もあって業績は順調に伸び、16年には施設を拡張して客室数を増やした。だが今年4月には予約がゼロになり、5人の従業員の解雇も頭をよぎった。7月になった今も予約の戻りは鈍い。年明けまでは学生や各国の若者でにぎわっていた館内は、ほとんどのベッドが整えられたまま静まり返っていた。 コロナの影響は2月以降、幅広い業種に広がり、日本経済に深刻な打撃を与えた。政府は3月、資金繰りが悪化した企業が倒産しないよう、政府系の公庫などを通じて売り上げが急減した中小企業などを対象に実質無利子無担保の公的融資制度を創設した。 公庫に申請が殺到したため、5月には民間金融機関でも取り扱い開始。民間の銀行や信金が公的融資の申請受け付けや審査を担うのは初めてだ。感染が拡大する中、資金需要は強く、中小企業庁によると7月16日までに61万件超の申し込みがあり、このうち50万件余り(約8兆6000億円)の融資が決まった。 銀行の融資姿勢は、晴れの日に傘を貸し、雨が降ると取り上げるとも揶揄(やゆ)される。福岡県地盤のある地銀の支店長は行員たちに「雨の時こそ傘を差し出そう」とハッパを掛け、コロナ以前から業績が厳しい事業者の相談にも応じている。   「営業ノルマ」に危うさも 「メインバンクに相談したら担当者が飛んできた」。福岡県を中心に焼き鳥店「とりかわ竹乃屋」などを44店舗運営するタケノ社長の竹野孔さん(65)は、借り入れ上限が4000万円の公的融資では賄いきれない資金を、西日本シティ銀行や福岡銀行の自前融資で調達した。 「既存店の売り上げはどうですか」「コロナ対策で席を空けての営業で厳しいです」。客足の急回復が見込めない中、銀行と相談しながら通販や食品加工といった新規事業に活路を求める。 一方、公的融資の「うまみ」につけ込むような金融機関もある。借り手にとっては無利子でも、貸し手は都道府県から利子相当額を受け取れる。焦げ付いても信用保証協会が企業に代わって全額返済する保証付きが大半で、低収益にあえぐ銀行にとっては、リスクを取ることなく金利収益を得られる仕組みだ。 「必要ないなら使わなくてもいいから資金を借りてほしい」。兵庫県のイベント企画業の30代女性経営者は、金融機関からの無利子無担保の借り入れを迫るしつこい営業に困惑した。コロナでイベントが中止になり、売り上げは減ったが「借金は増やしたくない」と断り続けた。 西日本のある地銀幹部は「銀行にとって好都合な無利子無担保融資の残高拡大に『ノルマ』を課している営業現場もあるようだ」と打ち明ける。 コロナ禍が長引き、企業の業績低迷が続けば、返済が必要な借金は膨張する。金融庁幹部は「将来的に企業破綻が相次げば保証のない既存融資まで焦げ付く恐れもある。今はノーリスクの融資拡大に浮かれていても、大量に不良債権が発生すれば銀行経営も危うくなる」と警戒する。      

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