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send ゲームの知見をAI開発に活用 広がる異業種連携、社会課題の解決に期待

2020年3月30日 月曜日

オムロンの卓球ロボット=米ラスベガス(共同)

ゲーム各社が培った「続けて遊びたくなる」ノウハウを、他産業が取り入れる動きが活発化している。「人も楽しませる」というゲーム独自の視点が、技術の実用化や高齢化などの社会課題の解決に新たな示唆を与えると期待されているからだ。ゲームのノウハウを他の産業に応用することは「ゲーミフィケーション」と呼ばれ、医療や介護の現場でも注目されている。 スクウェア・エニックスは3月末まで、精密機器大手のオムロンと共同で人工知能(AI)を活用し、「やる気」を引き出すという一風変わった実証実験を実施している。実験では、オムロンが開発した卓球ロボットにスクエニのAIを搭載。AIがわざと厳しく攻撃したり、打ち返しやすい球を返したりする。ロボットが人を観察しながら“アメとムチ”を使い分けることで、やる気を引き出して練習の効果を高めるという。 AI技術の発展でロボットなど、個々の機械は飛躍的に精密に制御できるようになった。ロボットが人と一緒に作業するなどの社会実装を目指すためには、人を理解して協調性を高める、より高度なAIの開発が求められる。   自動接客サービスなど実用化目指す スクエニの三宅陽一郎リードAIリサーチャーは「AIは人と共存する現実が苦手。一方、ゲーム産業は一人のユーザーを深く理解し、楽しませることを続けてきた」と話す。 今回の実証実験を踏まえ、スクエニは自動の接客サービスなどへのAIの実用化を目指す。将来的にはスマートシティーなど、多数のAIが複合的に運用される仕組みで、全体を最適化する監督の役割を果たすAIの開発につなげる。 全体最適化の基礎的な仕組みは、ゲームで既に取り入れられている。スクエニの人気ロールプレーイングゲーム(RPG)「ファイナルファンタジー15」では、仲間キャラクターが、プレーヤーが倒そうとしている敵をあえて倒さないなど、AIでゲームの爽快感や難易度を調整している。 ゲームにおけるAI活用の歴史は古い。原点は1980年代に一世を風靡(ふうび)したナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)の「パックマン」だ。プレーヤーの動きに合わせて敵の攻撃に緩急をつけ、飽きさせないことがヒットにつながった。 90年にエニックス(現スクエニ)が発売した国民的RPG「ドラゴンクエスト4」では、仲間が自動で学習しながら戦うAIが取り入れられた。三宅氏は「ちょっと先の未来をみせるのがゲームの役割だ」という。 こうしたゲーム会社のノウハウに着目する異業種は増えている。 後発薬大手の東和薬品とバンダイナムコエンターテインメントの子会社バンダイナムコ研究所は、服薬を支援するスマートフォン向けアプリを2021年までに共同開発する。 バンダイナムコ研究所は、ゲームそのものの楽しさのほか、持続性(モチベーションを上げる仕組み)や達成感などを最重要課題としている。ゲーム制作で培ったノウハウをアプリの開発に活用し、年間約500億円ともいわれ、医療費高騰の一因となっている残薬の解消につなげたい考えだ。 また電通は昨年7月、セガゲームス子会社と資本業務提携した。さまざまな分野にゲーム性を取り入れて、利用者の参加率や満足度を高めるなどゲーミフィケーションのサービス事業を広げるのが狙いだ。 こうしたゲーム会社に接近する企業の共通の悩みは、「どうやって人の意識に働きかけるか」だ。売れるゲームの開発競争にしのぎを削る業界の知見が、その回答になるかもしれない。(高木克聡)

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