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send ウナギ完全養殖、3年後実用 稚魚量産化へ産学官スクラム

2014年7月18日 金曜日

bsc1407180500008-p1    近畿大学と豊田通商がクロマグロの稚魚量産化を始めるのに続き、ニホンウナギの稚魚量産化に向けた産学官の取り組みが今秋にも本格化する。2010年に世界で初めてニホンウナギの完全養殖に成功した独立行政法人水産総合研究センター(横浜市西区)などが、水産庁の委託を受け稚魚(シラスウナギ)の大量生産システムの開発に乗り出す。静岡で民間企業数社と実証実験を開始。3年後に養殖業者などへの技術移転を目指す。    規制条約の対象危惧  ニホンウナギの完全養殖は、人工的に産卵、孵化(ふか)させた稚魚を成魚に育て、再び産卵、孵化させるもの。天然稚魚を飼育池で成魚まで育てる方法しかないこれまでのウナギの養殖とは異なり、安定的にウナギが生産できる画期的な技術だ。量産化に成功すれば、天然稚魚の漁獲量減少を背景に高騰しているウナギの販売価格引き下げにもつながる。    日本鰻輸入組合(東京都千代田区)によると、国内で流通する約半数がニホンウナギと推定される。うち99%が養殖ウナギで、同組合の森山喬司理事長は「ワシントン条約で規制の対象になれば自由な取引ができなくなり、影響は大きい」と話す。    日本は世界最大のウナギ消費国として漁獲規制などの本格的な保護対策を迫られている。水産庁は「養殖技術の向上を待つのではなく、技術の向上と量産化を同時に進める必要がある」(研究指導課)と判断し、ニホンウナギの完全養殖の実用化を急ぐことにした。    人工稚魚の量産化には、水産総合研究センターのほかにヤンマー、IHI、不二製油などの民間企業や愛媛大学が参加する。2014年度の事業額は2億5000万円。システム開発は、同センター増養殖研究所の南伊豆庁舎(静岡県南伊豆町)で行う。    鍵握る飼育技術開発  システム開発の鍵となるのが、卵から孵化した仔魚(しぎょ)(幼生)を体長5~6センチの稚魚に育てる飼育技術。同センターは4年前に完全養殖に成功したものの、現在に至っても実用化されていないのは、仔魚の飼育技術が確立されていないためだ。    同センターによると、人工飼育のニホンウナギは細菌発生などで死ぬ仔魚の割合が高い。人工飼育下で稚魚にまで育つ仔魚の割合は、マダイやヒラメなどで90%を超えているのに対し、ニホンウナギはわずか4~5%。人工稚魚の生産は年間わずか数百匹と、全養殖業者の間で取引されている稚魚の1億匹に遠く及ばない。稚魚までの飼育期間も人工飼育下では海洋の2倍の約1年かかるという。    川で育ったウナギは、海で卵を産むため川を下り、海で生まれた卵が稚魚となって川に上るために河口付近に集まってくることがわかっているが、生態には謎が多い。とくに卵が稚魚になる海洋での生態には未知の部分が多く、人工仔魚の生存率を高めるために餌をどう改良したらよいかなどの研究は手探り状態だ。    ■自動給餌機開発で作業省力化  稚魚の大量生産システムの開発計画では、1000リットルの特殊な大型水槽を9月末までに6槽製造し、1槽当たり2万5000~3万匹の仔魚を使い実証実験を始める。大型水槽は年内をめどに12槽に増やす。    これと並行して、自動給餌機の開発にも取り組む。現在の飼育では、手作業で日中2時間おきに餌を与えている。量産化に向け作業の省力化も進める。自動化で、夜も餌を与えられるようになれば、仔魚の栄養摂取量が増えて飼育期間の短縮につながる可能性もある。    水産総合研究センターは昨年から単独で量産化に取り組んできた。同センターがこれまで培った人工仔魚の飼育技術と民間企業が持つ製造技術を融合させてシステム開発を進める。    同センター増養殖研究所の桑田博資源生産部長は「最終的には、養殖で必要な稚魚の2~3割を人工稚魚に置き換えるようにしたい」と話した。(佐藤克史)    【用語解説】ニホンウナギの絶滅危惧種指定  国際自然保護連合(IUCN)が6月、絶滅の恐れがある野生生物を指定する「レッドリスト」にニホンウナギを加えた。日本の親ウナギの漁獲量は1981年の1920トンから2011年の229トンに減り、稚魚の漁獲量は過去30年間で90%以上減ったことなどが理由だ。レッドリストは掲載されても捕獲や国際取引の規制には直結しないものの、希少生物の国際取引を規制するワシントン条約の判断材料となる。

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