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send アップル「横浜開発拠点」の狙い “不気味な秘密主義”に警戒強める国内メーカー

2015年1月7日 水曜日

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アップルが開発している「カープレイ」。日本に開発拠点を設置するのは、自動車分野での技術取り込みが狙いという臆測もある=2014年3月、ジュネーブ(ブルームバーグ)

  米アップルが近く横浜に技術開発拠点を設ける。企業のオフィスなどが集まる「みなとみらい21」地区に数十人規模の「テクニカル・デベロップメント・センター」を置くという。ただ、秘密主義を貫くアップルは横浜で何を開発するのか明らかにしておらず、関係者の間ではさまざまな臆測が飛び交っている。取引先の部品メーカーからは日本に技術開発拠点を置くことで、「大量購入を背景にしたアップルのバーゲニングパワー(交渉力)が、さらに増すのでは」と危惧する声も出ている。   不気味な秘密主義 「情報をオープンにしたがらないアップルが技術開発拠点の設立を認めたのが不気味だ」   ある電機メーカーの幹部がこう語るように、アップルは昨年12月の衆院選挙期間中に、安倍晋三首相が明らかにした開発拠点の設置を認めたほかにはほとんど情報を公表していない。   アップルの取引先も動向が気になっている様子だ。ある部品メーカーの幹部は「冷え切った国内(部品)メーカーとの関係を強化するのが狙いでは」と警戒感を強める。   パソコンの「iMac(アイマック)」やスマートフォンの「iPhone(アイフォーン)」など数々のヒット商品を生み出してきたアップルは、自社工場を持たず、世界中の取引先との関係を深めてサプライチェーン(供給網)を構築する手法で世界を代表する巨大企業となった。   そのアップル製品を支えているのは、日本の部品メーカーと言っても過言ではない。アイフォーンの内部を見ても、村田製作所やTDK、アルプス電気、太陽誘電、ジャパンディスプレイ、シャープなど国内メーカーの部品や液晶パネルが数多く採用されている。   アップルは、さまざまな部品の組み合わせでいかに製品の性能を高め、量産時のコストを削減できるかという点に開発の力点を置いている。薄型軽量化するための素材も含め、腕の良い会社を探すのがアップル開発陣の重要な仕事となっている。   前述の部品メーカー幹部は「人の技術でヒット商品を生み出している」とアップルのビジネスモデルに憤りを隠さない。島野製作所(東京都荒川区)は、電源コネクター部分の関連技術でアップルの特許権侵害を東京地裁に訴えている。   販売規模の大きいアップルは、生産コストの削減や調達リスクを軽減するためサプライチェーンを分散化させている。特に東日本大震災以降、この傾向が顕著になっているという。   島野製作所の件でも、アップルは、島野との約束を破り、別の下請け会社に同じ部品を作らせ、コスト削減に取り組んでいたとして訴えられている。類似した行為は島野以外にもあるとされ、国内の部品メーカーは、中核技術が流出しないように、慎重にアップルと取引を行っているのが現状だ。   「多くのメーカーが、この手法で倒産した会社を見ており、そのリスクは日本でかなり浸透している」と前述の部品メーカー幹部は指摘する。また、アップルは取引先に対し部品の値下げや、増産のための先行投資を強いているとされ、以前よりもサプライヤーとの関係が悪化しているようだ。   ただ、部品メーカーとしては、販売規模が大きいアップルの仕事を請け負えば、多額の収入が見込める。そのため、多少の無理を聞きながら、つかず離れずといった関係を続けているのが実態だ。   そうした中、アップルを取り巻く環境も変わってきた。最近では格安ながら高機能なスマホを販売する新興の中国メーカー小米科技(シャオミ)などが中国市場などで、攻勢をかけており、韓国サムスン電子などがシェアを奪われている。こうした中国メーカーは、ハイエンドの端末開発にも力を入れており、アップルのアイフォーンもうかうかしていられない状況に置かれている。   中国メーカーとの差別化を図るにはブランド力に頼らず、端末の機能や使いやすさもさらに高めていかなければならない。アップルは、技術開発拠点を置くことで高い技術力を誇る日本の部品メーカーとの関係を密にし、新たなイノベーションを起こそうとしている可能性もある。   こうした臆測に対し、国内の部品メーカーは、受注増への期待の一方、さらに縛りが増え、また自分たちの技術が盗まれると戦々恐々としている部分もあり、胸中は複雑だ。   自動運転で優位に 大手電機メーカーを含め、アップルが日本に開発拠点を置く狙いは読み切れていない。   可能性の一つとして指摘されているのが、自動車関連事業の強化。現在、アップルはアイフォーンと連携した車載システムの「カープレイ」の開発を進めている。アップルは、カープレイを、自動運転を指示する「頭脳」に発展させる考えで、自動車や関連部品メーカーの多い日本に拠点を置き、開発を優位に進めたいのでは、という見方も多い。   また、ライバルの韓国・サムスン電子が横浜に研究所を持ち、リチウムイオン電池や家電分野で日本メーカーの優秀な人材を引き抜いているという。アップルが自動車分野で、同様の動きをする可能性も十分ありそうだ。

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