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「IoT」で変わるモノづくり 電機各社が対応強化、先行・欧米勢を追い上げ
2015年6月29日 月曜日

ロボットメーカー各社との連携も強化し、メーカーごとに異なるロボットの制御プログラム言語を共通に扱えるようにする。同社のテクノロジ&ものづくり本部、宮澤秋彦本部長は「大企業だけでなく、中小企業でもロボットや自動化設備の導入が進むようにしたい」と話す。
一方、三菱電機は複数の工場の間でデータをクラウドに接続し、連携を図ることで生産設備の稼働を効率化させる技術を開発した。実証実験を経て16年度の商用化を目指す。パナソニックは、家庭向け監視システムに使われるソフトウエアなど約50件のIoT関連の特許を無償で提供する。同社の特許を使うメーカーを増やし、技術面からニーズを囲い込むのが狙いだ。日立製作所や東芝もIoTの推進組織を社内に新設・再編した。 身の回りのさまざまな機器もネットにつながり始めている。東京電力などはデータ通信で電気使用量を計測できる「スマートメーター」の導入を開始。利用者に使用状況を伝え、無駄遣いを防ぐことができるという。横浜市戸塚区に3月、ネットを駆使した「見守り」機能を備える高齢者向け住宅「グレイプスフェリシティ戸塚」が誕生した。「水が出っ放しのようですが、大丈夫ですか」。入居する84歳の女性の部屋でインターホンが鳴った。洗面所の蛇口が完全に閉まっていなかったのだ。
97ある入居者の個室全てにセンサーが付いている。24時間態勢で水道と電気の使用量、室温と湿度を測り、計測値に異常があれば、入居者に何かが起きた恐れがあると推測。ネット経由で介護スタッフのパソコンに警報が出る。警報は、離れて暮らす家族の元へもメールで届く。住宅の管理担当者は「部屋の中で一人きりで倒れても、早めに気付くことができる。システムは命に直結している」と話す。 欧米では、製造業の変革につながるとされる第4次産業革命の波が起きつつある。ドイツのインダストリー4.0では、これまでの大量生産とは異なり、高い生産効率を維持しながら個別仕様や個別生産に対応したモノづくりの実現を目指すものだ。推進組織にはシーメンスやフォルクスワーゲン、ドイツテレコムなど大手企業に加え、大学や団体も参加している。主導権争い激化
米国でもゼネラル・エレクトリック(GE)、インテル、IBM、シスコシステムズなどの有力企業が企業コンソーシアムを設立。グーグルは家電など多様な機器をスマートフォンで操作するための新しい基本ソフト(OS)「ブリロ」を5月末に発表。アップルもスマホの「iPhone(アイフォーン)」などに搭載するOS内に、家電や住宅設備などを操作できる機能を追加し、IoT分野での主導権を握ろうと競っている。 日本でも政府が成長戦略「日本再興戦略」の素案でIoTや人工知能、ロボットの活用強化を打ち出したが、国際標準化づくりでは欧米勢に1年以上遅れている。 さまざまな機器がつながるIoTの分野では、あらゆる業界の連携が欠かせない。産官学の連携強化で欧米勢に追いつき、追い越すことができるのか。日本の力量が試される。「IoT」をめぐる電機各社の主な取り組み
≪日立製作所≫ 設備の異常などに関する予兆診断や、複数の設備の稼働状況を一元管理するシステムの提供 ≪パナソニック≫ 約50件のIoT関連特許の無償提供 ≪東芝≫ ビッグデータ解析技術や予測・制御技術などを取り入れたIoT共通基盤の開発 ≪三菱電機≫ 工場同士をクラウドでつなぎ、生産を制御する技術の開発 ≪富士通≫ ロボット制御のプログラム言語の共通化 ≪NEC≫ 画像認識やデータ分析、ネットワーク制御技術を取り入れたサービスの開発