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send 「羽田ノウハウ」初の海外輸出 日本空港ビルと双日、親日パラオの観光に貢献

2017年11月20日 月曜日

日本空港ビルデングと双日が運営に参画する現在のパラオ国際空港(双日提供)  

西太平洋に浮かぶパラオ共和国から日本企業が国際空港ターミナルの拡張工事を受注し、来年3月に空港運営にも参画する。ダイビングやシュノーケリングの人気スポットを抱えるパラオは中国人観光客が急増。受注したのは、羽田空港国内線旅客ターミナルビルの建設・運営を手掛ける日本空港ビルデングと大手商社の双日だ。両社は「羽田で培ったノウハウを生かして収益を上げる」と鼻息が荒い。一方、パラオも日本企業を誘致したいとの思惑があった。背景には中国から押し寄せる観光客への警戒がある。

  ◆国際空港運営に参画 昨年8000万人を超え、過去最多となった羽田の年間旅客数は世界5位。その旅客を迎えるスタッフのサービス水準や施設の使いやすさ、清潔さなども高く評価され、英航空関連調査会社は2014年以降、最高水準の「5スターエアポート」(現在世界に8空港)に毎年選んでいる。 日本空港ビルと双日は、羽田で培ったノウハウや資産を生かしてビジネス展開できないかと、アジアを中心に模索。しかし、ミャンマーでは国際入札に敗れ、他のアジア諸国では空港の民営化がなかなか進まなかった。そんな中、インフラ輸出を重視する日本政府の後押しもあり、パラオ国際空港の運営を手掛けることが決まった。 パラオには15年、人口の約8倍に当たる16万人が訪れ、3万人が日本人だった。2100メートルの滑走路を持つ空港は、ボーイング767など中型機も乗り入れ、成田空港から米デルタ航空が定期便を運航するほか、日本航空や全日本空輸もチャーター便を飛ばす。だが、パラオ政府の直営ターミナルは狭くて混雑する上、旅客が出発まで一休みするいすが少ないなど課題も多い。

計画では来年5月ごろから改修工事を始め、約5500平方メートルの2階建てターミナルの床面積を1.5倍ほどに広げ、運営にも関わる。総事業費は約35億円。日本空港ビルは快適なターミナルの提供で貢献できるとみて、日本からの定期便増も期待する。

実は、パラオ政府も日本企業に空港ターミナル事業を委託したいとの思いが強かったようだ。第一次世界大戦後、日本の委任統治領となったパラオの国民は今も親日的だ。日系人のクニオ・ナカムラ氏(73)が大統領として独立を成し遂げたほか、国会では日系の政治家が強い影響力を持つ。 双日の藤本昌義社長は「パラオの(レメンゲサウ)大統領から日本企業にホテルやインフラ関連に参画して欲しいと言われ、日本への期待感をひしひしと感じた」と打ち明ける。   ◆インフラ整備に遅れ パラオが日本との結び付きを強めようとする背景には、中国人観光客急増への「戸惑い」がある。 12年にわずか800人ほどだった中国人観光客は、15年には8万7000人と約100倍に膨らみ、外国人観光客の過半を中国人が占めた。 ホテルや生活用水などのインフラ整備が追いつかず、アジア開発銀行(ADB)が「大変なことになる」と異例の警告をしたほどだ。パラオ政府は中国から受け入れるチャーター便を制限した結果、中国人観光客は16年に減少に転じたが、それでも6万5000人と国別の首位をキープ。中国資本のホテルやレストランも建設ラッシュだ。

パラオは台湾と外交関係を樹立しており、中国とは国交がない。しかも、パラオは「自由連合盟約」を結ぶ米国に安全保障を委ねている。米国はパラオを軍事利用できるほか、第三国の軍事施設を排除することもできる密接な関係だ。

ただ、太平洋諸国に詳しい塩沢英之・笹川平和財団主任研究員は「中国が民間資本を使って影響力を強めてくることはあり得る」と分析する。 ある関係者は、今年10月の中国共産党大会で権力を掌握した習近平国家主席の下、「新興国を中国へなびかせようとする気配がある」と指摘。実際、同6月には中米パナマが台湾と断交し、中国との国交を樹立した例もある。この関係者は「台湾承認国に対し、民間企業を通して影響力を強め、後に揺さぶりをかけることは十分考えられる」と分析している。 中国人客の急増はパラオに大きな経済効果をもたらしたが、韓国では、在韓米軍の「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備をめぐる中韓関係の悪化から中国人客が激減。経済と政治・外交を結び付けようとする中国政府の「意図」をうかがわせた。こうした動きにパラオは警戒感を抱く。 パラオでは東急不動産がリゾートホテル「パラオ パシフィック リゾート」を運営。NECもパラオやミクロネシア連邦向けに大容量の光海底ケーブルを計3ルート建設する計画だが、日系企業の進出はまだそれほど多くない。 日本が太平洋の親日国を大切にしなければ、経済面からこれらの国々への中国の影響力は強まりかねない。今回の空港ターミナル事業の受注をきっかけにパラオの重要性を見直すべきだろう。(上原すみ子)

フジサンケイビジネスアイ

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