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send 「空き家」活性化ビジネス続々 リゾート滞在向け賃貸、住宅各社も参入

2015年10月14日 水曜日

bsd1510140500002-p1   人口減少で急増する“空き家”関連ビジネスが活発化している。大京は沖縄の不動産会社と提携し、同社グループが分譲・管理するマンションを中心とした空室をリゾート滞在向けに貸し出す事業を開始。今後は東京や大阪など都市部でも展開する。住宅メーカー各社は、空き家を維持・管理するサービスに相次ぎ参入。リフォームや売却などの提案につなげる。悩む地方自治体と民間企業が連携して有効活用を模索する計画も出てきた。空き家問題のさらなる深刻化は必至で、今後も同様の動きは加速しそうだ。   沖縄で割安な利用料   大京グループの大京穴吹不動産が沖縄で始めた長期滞在サービス事業「旅家(たびいえ)」は、北谷(ちゃたん)町などリゾート地や市街地の中心部に建つ分譲マンションをリフォームし、1カ月単位で貸すサービス。7月から4物件で始め、今夏は東京のIT企業に勤める30代の社員らがロングバケーションを楽しんだという。好評のため、対象物件を大幅に拡充している。   家電など長期滞在に必要な備品をそろえ、リゾートホテルのような仕様に部屋を改修。「高級リゾートホテルよりは下。しかし、ビジネスホテルなどよりは上」(PM事業部の中村宇裕(たかひろ)・バケーションレンタル課長)の高級感に仕上げた。  

利用料も割安。沖縄最大の歓楽街、那覇市の国際通りから徒歩十数分の物件の場合、定員5人(専有面積75平方メートルの2LDK)で月額賃料は約30万円に設定した。1人1日当たり約2000円の計算となる。

  同社では事業強化に向け今月から専用サイトを開設。また、近畿日本ツーリストグループと共同で、長期滞在のメリットを生かした旅行プランの提唱にも着手した。   今のところ、滞在期間は1カ月以上に限定。旅館業法の「宿泊」でなく、借地借家法の「賃貸借契約」だからだ。ただ、東京や大阪、京都など国家戦略特区の旅館業法の特例が得られる指定エリアでは、短期の滞在も含めた展開も視野に入れる。大京グループが管理するマンションは全国で52万戸超に達しており、空室の有効活用として所有者に提案していく。   巡回サービスも 住宅メーカーの動きも活発だ。積水ハウスは三井住友トラスト不動産、綜合警備保障と連携しながら空き家の相談サービスを昨年から展開。リフォーム受注や流通促進につなげる戦略だ。  

大和ハウス工業グループは今年5月、空き家の巡回サービス事業に参入。所有者と契約を結び月に1回程度、清掃など定期的な点検を行う。ミサワホームも10月から、定期巡回サービス事業を開始した。空き家の家財整理や賃貸などのサービスを提供している。

  住民・地域社会との共生が鍵   地方自治体にとっても空き家問題は深刻。都市部への人口流出などで「空洞化」が問題となっている郊外型住宅団地を抱える兵庫県三木市は8月、神戸市に隣接するニュータウン「緑が丘地区」の再生に向け、大和ハウスや凸版印刷、関西学院大などと連携し、子育て世代を呼び込む方策を検討する研究会を立ち上げた。   地区内に高齢者向けの集合住宅を建築することを想定。戸建て住宅団地に住む高齢者の住み替えを促し、空き家は改装して若い子育て世代に安価で販売、賃貸する方針。三木市は一部費用の助成も検討し、2017年度のサービス開始を目指す。政府の「地方創生特区」に申請する方針で、薮本吉秀市長は「(同様の問題を抱える)中小都市を勇気づけられるよう、再生のモデルを切り開きたい」と意気込んでいる。  

野村総合研究所によると23年の空き家数は約1400万戸に達し、住宅総数に占める割合は約2割になる見通し。空き家が増えると景観や生活環境の悪化を招くだけでなく、適切な管理ができなければ倒壊や火災などの危険も増す。「空き家の撤去促進や中古住宅市場の活性化といった対策強化は喫緊の課題」(野村総研)となっている。

  一方で観光目的の訪日外国人が急増し、都市部やリゾート地を中心に宿泊需要が急激に増加。「ホテルが足りない」(旅行業界関係者)状態となっている。このためマンションの空き部屋などを宿泊施設として活用する「民泊」の具現化に向けた動きが顕在化。国家戦略特区で旅館業法の規制緩和の議論も進んでいる。大京の取り組みのように、こうしたニーズに空き家や空室を活用する動きは、今後、さらに拡大する見通しだ。   大京の旅家事業では近所の飲食店との連携も検討。「街をよく知ってもらえることにもつながり、『来年も訪れよう』といった気分にさせる。地域活性化につながる」(大京穴吹不動産の担当者)と事業拡大に意欲を見せる。   まだまだ緒に就いた空室関連ビジネス。「空室をどのように活用するか」といったハードの整備ばかりに関心が集まりがちだ。これと並行して、住民や地域社会との共生といった観点に基づくソフト戦略をいかに推進できるかが、事業の成否の鍵を握るとみられる。(伊藤俊祐)

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