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send 「曲がる太陽電池」で反転攻勢 “メード・イン・ジャパン”で中国支配に風穴

2015年9月30日 水曜日

bsc1509300500011-p2   安価な中国製品が支配する太陽電池市場で、日本メーカーが反転攻勢の機会をうかがっている。三菱ケミカルホールディングス傘下の三菱化学や東レなどが開発を進めている「曲がる太陽電池」の実用化が視野に入ってきたからだ。コストなどで課題は残るものの、屋上や屋外の平らな場所に限られていた太陽電池の設置場所が広がり、数年後にはメード・イン・ジャパンが一矢報いる場面もありそうだ。   bsc1509300500011-p1     自由なデザイン可能 三菱化学が開発中の有機薄膜太陽電池は、厚さ1ミリ以下のシート状で、自由に折り曲げたり、たたんだりできる。材料は、従来製品で一般的なシリコンではない。炭素などの有機物をフィルムの上に印刷して作る。薄いうえ大がかりな製造装置が不要で、価格も抑えられる。透明にしたり、自由に色をつけたりすることもできる。   曲がる太陽電池は、デザインを損なうことはなく、あらゆる用途に使える。大成建設が横浜市に昨年建設した3階建ての「ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証棟」は、電力を自給自足できるのが売りだが、外壁に三菱化学の有機薄膜電池を使っている。年内には、スリーエムジャパンとともに、窓の内側に貼るタイプの販売も始める予定だ。  

他にも、電気自動車(EV)の屋根に張り、動力源にするといった使い道が考えられている。

  有機薄膜電池をめぐっては、東レも2018年ごろの実用化を目指す。同社は室内に設置し、太陽光ではなく蛍光灯やLED(発光ダイオード)照明の光で発電することを想定している。照明を光源にしても光エネルギーを電気に変える能力が落ちにくく、室内でも一定の電力を賄えるからだ。小型化もしやすく、電卓と同じようにスマートフォンに搭載される可能性もある。この電池も折り曲げることが可能で、同社は「顧客の要望次第で外壁用なども考えたい」と話す。   昭和シェル石油子会社のソーラーフロンティアは、18年に曲がる太陽電池を発売する計画だ。フィルム基板を使い、材料もシリコンではなく、銅とインジウム、セレンから成る化合物だ。   新たな設置場所開拓   世界の太陽電池市場は、00年代半ばまでシャープなどの日本メーカーが上位を占めてきた。しかし、自国市場拡大の追い風を受けたドイツの新興メーカー、Qセルズがシャープから世界首位の座を奪い、さらに人件費の安い中国などのアジア勢が躍進した。  

シリコン系の一部太陽電池は半導体同様、製造装置があれば技術があまりなくても作れる。このため、人件費の差で勝負がつくケースが少なくない。

  人件費で分が悪い日本や欧米のメーカーは、次々に事業継続を断念。シャープは大半を外部調達に切り替え、Qセルズは昨年倒産した後、韓国のハンファグループに吸収されている。   一方、日本では、12年に導入された再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)が追い風となり、太陽光発電が急速に普及。メガソーラーバブルともいえる状況になったが、これによって一部電力会社で系統電力の負荷が増大。昨年秋には九州電力が送電網への接続を保留する事態となり、バブルは一気にはじけた。   また、政府が買い取り価格を引き下げたことなどで、アジアから安価な太陽電池の輸入が増えた。日本メーカーは軒並み業績を悪化させ、自国市場すら失おうとしている。IHSテクノロジーの大山聡主席アナリストは「価格競争力で劣る日本メーカーが巻き返すのは難しい」と予測する。  

まさに正念場だが、活路はある。メガソーラー建設が相次いだことで、平地が少ない日本では設置場所確保が難しくなりつつある。新たな設置場所を開拓できる「曲がる」次世代電池は、問題の解決に道を開く。

  台風18号の影響による鬼怒川の氾濫では、太陽光発電事業者による土手付近の掘削が被害拡大をもたらしたと指摘されており、そこでも設置場所の問題が見え隠れする。海外では日本ほど場所に困っていないが、いずれは同じ課題に直面するとみられる。   さらに、太陽電池のシリコンは大半を中国から輸入している。シリコンを使わない曲がる電池の普及が進めば、資源外交に振り回されるリスクも減らせる。三菱化学の関係者は「(曲がる太陽電池は)中国メーカーが簡単に作れない」と自信を見せる。再び市場を支配するまではいかなくとも、一矢報いることはできそうだ。(井田通人)

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