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send 「日の丸鉄道」海外市場で快走、中国勢と明暗 官民連携、買収・受注に相次ぎ成功

2015年3月6日 金曜日

bsc1503060500001-p1   官民を挙げて海外の鉄道プロジェクト獲得に力を入れる日本勢が、攻勢を強めている。イタリアの防衛・航空大手フィンメカニカが売り出した鉄道関連子会社2社の買収合戦で日立製作所が中国のIT企業に競り勝ち、三菱重工業や三菱商事などの企業連合がカタールの首都ドーハの都市交通システムを受注。さらに中国や欧州勢が受注を狙うインドの高速鉄道計画をめぐり、同国政府の要人が日本の新幹線を採用する可能性に言及するなど「朗報」が相次いでいる。安倍晋三政権が成長戦略の柱の一つとして取り組む日本のインフラ輸出は順調に軌道に乗り、拡大しそうな情勢だ。   高い技術力を評価   「欧州の規格に適合した製品を加えることができ、重要な買収だ。グローバル展開を加速させたい」。2月24日、東京都内で記者会見した日立の中西宏明会長兼最高経営責任者(CEO)は、伊フィンメカニカから鉄道関連事業を買収する意義をこう強調した。   日立が傘下に収めるのは鉄道車両メーカーのアンサルドブレダと信号システム大手のアンサルドSTS。買収額は約2500億円で、同社の買収案件としては過去最大規模となる。   フィンメカニカは昨夏、不振だった鉄道事業の売却を表明。日立や欧米の有力企業などが買収の意向を示し、日立と中国の国有大手鉄道車両メーカー、中国北車集団に売却先の候補が絞り込まれたとの観測が流れた後、技術力の高さや交渉条件などから最終的には日立に軍配が上がるとみられていた。   ところが、昨年12月中旬に中国のIT企業、浙大網新(インシグマ)が買収に名乗りを上げ、交渉の行方が分からなくなる。インシグマは買収を有利に進めるため、成都に本拠を構える建機メーカーの成都市新築路橋機械と連携。アンサルドブレダの財務を評価するため数週間の猶予をフィンメカニカに求め、巻き返しを図っていた。   「われわれが買収できたのは長いレンジで鉄道事業を展開し、その国や地域に根ざしたものにするという基本的な経営姿勢が評価されたのではないか」   日立の中西氏は会見でこう語り、日本や日本企業が持つ信頼性の高さが買収につながったとの見方を示した。安倍首相はイタリアを昨秋訪問した際に今回の買収案件に言及し、トップセールスを展開しており、官民の連携が実を結んだ格好だ。   一方、三菱重工と三菱商事、近畿車輌など5社の企業連合は2月20日、ドーハの都市鉄道「ドーハメトロ」の鉄道システムについて約4000億円で受注の内示を得たと発表した。三菱重工と三菱商事の首脳は2013年8月の安倍首相の中東訪問でカタールに同行し、現地でアピールしていた。ドーハメトロは同国初の公共都市鉄道で、22年に開催されるサッカーワールドカップ(W杯)に向けた中核のインフラ整備事業となる。   さらに、低コストなど武器に中国が「有力」ともされたインドの高速鉄道計画でも、技術力や運営実績に優れる日本勢が有利な形勢になりつつある。同国のシンハ鉄道担当閣外相は2月28日、首都ニューデリーで、日本の新幹線を採用する可能性が高いかとのフジサンケイビジネスアイの質問に対し、「もちろんだ。モディ首相はとても関心を持っている」と述べ、同計画の第1弾となるムンバイとアーメダバードを結ぶ区間では新幹線が有力との考えを示した。  

中国“憂き目”続き

  中国は海外の鉄道プロジェクトで憂き目に遭い続けている。中国の企業連合は昨年11月、5000億円に上るメキシコの高速鉄道プロジェクトを落札したものの、その数日後にメキシコ政府が契約を取り消す事態が起きた。   このプロジェクトの獲得は、鉄道事業で「世界3強」とされるカナダのボンバルディアや独シーメンス、仏アルストムの3社のほか、三菱重工も検討したもようだが、入札したのは落札した中国南車集団を中心とした企業連合だけだった。入札が単独だったため、中国企業とメキシコのペニャニエト政権をめぐる癒着疑惑が浮上。メキシコ政府が原油安や財政難という事情を抱えていたこともあり、計画自体がいったん棚上げされた。   落札直後、中国は「高速鉄道の海外進出が実現した第1弾」と沸き返った。李克強首相が昨年来、先頭に立ってタイやオーストラリア、欧州、アフリカなどに鉄道を売り込む「高速鉄道外交」を進めていただけに、契約撤回への落胆ぶりは大きい。中国側は激怒し、補償を求める騒ぎに拡大している。  

 また、タイと中国が共同でタイに建設する鉄道事業でも、中国側が融資する資金の金利などで条件で折り合いがつかず、交渉が難航しているもようだ。

  世界各国では新興国だけでなく、米国など先進国でも鉄道整備の計画がめじろ押しとなっている。「他の輸送手段と比べて二酸化炭素(CO2)の排出量が少なく、さらに新興国ではインフラ整備の一環に位置づけられている」(大和証券)ためだ。   欧州鉄道産業連盟の調査によると、車両やインフラ、車両保守などのサービス、信号システムといった鉄道関連の世界市場は年率3%弱の成長を続け、2019年までに25兆円規模に拡大するとみられている。   中国は年内にも中国北車と中国南車が経営統合し、世界最大規模の鉄道事業会社となり、新興国市場などの開拓を政府とともに加速する構えだ。足元では日本勢が好調とはいえ、鉄道市場をめぐる激しい受注競争が今後も予想されるだけに、日本の実力と戦略の真価が問われるのはこれからだ。  

 ■世界各国の主な高速鉄道整備計画

  ≪米国≫ サンフランシスコ-ロサンゼルス 川崎重工業やJR東日本が受注を目指す ワシントン-ボルティモア JR東海がリニア新幹線を提案   ≪タイ≫ ノンカイ-ラヨンなど 2路線は中国と共同整備。他の路線で日本勢が参画の余地 ≪インド≫ ムンバイ-アーメダバード 川崎重工やJR東など日本勢と欧州、中国企業が競合   ≪ベトナム≫ ホーチミン-ハノイ 計画は凍結中   ≪ブラジル≫ リオデジャネイロ-カンピーナス 入札の延期が続く

フジサンケイビジネスアイ

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