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send 「新常態」旧態依然の掛け声 中国全人代閉幕 計画経済時代ほうふつ

2015年3月16日 月曜日

mcb1503160500006-p1   北京で開かれていた中国の全国人民代表大会(全人代=国会)は15日、「新常態(ニューノーマル)」をキーワードとする政府活動報告などを採択して閉幕した。新常態は「坂を登り峠を越える重要な段階」と表現された。高度経済成長時代が終焉(しゅうえん)を告げ、成長鈍化局面に入ったことを聞き覚えのない言葉に言い換えた一種のレトリックだ。政府活動報告では、2015年の経済目標値を国内総生産(GDP)の実質成長率で前年と比べて0.5ポイント低い7.0%前後に、消費者物価の上昇率も同0.5ポイント低い3.0%前後に設定。成長鈍化やデフレへの懸念がにじむ。   「3つの…」言葉遊び レトリックだけではない。政府活動報告には、毛沢東時代から中国共産党が得意とするスローガンもちりばめられた。どこか計画経済時代の古びたカビのにおいがする。新常態とは裏腹に、市場経済に移行しきれない“旧態依然”の現状も垣間見える。 中国のスローガンで最も目につくのは「3つの…」だ。江沢民元国家主席が02年に打ち出した「3つの代表」が最も知られる。共産党こそが「先進的生産力の発展要求、先進文化の前進方向、最も広範な人民の根本的利益」の3つを代表するという指導理念だというが、分かるようで分からない概念だろう。   今回の政府活動報告で登場した「3つの…」は、合わせて3つある。   まず「3つの1億人」。都市と農村の格差是正に向け、「農村戸籍から都市戸籍への転籍で1億人、都市部のバラックに暮らす低所得者層1億人、内陸部で1億人を対象とした都市化」を指す。   中国で約8億人いるという農民は、農地を実際に耕す農業従事者とは限らず、農村で生まれたことを示す農民戸籍保持者とのくくりだ。都市部で出稼ぎしても社会保障は受けられない。   全人口のうち残る約5億人の都市戸籍の人からは差別され、労働を搾取される立場に置かれている。このまま格差が拡大して不満が鬱積(うっせき)すれば、社会不安を引き起こしかねないとみた中国政府は、建国以来ともいえる戸籍制度の改革と格差是正策に乗り出す、というのだ。   次いで「3つのサポートベルト」。成長鈍化局面にあって今後の成長戦略の柱に据えようとしているのが、周辺国までベルト地域と考えた内外のインフラ統合開発。ベルト地域は「中国を起点に中央アジアから欧州方面と東南アジアから中東方面の2方面の開発を意味する『一帯一路』、北京市と天津市と河北省の地域共同開発、上海市から内陸まで長江(揚子江)の沿岸」が重点エリアだという。   この2つはある程度、経済政策のイメージがわくが、最後の「3つの2つ」は呪文に聞こえるスローガンだ。   まず、「経済の中高速成長維持と発展の中高次元化という2つの目標」に続き、「政策と市場経済の結びつき、改革促進と構造調整の結びつきという2つの結合」とくる。   そして、「大衆による起業と革新のエンジンに、公共財や公共サービスの増加というエンジンの2つ」。2つの目標と2つの結合、2つのエンジンで、合わせて「3つの2つ」になるという。にわかに理解の難しい政策で、数字合わせの言葉遊びといえなくもない。 13年末段階で8668万6000人を数える中国共産党の党員はみな、こうした「3つの…」をはじめとする政府活動報告が指し示した政策を今後、必死に学習し、自らが責任をもつ地方政府や国有企業、民間企業の中で実行に移すのだろう。だが、果たして何%までが全人代で唱えられた呪文の真意を理解し的確に判断できるかは分からない。   「改革」の文字が80回 李首相は13年3月の就任直後から、安倍晋三政権の「アベノミクス」にならったという経済政策「リコノミクス(中国語で李克強経済学)」をスタートさせた。全人代が開かれた人民大会堂で約1時間半をかけて読み上げた政府活動報告には「改革」の文字が80回も登場した。新常態へのスローダウンは改革こそ欠かせないということだろう。   だが、計画経済時代の残滓(ざんし)ともいえるレトリックやスローガンの羅列と、市場経済時代をリードする改革との“矛盾”をどう乗り越えていくか。具体的な政策はまだ見えてこない。 政府活動報告は最終段落で中国共産党創設から100年となる21年と、中華人民共和国成立から100年となる49年の「2つの周年」に向け、これも判然としない中華民族の偉大な復興という「中国の夢」に向けてより大きな貢献をせよ、と締めくくった。だが、旧態依然の発想で指折り数えている場合ではない。責任ある大国として何が正鵠(せいこく)を得ているか。「本質」を追求してもらえないだろうか。(北京 河崎真澄)

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