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send 「南西アジア戦略」思惑交錯 政府は海洋安保確保、企業はビジネス拡大

2014年8月22日 金曜日

mca1408220500001-p1    スリランカやバングラデシュなど南西アジアへの日本企業の関心が急速に高まっている。経済成長は東南アジア諸国連合(ASEAN)地域に及ばないものの、リスク分散のため中国以外の海外生産拠点を持つ「チャイナ・プラスワン」の候補に浮上するとともに、内需拡大も将来的に期待できるためだ。9月6~8日には安倍晋三首相が経済ミッションを率いて両国を訪問し、経済分野を中心に関係強化を打ち出す。両国の大規模な港湾開発を後押ししてインド洋の支配権強化を狙う中国に対抗し、海洋安全保障を確保したい日本政府の思惑も交錯する中、産業界は首脳外交を機にビジネス拡大につなげたい考えだ。    市場の魅力開花も  「企業の意欲は強く、工業団地などのインフラが整えば進出に弾みがつく」。日本貿易振興機構(ジェトロ)の河野敬ダッカ事務所長はこう指摘する。バングラデシュに進出済みの日系企業は直近の調査で約180社。1億6000万人の人口を抱え、低コストで豊富な労働力を確保できることから近年は右肩上がりで増え続け、2010年と比べて2倍強になった。    もっとも、工業団地の不足がさらなる進出の妨げとなっているのが現状だ。ジェトロは工業団地向け用地を優先的に獲得することでバングラ側と5月に合意。民間企業が団地の運営に乗り出す計画も浮上している。    国民は低所得者層が多く、内需は力強さに欠けるものの、所得が増えて消費が拡大すれば市場としての魅力も開花する可能性がある。    「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは13年7月、合弁会社が運営する衣料品店「グラミンユニクロ」を首都ダッカに開設。現地のニーズを踏まえた商品も用意し、店舗網拡大を進めている。     ハシナ首相が5月に来日した際、日本政府は約6000億円の政府開発援助(ODA)などによる中長期の支援を表明。安倍首相は今回の訪問でも経済支援の拡大を打ち出す予定だ。    一方、スリランカでは国際協力機構(JICA)が日本企業の受注を条件に円借款を決めた「ケラニ河新橋建設事業」に対し、ゼネコンの関心が高まっている。また、慢性的な電力不足の解消に向けた電力事業への参画に大手商社も意欲をみせる。    09年の内戦終結で海外からの投資が増加。人口は約2000万人にとどまるものの仏教国で政情や治安は安定しており、「食料や流通分野にも商機がある」と大手商社の幹部は話す。    既に大手商社やゼネコンなど日本企業約140社が現地に進出。今年5月には佐川急便を傘下に持つSGホールディングスが物流会社の買収に乗りだし、南西アジアでの物流網拡充を急ぐ。インドへのゲートウエーとしての役割も広がりそうだ。    インド洋経済圏期待  政府が南西アジアへの経済協力を打ち出す背景には、中国の海洋進出がある。中国は資金を供与し、パキスタンやバングラデシュ、スリランカの港湾整備を後押し。中東やアフリカから原油などを運ぶ海上交通路と将来の軍事拠点化も見据え、インド洋に拠点を設ける「真珠の首飾り」戦略を展開している。    一方、日本の産業界は「インド洋経済圏の将来性に期待している」(経済産業省幹部)。インド洋に面するアジア、中東、アフリカの20カ国が加盟し、経済協力の推進を目指す「環インド洋連合」(IORA)は、10年に22億人だった加盟国の人口が40年には30億人に増える見通しで、潜在的な成長力は高い。首相訪問を機に日本企業の南西アジア戦略が加速しそうだ。(上原すみ子)

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