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send 「健康経営」導入、企業に広がる 生産性向上へ社員の意欲引き出す

2016年3月23日 水曜日

  企業が従業員の健康管理に積極的に関わる経営手法「健康経営」が広がりを見せている。病気による従業員の長期欠勤を防ぎ、働く意欲を引き出すことで企業の生産性を高めるのが狙い。自治体や関連業界の間にも、こうした企業の取り組みを後押しする動きが活発化しており、普及が加速しそうだ。   「従業員の健康管理に積極的に投資することで、生産性の向上、そして質の高い輸送サービスの実現につながる」   東京急行電鉄労務厚生部の下田雄一郎労政課長は健康経営の意義をこう強調する。   同社は健康経営の司令塔として2月1日付で最高健康責任者(CHO)職を新設し、人事や労務を担当する巴政雄専務執行役員が就任。同時に健康の重要性を示す「健康宣言」を制定した。生活習慣病の予防を目的に職場単位で減量を競い合う「体重コントロール」や、ウオーキングイベントを開いたり、系列病院である東急病院(東京都大田区)の管理栄養士による栄養指導、間食の適切な時間帯や量などについて助言など、職場一丸で健康管理に取り組んでいる。   鉄道業界は保線などの現業分野を中心に勤務時間が不規則な職場が多い。東急では2015年1月、グループの東急バスの運転手が運転中に一瞬気を失ったのが原因で、電柱と衝突し19人がけがをする事故が起きるなど、従業員のコンディションの維持が切実な課題だ。健康経営は「乗客の命を預かる鉄道会社にとって、福利厚生としてではなく、企業価値の源泉」(下田課長)というわけだ。  

健康経営の導入促進に向けた政府や自治体、関連団体の動きも活発化している。

  経済産業省と東京証券取引所は14年度から、従業員の健康管理を経営的な視点で捉え、戦略的に取り組む企業を「健康経営銘柄」として、これまでに延べ47社選定した。経産省は健康経営銘柄の中小企業版として、従業員の健康管理に積極的に取り組む中小企業を認定する制度を16年度中に導入する方針だ。   神奈川県は昨年7月、「CHO構想推進コンソーシアム」を立ち上げ、健康経営に関心を持つ約120の企業・団体が参加している。今月29日に横浜情報文化センター(横浜市中区)で開かれる「CHOフォーラム」では人事・労務担当者によるパネル討論を通じ、健康経営の具体的な取り組みが紹介される。   経済団体の中には、健康経営の環境整備で大企業並みの対応が難しい中小企業を支援する試みも行われている。   横須賀商工会議所は昨秋、会員企業経営者らの健康増進を狙いに「ゴルフピラティス」と呼ばれる運動法を試験的に取り入れた。レッスンプロを招き、体幹(身体の芯)や筋肉を鍛えるトレーニングを2カ月間にわたり毎日続けるよう指導。2月、コースを回り成果を確認した。   日頃、外出が少ないライフスタイルを考慮し、「歩くことが中心で高齢でも楽しめるゴルフを選んだ」(菊池匡文専務理事)。参加者からは「車での移動時も徒歩を取り入れるよう心掛けるようになった」との声が聞かれるなど一定の成果を上げた。同商議所は今後も同様のイベントを検討していく。  

■社会的要請 企業対応の指標に

  関連業界では従業員の健康管理を支援するサービスも登場している。損保ジャパン日本興亜リスクマネジメント(東京都新宿区)は企業向けに健康経営支援サービスを提供している。健康診断やレセプト(診療報酬明細書)、勤怠管理などのデータを基に、事業所全体の健康課題を抽出し、健康増進のための具体的な施策を提案する。   厚生労働省によると、日本の国民医療費(2013年度確定値)は40兆円を突破。国の一般会計歳出に占める社会保障関係費の負担は15年度当初予算ベースで約43%に膨れている。高齢化の進展に加え、治療期間が長期にわたるがんや糖尿病などの生活習慣病への治療が増えていること、さらに最先端の医療機器の導入・普及で治療費自体が高額になっていることなどが原因とされる。   高齢化が続けば、必然的に医療費の増加は続く見通しで、国の財政健全化を進める上でも社会保障費の抑制が最重要の課題になっている。健康経営への取り組みは、こうした社会的要請に企業としてどう応えるかを示すものとして、一段と注目度が増すことになりそうだ。(松村信仁)

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