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send 「上場ゴール」防止へ正念場 IPOトラブル続発、JPXが審査厳格化

2015年5月27日 水曜日

  eca1505052200005-p1   15年ぶりに日経平均株価が2万円を回復し、活気を帯びる東京株式市場。そんな市場の明るいムードに水を差す事態が起こっている。昨年から新規株式公開(IPO)銘柄で上場直後に大幅な業績の下方修正を発表したり、不正が発覚したりと投資家からの信頼を失いかねない案件が相次いだ。日本取引所グループ(JPX)も事態の深刻さを見かねて異例の上場審査の厳格化に着手、市場の健全化に乗り出している。   gumiショック   「投資家をばかにするにもほどがある」。市場関係者の間で1月から、ある銘柄が話題となった。渦中の会社は「gumi(グミ)」。ソーシャルゲームを手がけ、2014年12月に東証1部にいきなり上場した。しかし上場してわずか2カ月半後の3月5日、15年4月期の営業損益見通しを13億円の黒字から4億円の赤字に下方修正した。投資家から赤字を嫌気されて株価は大幅に下落。翌6日、9日の2営業日連続でストップ安となり、計1000円安の1581円まで値を下げた。その後も株価は下落し3月19日には年初来安値の1282円を付けた。26日終値は1460円。   投資家にとって予期せぬ赤字転落にとどまらず、その後も不信感を増すような事態が続発。3月27日には100人程度の希望退職者の募集と一部のブラウザー事業の売却を発表した。1月に30億円を無担保で借り入れていたことや、韓国子会社の従業員による横領が発覚するなどコーポレートガバナンス(企業統治)を問われるような不祥事も表面化。ゲーム業界や証券業界の関係者から「gumiショック」と呼ばれるほど追い込まれた。   gumiは4月30日、「内部統制システム構築の基本方針」の一部を改定。毎月1回以上の取締役会を開催し経営事項の審議や決議を迅速に行うことや、「情報セキュリティ管理規程」を取締役が順守することなどが明記された。経営責任を明確にするため、取締役や執行役員らの報酬を5~7月に最大50%減額することも決めた。   IPO銘柄をめぐっては、gumi以外にもトラブルが続発している。アサイー関連商品販売が好調で14年12月に新興市場マザーズに上場したフルッタフルッタは2カ月後に業績を下方修正し、最高財務責任者(CFO)が辞任した。CFOの辞任について同社は「あくまで個人的な事情によるもの」として、2つの事案は全く関係がないとコメントした。   マザーズ上場企業では、13年10月に上場したエネルギー情報事業を手がけるエリナスで14年秋、架空取引とみられる会計処理が発覚。14年3月に上場したみんなのウェディングでは、当時の社長が会社の売上金を個人から拠出していたことが判明し社長交代を余儀なくされた。   IPOには「上場ゴール」と呼ばれる言葉がある。上場して創業者利益を得ることを目的としているようなベンチャー企業を揶揄(やゆ)したものだ。JPXの斉藤惇最高経営責任者(CEO)も「こういう人たちは取引所を悪用しているとしか思えない」と憤慨する。   不祥事を見抜けなかったとして、IPOを担当する主幹事証券会社への不信感も高まっている。gumiの場合、野村証券が大和証券から主幹事を奪取した経緯もあり、「かなりの背伸びや無理をしていたのではないか」(証券関係者)との見方もある。業界トップの野村にとって、痛手となりそうだ。   伸び悩む新興市場   こうした事態を受けJPXは上場審査の厳格化に取り組む。日本証券業協会、日本公認会計士協会あてに「新規公開の品質向上に向けた対応のお願い」を文書で要請した。証券会社や監査法人は上場の数年前から企業の財務内容だけでなく、社長の人柄などにも触れており、協力を得るためだ。   経営者の不適切な取引について上場審査強化や啓発セミナー実施のほか、業績修正する場合には丁寧に説明することも決めた。「下方修正のリスクを恐れて上場意欲が薄れないか」(中堅証券会社)との懸念はあるものの、説明責任の場を設けることで投資家の信頼回復につながるとしている。   また、多数の会社の上場時期が重なることで、証券会社が個別の対応をおろそかにしないように時期の分散にも取り組む。   3月には日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)が連日のように約15年ぶりの高値を更新した。一方で、マザーズ市場全体の時価総額を示すマザーズ指数は伸び悩み、3月11日には年初来安値を付けた。一連のIPOトラブルは新興市場にも冷や水を浴びせたようだ。   IPOの件数は景気回復のバロメーターともされ、失速は避けたいところ。新興市場には、成長を期待できるベンチャーへの資金供給の役割がある。せっかく上向いた株式市場を落ち込ませないためにも、審査の厳格化、健全な市場づくりはJPXをはじめ市場関係者にとって急務だ。  

【用語解説】gumi

  2007年6月設立。資本金は88億4000万円(15年1月時点)。ソーシャルゲームの開発・運営に特化した事業を展開。「任侠道」(11年発売)などがヒットしている。中国や韓国、米国などに開発子会社を持ち、現地向けアプリケーションを配信している。

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