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send 「ミスター人民元」後継の行方 中国中銀総裁、問われる危機管理能力

2017年10月16日 月曜日

現職で在任14年を超えた中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁の後任候補4人を挙げた香港紙の紙面。左端の易綱・人民銀行副総裁の「呼び声が高い」と見出しで評している   中国共産党による第19回党大会の開幕を18日に控え、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁の後継者争いが熱を帯びてきた。「ミスター人民元」と呼ばれる69歳の周氏は、既に在任14年を超える。党大会での議論を経て、来年3月までに退任するのは確実だ。後任総裁の候補には、反腐敗運動を指揮した王岐山・中央規律検査委員会書記に近い湖北省トップの蒋超良(しょう・ちょうりょう)氏が取り沙汰される。最高指導部の人事と密接に絡み、習近平政権2期目の金融や通貨政策の目玉として、注目が集まる。 候補に蒋超良氏ら 人民銀行は国務院(政府)の下部組織で、総裁は閣僚級ポスト。周氏は胡錦濤政権の時代から習政権にかけ、一貫して「閣僚」と扱われる希有(けう)な存在になった。党内では政治局委員でも中央委員でも、その候補でもない一般党員との位置付けだ。 人民銀行には日米の中央銀行のような「独立性」はなく、国務院や党中央の意向に反する金融政策は決められないが、中国の悲願「人民元の国際化」を進めた実績が、周氏にはある。 国際通貨基金(IMF)が昨年10月、加盟国に配分する仮想通貨の「特別引き出し権(SDR)」に、ドルや円などに続く5番目の国際決済通貨に「人民元」を追加して“お墨付き”を与えるに至った交渉プロセスでは、周氏が対外的な「顔」の役割を果たした。人民元の下落阻止など危機管理に加え、金利の自由化などの開放策でもブレーキとアクセルを使い分けた。

その一方、中国は高度経済成長の副作用から不動産バブルのみならず、政府と企業の債務拡大など金融リスクが表面化。習政権は危機感を強めている。

今年5月には米格付け機関大手、ムーディーズ・インベスターズ・サービスが中国の長期国債の格付けを1989年の天安門事件以来、28年ぶりに引き下げた。「債務増加が続き、財政状況が悪化する」という。国際金融市場では「チャイナ・リスク」が強く意識されている。 SDR入りと国際化を花道に退任する「ミスター人民元」の後任は、改革の手腕に加え、金融リスクに対処する危機管理能力が強く問われることになる。 後継候補に急浮上しているのが、湖北省トップの蒋超良・同省党委員会書記(60)だ。人民銀行を経て中国農業銀行、交通銀行のトップを歴任。吉林省長の後、昨年10月に湖北省トップに就き、政治界の経験も積む。 習氏の腹心中の腹心である王岐山氏が広東省副省長だった1990年代、人民銀行広州支店長だった蒋氏は98年に経営破綻したノンバンク、広東国際信託投資公司(GITIC)の不良債権処理に手腕を発揮し、王氏の厚い信頼を得たとされる。

香港紙は、最高指導部人事で去就が注目されている王氏が党大会での退任の条件として、蒋氏を人民銀行総裁に送り込むことを要求したと伝えている。

かねて総裁後継レースのトップと目されてきたのは易綱(いこう)副総裁(59)。周氏を長く支えてきたほか、日銀を中心に日本の金融界とも近い関係にある。習政権の発足後、設置された共産党の「中央財経指導小組」(組長は習氏)で、易氏は副主任に任命されている。「政治ファクターで蒋氏が総裁に選任されなければ、実力でも実績でも易氏が昇格するのが順当だ」(国際金融関係者)との評価がある。 銀行業監督管理委員会の郭樹清(かくじゅせい)主席(61)も候補の一人。金融行政に精通した「改革派」の官僚として知られ、今年2月に山東省長から銀行監督委の主席に転じている。中国建設銀行トップも経験した。他に証券監督管理委員会の士劉余(りゅうしょ)主席(55)の名前も候補に挙がっている。

金融政策も決定権

ただ、人民銀行の上部組織には政府として国務院があり、さらにその上に、党として中央財経指導小組が目を光らせる。同小組の習組長が金融政策も決定権を握る構図は変わらない。 国際金融機関や海外市場からみれば、決定権のない中央銀行や総裁の価値は高くない。中国が人民元の国際化をさらに進めたいと考えるならば、スマートな国際派を周氏の後任に選任して、権限委譲を行うべきだ。 しかし、内政優先や権力闘争で「閣僚ポスト」として割り振るだけなら、国際市場には失望が広がることになるだろう。(上海 河崎真澄)

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